第65話 帝都に入る
『ほお。あれが帝都か』
ユーコが興味深そうに言う。
「帝都……」
私たちが進む街道の先にある街は、まだ少し距離があるにもかかわらず、とんでもなく大きく見える。街を囲む城壁のような石壁は高く、長い。その壁よりも高い建物が見える。あれはお城なんだろうか。
そして帝都が近づいてきたせいか、街道を進む旅人や馬車の姿が増えてきた。
聖騎士の集団だからか、少し距離をおいているのは私でもわかる。
――そろそろ馬車に乗ったほうがいいか。
今までも村や町に入る前に、マーコから降りて馬車に乗り込んでいたので、帝都でも同様に馬車に乗り込むつもりでいた。
さすがに人の多いところで大きな猫に乗っているところは悪目立ちすると思ったのだ。
【愛し子様、どうぞそのまま、神獣様にお乗りください】
私がマーコを止めて降りようとしていると、少し前を進んでいたアレクシスさんが戻ってきて声をかけてきた。その上、私を押しとどめようとまでしている。
『雅、そのまま乗ってろと言っているぞ』
ユーコがニヤニヤしながら言ってきた。
「え。冗談でしょ!? は、恥ずかしすぎるんだけど!」
私はアレクシスさんを無視して降りようとしたけれど、アレクシスさんだけではなく、キラキラベルナルトさんまでやってきて押しとどめようとする。
どっちもタイプの違うイケメン……いや美男子に懇願されると、さすがに私も困ってしまうのだが。
『諦めろ。彼らにしてみても、「愛し子」を無事に保護できたことをアピールしたいんだろう。その上、マーコとニーコという神獣も従えているのも見せびらかしたいとみえる』
「えー」
聖女候補のヘルカさんまで慌てたように馬車から降りてきたので、私は仕方なくマーコに乗ったまま街に入ることにした。
その上、アレクシスさんに促されて、彼らと一緒にマーコの背に乗ったまま馬車の前を進むことになった。まるで馬車を先導しているみたいだ。
――パレードかよ。
周りの聖騎士たちはピカピカの鎧を着ているけど、私はこんなラフな格好でいいんだろうか、と心配になる。
マーコに乗るために、今の私はジーパンに上着は少し光沢のあるグレーのフード付きのマウンテンパーカーを着ているのだ。サイズは元の身体の大きさに合わせているから、だいぶダボッと大きい感じになっている。
――どうせ、知り合いはいないんだし。周りはかぼちゃと思えばいい!
自分にそんな暗示をかけながらマーコに乗っていると、前からニーコが戻ってきた。
「みゃう」
「みゃみゃ」
「え、何?」
ニーコがマーコに何やら話しかけている。
『……気にするな。ニーコが先に行くか、マーコが先に行くか、話してるだけだからな』
「ニーコが先のほうがいいんじゃない?」
「みゃう!」
嬉しそうに返事をしたニーコが私たちの前へと移動する。
周囲の視線が痛いなぁ、と思っているうちに、私たちは帝都の入口であり大きな門のところまでやってきていた。




