閑話:神々の話し合い(2)
真っ白な壁に囲まれた真四角の部屋で、12人の神々が円卓に座り、いつものようにお互いの世界の均衡について話し合っていた。
中でも顔色が悪いのはエナ。以前、隣に座るデカによって黒い靄を潰されて、エナの世界が大荒れに荒れてしまった。
そのせいか、靄の数が増えてしまい、エナでも抑えきれなくなっていた。
「またかよー!」
「こいつら、いい加減にしろよ!」
「そもそも、お前のせいだかんな!」
エナの両隣に座るデカとディオが、エナを挟んでいがみ合っている。それにうんざりしながらも、彼らに文句を言い返せないエナ。
それは一番影響が出ているのが、この二人の世界だからだ。そして、ディオの隣の世界のヘンの世界にも少なからず影響が出ていた。
「……なんで、ノナの世界は大丈夫なんだよ」
デカの隣の世界のノナだから、ヘンと同様に影響が出ていてもおかしくはないのに、むしろ黒い靄が嫌がっているように近づこうともしない。
「フフフ、たぶん、ヘプタのおかげかしら」
嬉しそうな笑みを浮かべているノナ。一方のヘプタは、げっそりしている。
「ヘプタ……」
「お前、何かやったか?」
「……やっただろ、ペンタが」
全員が白馬の頭のペンタの方へと向いて、ああ、あれか、と顔を背ける。
彼らも八百万の神々が部屋の中でギュウギュウになったのを思い出したのだ。
「あの子のおかげで、ヘプタの世界の神々の力を分けていただいたのよ。ありがたいわぁ」
「……どんだけ力わけてんだ」
次に向けられた視線の先はヘプタだが、彼も苦々しい顔をしている。
――まったく、いまだに、あの方々の力があの者に繋がっているとは。
薄っすらと細い光の糸が、ヘプタの球体からノナの球体に繋がっているのだ。それに気付いているのは、ヘプタとノナのみ。視線が絡み、互いに口角だけあげて小さく会釈する。
「……せいぜい、あの者を大切に扱うのだな」
「もちろん」
「下手をうって、あの方々の怒りを買わないように」
ヘプタの言葉に、ギクッとなるノナ。
「わ、わかっておりますわ」
ノナの頭に浮かんだのは、ニッコリと笑みを浮かべた天照大御神の姿。
――そんな恐ろしいことができるわけないじゃない。
目の前のお茶を飲みながら、目の前の球体へと目を向ける。
彼女の目には馬車に乗って移動している雅たちの姿が見える。その周りを守るように走る聖騎士たち。
それぞれの思惑を持ちながらも、帝国へと進む彼らを見つめ、小さくため息をつく。
ノナは、雅が不幸せにならないように、ノナの世界を楽しんでくれるように、それをひたすら望んだ。
そんな雅を守るために、創造神であるノナは直接は手が出せない。
彼女が手を出すときは、彼女の世界を破滅させる時だ。
ノナは心の中で呟く。
――四神たち、頼むわよ~。
結局、四神頼みのノナである。
そんな思いは、雅たちは知ることはない。




