第7話 神様からのメッセージ
慌ててスマホを手にすると、メッセージをチェックする。
私にはメッセージをやりとりするような友人は多くない。特に、この年齢にもなると仕事関係以外では、友人たちも既婚者で、よほどのことがない限りメッセージを送りあうこともない。
ふと、スマホのアンテナマークの棒をチェックする。
「バツ印ついてるけど……」
それでも、誰かからの連絡がきたというだけでホッとしてしまう。
アプリを立ち上げるとそこに表示されている名前は「ノナ」。知り合いにそんな名前の人はいないし、ハンドルネームも聞いたことはない。それでも気になったのでメッセージを確認する。
『こんにちは。私はこの世界の神です』
――は?
なんの冗談? と思ったものの、ドンドンメッセージが続くので、その言葉を追いかける。
『いきなり、こんなメッセージが届いて困惑していることと思います。私も、このような形でご連絡をさしあげることを、とても申し訳なく、遺憾でしかたがありません』
『松本様の現状をご説明いたしますと、我々世界の管理者の会議の最中で起こった不運な事故により、貴女は家ごと私が管理する世界に転移してしまいました』
「え」
素直に内容は飲みこめないけれど、家の周りの景色が違うのは確かだし、元々家のあった場所とは違っているとは思う。
それが『転移』、それも言葉から察するに『異世界転移』ということらしい。
『普通であれば、貴女も貴女の家も消滅していてもおかしくはなかったのですが、貴女の一族が今まで積み重ねた徳、信仰心の篤さもあって、消滅することもなく、私の世界に来ることができたようです』
もしかして、さっきの大きな地震がそれだったのだろうか。
さらりと流れた『消滅』という言葉にゾッとする。死んでいた可能性を考えて、ぶるりと身体が震えた。
信仰心という言葉に頭に浮かんだのは、祖父母が毎年お伊勢参りをしていたこと。それに年の初めには必ず、初詣でもちょっと有名な地元の神社に欠かさずにお参りをしていた。
私も祖父母の影響もあって毎年欠かさず初詣にも行っていたし、長い休みには神社巡りに行ったりもしていた。
『残念ながら、元の世界には戻ることはできません』
なんとなく、そうだろうなぁ、と思った。(遠い目)
『ちなみに、私の世界には魔法があり、それが生活の基盤となっておりますが、貴女にはその力はありません』
「え?」
魔法という言葉に一瞬喜ぶけど、私には使えないという現実をつきつけられて、一気に気分を落とされた。
40目前という私に老猫二匹とともに、知らない世界で特別な力もなく生きていけとか、どんな苛めだろう。
目から涙がポロリと零れる。
『しかし、貴女の世界のニホンの神々から、なんとか貴女をフォローできないかと頼まれました』
「!?」
『本来は、世界ごとに管理者が決まっており、お互いに干渉することは認められておりませんが、今回の原因となった神や、ニホンの神々が力を貸してくれることになりました』
――神様、ありがとう!
心から感謝の言葉が湧いてくる。
『ちなみに、一緒に転移してしまった猫たちは、ニホンの神たち曰く、ネコマタになりかけているそうで、私の世界で言う神獣に近い存在だそうです』
――ね、猫又!?
ギョッとした私は足元でグルグル喉を鳴らして、私の足に身体を擦りつけているマーコとニーコに目を向けた。




