第6話 ここはどこ!?
今回の揺れは一回では済まなかった。ガガン、ガガンと激しく上下に揺れる。揺れと同時に、台所とリビングの電気が消えた。
「やばい、やばい、やばいっ!」
食器を流しにおいて、すぐにマーコとニーコを探す。さすがに若い頃のように飛び回るのは無理だったようで、彼らもあまりに激しい揺れに固まってしまっていた。
「マーコ! ニーコ!」
私の呼び声にパッと視線を向けるが動けないようで、私はすぐさま二匹を抱き上げダイニングテーブルの下に潜り込む。さすがに激しい揺れに、木造のこの家が倒壊するんじゃないか、と不安になる。
――こんなに長い揺れなのに、スマホの警報が鳴らない。
この地震が直下型だから鳴らないのかもしれない。
目を閉じながら二匹を抱きしめていると、ようやく揺れが治まった。
「はぁ、マジでヤバかった」
私は二匹を放してあげるが、二匹とも私の傍からは離れない。
ダイニングテーブルから出ると電気をつけようとスイッチを押したけれど、暗いまま。私は周囲を見回す。
「あれ?」
あんなに揺れたので、古い食器棚やテレビ、掛け時計が落ちてたりするんじゃないかと思ったのに。
「何も落ちてない」
何も落ちてないのはいいことだけれど、なぜだか不安な気持ちになった私は、他の部屋は大丈夫か確認しにいく。
この家は木造平屋で、祖父の父、曾祖父が以前あった古い家を建て替えたと聞いている。元は地主でもあったらしいけれど、今ではこの家の土地くらいしか残っていない。
この平屋には三つの和室とリビングダイニングがある。
玄関そばの和室には仏壇が置かれ、その隣は猫部屋、その隣でリビングダイニングの隣でもある和室が私の部屋となっている。
全て襖で仕切られているので、ドンドン開けていくが、どの部屋も特に問題はなさそうだ。
仏壇のある部屋に入ると、小さい窓の障子からうっすら雨戸の隙間からの日差しが漏れてきていた。
その明かりのおかげで仏壇を確認すると、ここも特に問題はなさそうだ。壁にかかっている遺影も傾いてはいない。
ホッとしたら、外の雨音がしなくなっていることに気が付く。
私は障子を開け、窓を開け、ガタガタと古びた雨戸を開けた。
「え?」
いつもなら、古びた門扉と目の前には少し傷んだアスファルトの道、その向かい側にはお隣の家があった。
それなのに、今目の前にあるのは。
「木?」
門扉の外に立派な木がたっている。それが一本、二本ではない。
私は慌てて、大きい窓のほうの雨戸も開ける。そこからは我が家の猫の額ほどの庭が一望できるのだ。
「え、ちょっと、これは」
雨戸を開けてわかったこと。庭の向こう側にもたくさんの木が生えている。
――ここは住宅地ではなく、森の中!? え、ここ、どこ!?
すべての部屋の窓を開け、最後のリビングの小さい窓を開ける。そこに祖父が乗っていた軽自動車や祖母の自転車が残っている駐車場があったことにホッとする。
――でも、どう見ても森の中だけど……あ、まさか電気!
慌ててリビングの電気のスイッチをもう一度押す。
「あ、ついた!」
私は慌ててテレビの電源を入れる。
「……電源はつくけど、番組は流れないのね」
他の部屋の電気を確認していくと、電灯は問題なくつく。次に水道。問題なし。ガスコンロも問題ないし、給湯器も問題なくつかえて、お風呂にお湯もためられた。
「どういうこと?」
お湯を止めて風呂場で呆然としていると、ダイニングテーブルに置いたままのスマホの着信音が聞こえてきた。




