第54話 『神力』と雅のスキル
マーコとニーコが、私には表示されない画面を見ながら、あーだこーだとしゃべっている。
「レベルはやっぱり1だー」
「1のわりに、体力は50あるね」
「え、それって少なくない?」
「たぶん、レベルがあがれば、爆発的に増えるんじゃない?」
「それより、やっぱり魔力は0だね」
「魔力があったら、雅もステータスの画面が見られたと思うんだー」
まさかのステータス表示に魔力が必要だったとは。それはいくらこっそり「ステータス」と言っても表示されないわけだ。
「それよりも面白いのは魔力はないけど、なぜか『神力』という項目があることです!」
「……はぁ?」
「一応、私もニーコも神獣だから項目としてはあるわ」
『私も、日本の神々の力を頂いているので、ある』
「たぶん、こっちの人にはないものかもね」
「へぇ……でも、その力って、何に使えるの?」
魔力があれば、きっと生活に役立つようなことだったり、身を守るようなことだったりができるんじゃないかと思う。
しかし、『神力』の使い道って……。
「それはぁ~」
「むふふ~」
『私たちを癒す力だなっ!』
三人が並んで、私に向かって胸を張ってみせる。
「は?」
「だからぁ、私たちの神力がなくならないように、なでなでしたり~」
「疲れてるところを、なでなでしたり~」
『とにかく、なでなですればいいのだ!』
「えぇぇぇぇぇ」
それはいわゆる充電器みたいな役割だろうか。
なんか納得いかない、という気持ちになる。
「いいじゃない」
「きっと、日本の八百万の神が授けてくれたのよ!」
「(ノナはケチ臭いからな)」
「(ね!)」
「それに、僕たちは、雅を守るために一緒にいるんだ」
『そうだな。私たちが雅から癒してもらえるなら、お互い様ではないか』
「そう、かなぁ~?」
『そういうことにしておけ』
クスクス笑うユーコに、ため息で返す。
「それよりも、スキルでしょ、スキル」
「あ、そうだった」
マーコに言われて、背筋を伸ばす。
「料理は日頃からやっているから、元々持っていたんだと思うんだ。これが一番レベルが高い。その次が、なんとアクセサリー細工だって。そういえば、前に何か作ってなかったっけ?」
「あー、言われてみれば。でも、こっちに来てからは、そんな余裕なくて、道具とかはしまったままだと思う」
「ふむふむ。この二つが主なスキルだったみたいだけど、新しいスキルと思われるのは……」
ゴクリ
「調薬でーす!」
「おおー」
『では、もしやあの薬屋か!』
「向き不向きがあるのか、私には魔道具はつかなかったし、ニーコは裁縫はつかなかった。雅はどっちもつかなかったけど、薬屋で調薬がついたって感じかな」
「……私に、スキル」
二人がニコニコしながら言うけれど、まだ実感がわかない。そもそも調薬と言われても、何を作れるのか、ピンとこない。
考え込んでいると、ふと、私の部屋の本棚のことを思い出す。
「そういえば……」
ソファから立ち上がり、部屋の本棚を探してすぐに見つけた一冊の本。
「あった。ハーブの本」
身体を壊した時に、民間療法でもいいから、身体にいいものをと、調べた時に買った本だ。結局は、本を読むだけで、何かを作ったりまではしなかった。代わりに専門店でハーブティーを色々買い込んでいたのを思い出した。
「こっちで通用するものかはわからないけど……」
「やってみればいいじゃん」
「そうだよ」
『どうせ、時間はあるのだ』
三人の言葉が私の背中を押す。
「そうだね」
「上手くできたら、私たちが『鑑定』してあげる」
「あの薬屋にでも、売りに行こうよ」
『それもよいかもしれんな』
私たちは顔を見合わせて、ニコリと笑い合った。




