第53話 新しいスキル
どちらにしても、一度、その迎えの人たちと話をしないとダメだろうということになった。
彼らがここに到着するのに一週間くらいはかかるだろうとのこと。その一週間は移動できない。ちょっと長い気がする。
待っている間、何をして過ごせばいいんだろうか。
それに教会でもう一度、四神の一人、イダと話をして、帝国には行きたくないことをマーコたちから伝えてもらおうと思った。
――まったく、マーコたちじゃなくて、私に聞いてよ。
そう強く思ったけれど、私のような普通の人間では、神の声なんて聞くこともできないのかもしれない。
そもそもチート自体ないのだから。
「あ、忘れてた!」
いきなりマーコが私の隣でぴょこんと背を伸ばす。
「何、何、何」
「あのね、あのね! 私に新しいスキルができたの!」
「スキル?」
「うん。ステータスには今まで載っていなかったんだけどね、なんと『裁縫』スキルが生えましたー!」
パチパチパチと手を叩くマーコ。
「それを言うなら僕だって! 『魔道具作成』スキルが生えたんだ!」
二人の言葉に、服屋と魔道具屋で様子がおかしかったのを思い出す。
「もしかして、あの時」
「ウフフ、私はお店でワンピース触った時」
「僕は、魔道具屋で魔道具手にした時」
「えええー、それでスキルが生えるなんて、羨ましすぎるでしょ~」
「えへへ。なんかね。レベルアップした時と同じ、ピロロンって音がしたの」
「そうそう。僕も!」
「いいわねぇ」
私にはピロロンのピの字もない。
なんとか笑みを浮かべて、二人の頭を撫でていると。
「それでね。雅にもスキルが生えているんじゃないかと思って」
「何、突然」
「ううん、前から気になってたの」
「そうそう。僕たちだけしかステータスがないのかなって」
「……私はピロロンなんて聞いたことないわよ?」
「だって、雅、魔物やっつけてないでしょ」
……正論である。
「ユーコもレベルアップしてるんだし」
『うむ』
「今度、何かたおしてみる?」
「いやいや、それは」
さすがに魔物相手でも殺生するのは躊躇する。
「とりあえず、レベルアップはしてなくても、ステータスはあるはずなんだ」
「イダと話した時に聞いた。雅にもあるって」
「えっ?」
「ちゃんとあるんだけど、雅には魔力がないから表示されないんだって」
「……そうなの?」
「うん」
恥ずかしいから皆には言っていなかったが、こっそりトイレで「ステータス」って言ってみたことがある。
でも表示はされなかったから、きっと私にはないんだと思ってた。
「だから、私たちが『鑑定』してもいい?」
期待の眼差しを向けてくるマーコとニーコ。
それは、私も凄く気になる。一瞬の迷いの後。
「じゃあ、お願い」
「『鑑定』!」
「おー」
ピカーッと光ったり、チクッとすることもない。本当に『鑑定』されたのかもわからないけれど、目の前の二人が感嘆の声をあげている。
「ふむふむ」
「あー、なるほどー」
短い腕を組みながら、並んで宙を見ている二人。
「な、なーに? どうなってるの?」
凄く気になるのに見えなくて、うずうずしている私。
そんな私を、二人がニヤリと笑う。




