第51話 教会へ行く
食べ物の屋台は続いていくが、最初のお肉のお店のインパクトが強すぎて、新たな食べ物への食指が動かなかった。結局、立ち食いもせずに、八百屋さんを覗いて、売れ残っていた野菜を少し買うことができた。
戻り道で、あのお肉の屋台に寄って、お肉の塊が買えたのはラッキーだったと思う。お値段はいいお値段だったけど。
「じゃあ、そろそろ街を出ようか」
リュックを背負いなおし、マーコとニーコに声をかける。
「宿には泊まらないの?」
「いやぁ、だって、きっとトイレもお風呂もうちのにかなうと思えないし」
『当然なのだ』
「宿代も村のとは違って、高いんじゃないか?(それに安全性も微妙だよな)」
「そうよねぇ」
村の宿と比較するのもおかしい気はするけど、泊るとなったら三人分のお金を取られる可能性もある。
「食事はどうする?」
「たぶん、あっちのほうに飲み屋街があったけど」
マーコが屋台の通りの脇道に人が流れていくほうへと指をさす。確かに、賑やかな声が聞こえてくる。
「飲み屋じゃ、私たちじゃ入れないんじゃない?」
「レストランもちょっと高級そうだったよ」
『雅のご飯が一番だと思うぞ』
「あ、ありがとう」
私たちは、街に入ってきたのとは逆、おそらく東側の大きな門のほうへと歩いて行く。
「あ、あれって教会かな」
少し開けたところに出たと思ったら、周囲のくすんでいる壁を持った建物と違って、白い壁と立派な木のドアを持った大きな建物があったのだ。
ドアには精巧な彫り物がされていて、少し気になってしまった。
「行ってみる?」
「え、いいの?」
「まだ、入れるみたいだよ。ほら」
ニーコが指さす方を見ると、教会から出ていく人もいれば、入っていく人の姿もあったのだ。
せっかく来たのだし、観光も兼ねて、教会に行ってみるのもいいかと思った。
「じゃあ、みんなで行こう」
私の掛け声に、おー! と手をあげる三人。
教会のドアを開けてみると、あまり広くはないがあちらで見た海外の教会の礼拝堂と似たような作りに、思わず、ほおとため息をつく。
マーコにお尻のあたりを押されて、慌てて中へと入っていく。
正面にあるのは男性の神様なのか、二メートルくらいありそうな白い石像が飾られており、その前で膝を折って祈っている人々の姿があった。お祈りの方法は、あまり変わらないようだ。
石像を彫った人は、なかなかの腕前のようで、かなり美しい石像だ。
「(あの列の一番後ろ)」
「(わかった)」
こそこそと話しながら前に進む。
するすると進み、前の人が祈り終えたので、私たちも石像の前で膝をついた。真ん中が私。両サイドにマーコとニーコ。ユーコは、ほぼ定位置の私の肩の上だ。
――マーコとニーコ、ユーコのおかげで、なんとか森から出て来れました。ありがとうございます。これからも、見守ってください。
祈り終わったので、フッと目を開けてみると、マーコとニーコはまだ祈っている。
もしかして、神様とでもおしゃべりしてるのかな、なんて思って見ていると、祈り終わった二人は同時に顔をあげて、渋い顔をしていた。
「なんかあった?」
「……家に戻ったら話す」
「とりあえず、さっさと出よう」
二人の不機嫌な様子に、私とユーコは顔を見合わせ、首を傾げたのであった。




