第43話 冒険者ギルド(3)
カウンターの中にいた若い女性スタッフが、カウンターに届かない二人のために、奥から椅子を持ってきてくれた。
【ありがとう】
【ありがとー】
【いいえ】
二人の言葉に、女性スタッフはニコニコで戻っていく。
カウンターに置かれた書類に目を通す二人。真剣な顔で読んでいる。後ろからのぞきこんだけれど、やっぱりヒエログリフで目が点になる。
【読んだ】
【読んだ。問題ないわ】
【必要事項は、年齢と性別、あと名前と、出身地?】
【ああ、書けなければ、インスモールとでも書いとけ】
【街の名前ね】
【ああ】
「雅、これ、ここにサインして。あとは私が書いとくから」
「わかった」
マーコから渡されたペンは羽ペンみたいなもので、インクをつけながら書くヤツだ。紙もあまり上質な感じはしない。
私は何度かインクをつけながら、筆記体で「Miyabi matsumoto」と書いた。マーコとニーコはヒエログリフで書いている。凄い。
【はい、これでいい?】
【どれ……おまえさんがマーコで、こっちの坊主? 坊主だよな?】
【男だよ!】
【お、おお。おまえさんがニーコな。で保護者が……なんて書いてあんだ?】
【ミヤビ マツモトって書いてあるのよ】
【え、苗字持ち……まさか貴族様かよ】
【違う、違う】
【さっさと登録してくれよ】
【わ、わかった。ちょっと待ってろ】
ごちゃごちゃと揉めているようだったけれど、最後にはマーコたちに押し負けて中年男性は紙を手にして、カウンターの後ろのほうに行った。
しばらくして、ガチャン、ガチャン、ガチャンという機械の音がして、何かを作っているのだろうか、と不思議に思いながら待っていると。
【ほら、これがギルドタグだ】
【ギルドタグ?】
【ああ。冒険者ギルドは、このギルドタグが身分証になる。無くすなよ】
【はーい】
マーコが代表して三人分を受け取り、私にも一枚渡された。
――ドッグタグっぽいかも。
細長い金属の板にヒエログリフが刻まれている。短辺近くに小さな穴が開いているから、紐で通すような感じで、まさにドッグタグなのだろう。
「所属ギルドと、ギルドランク、それに名前が刻まれてるみたい」
「へぇ」
マーコがジッとギルドタグを見ながら教えてくれる。
【一応、チビどもはランクはGだ。これが仮登録のランクになる】
【他にも仮登録する子がいると?】
【ああ。登録可能年齢になる前に、どうしても稼がなきゃならなそうなヤツらな】
幼くてもお金を稼がないといけないような世界に来たということか、と思うと、少しだけ気持ちが落ちる。
【んで、そっちの保護者はFだ。これが基本、一番下だな】
「雅は一番下のFだって」
「わかった」
文字を見ても、どれが何を表しているのかわからない。あとでマーコたちに教えてもらおう。
【一応、説明は必要か?】
【必要最低限でお願い】
【お、おう】
中年男性が押されながらも、マーコに説明している。
――うちのリーダーはマーコだな。
頼もしい小さな背中に、思わず笑みが浮かぶ。




