第40話 街に入ろう(2)
マーコたちは大丈夫かな、と心配して待っているうちに、少しずつ列が進んで行く。
前に立っている大きなおじさんも、マーコが心配なのか、時々、列からはみ出して前のほうを気にしている。
――ちょっと、申し訳ないことしちゃったかな。
内心、おじさんに謝りつつ、マーコたちが戻るのを待っていると、トトトッと走って戻ってくる姿が見えた。
「マーコ!」
「お待たせ~」
息も上げずに戻ってきた。ユーコも余裕の表情だ。
「んとね、一人300ノルだって」
「わかった。えーと、それって銀貨三枚ってことか」
「あ、でも、私はその半分でいいって言われたよ」
「そうなのね。ありがとう」
【大丈夫だったのかい?】
おじさんが心配そうに声をかけてきた。
【うん、門のとこにいたおじさんに聞いてきた】
【よかったなぁ……そういえば、おまえさんの姉ちゃんは、随分、変わった言葉をしゃべるんだな】
【そうかなー? 慣れてるから、わかんないやー】
二人が何を話しているかわからなくて、首を傾げながら様子を見ていたけれど、前がいきなり一気に進んで、おじさんも慌てて前へと進んでいく。
「この先で、入口が三つに別れてて」
入口を見てきたマーコいわく、貴族っぽいのが通る門と、一般人が通る大きな門があって、大きな門で二列に別れるらしい。
そんな話をしているうちに、入口の門が近づいてきた。
「じゃあ、今のうちにお金渡しておくね。マーコとニーコ、二人で銀貨三枚っと」
「はーい」
「マーコに任せたー」
「任されたー」
【次ー!】
男の人の野太い声が聞こえて前を見ると、すでに大柄なおじさんの姿はなく、革の鎧っぽいのを着た太ったおじさんが手をあげ、こっちに来い、という感じで呼んでいた。
【おう、来たな】
【お願いしまーす】
【姉ちゃんのほうは300ノル、お嬢ちゃんと坊主は、それぞれ150ノルだ】
【私たち、二人で銀貨三枚でいい?】
【いいとも】
ニコニコと鎧のおじさんとやりとりをしているマーコたちの様子に、ちょっとだけ羨ましく感じる。
――私も、言葉を覚えよう。
私はぺこりと頭を下げながら、銀貨三枚を差し出す。
【あいよ。元気な妹さんで大変だなぁ。親は一緒じゃないのか?】
「えっ?」
【おじさん、お姉ちゃんはこっちの言葉がわかんないんだ。だから私たちが通訳してるの】
【そうなのか! そいつは姉さんも大変だな】
ここでも気の毒そうな顔をされる。
今度はマーコは何を言ってるんだろう、と思ったけれど、後ろにはまだ人が並んでいる。
【では、インスモールの街へようこそ】
【ありがとう!】
【ありがとう】
鎧のおじさんがにこやかに声をかけてくれた。
それに返すように、マーコとニーコが同じ言葉を言っている。おじさんの感じだと、喜んでいるようなので、私も【アリガト?】と真似して言うと、一瞬驚いたおじさんだったが、ニカリと笑った。
【おう! 楽しい一日を!】
大きな手を振って見送ってくれた。




