第39話 街に入ろう(1)
翌朝、ユーコに家をしまってもらって、マーコたちが言っていた、少し大きな町を目指した。
マーコたちのスピードが前よりも早くなったのか、朝はゆっくりめに家を出たつもりだったが、お昼過ぎには目的の町が見える小高い丘に到着した。
「うわー」
町というから、最初にお世話になった村より、ちょっと大きいのかな、と思ったのだけれど。
「かなり、大きいよね。あれ、町というより大きいほうの街くらいありそうよ?」
「みゃう~?」
「みゃ?」
『まぁ、デカいのは確かだな』
大きな石壁に囲まれて門もかなり大きい。そこには馬車や人が列をなしている。
街道らしき道を避けて走ってきたから、ここに来て、街に入っていく街道がかなり太いのに気が付く。それに馬車の往来も頻繁にあるようだ。
そして街の奥のほうには背の高い建物が見える。そうは言っても、せいぜい、三階建てくらいだろうか。
門のほうは、少しずつ列が減ってきているようだ。街道にも新たな馬車なども見当たらない。
「いつまでも、ここで見てるわけにもいかないね」
『うむ』
「マーコとニーコは、人の姿に」
「はーい」
「はいはーい」
「じゃ、行こう!」
私と手を繋ぎながら、マーコとニーコが丘からゆっくり下りる。
街道に出るまで雑草だらけの中を10分ほど、そこからはだいぶ慣らされた道に出られたので、そこからも10分ほどで並んでいる列の最後尾につけた。
目の前には大柄なおじさんが荷物を背負って立っている。
――でかっ! 二メートル超えてるんじゃない!?
おじさんの大きさに驚いていると、ちょうどおじさんが少しだけ前へと進んだ。
すぐにその後をついて進む。
『雅、また街に入るときに金を取られるのではないか?』
「あ、そうか! 今回はマーコとニーコの分もかかるから……お金足りるかな」
背中にしょっていたリュックを胸側に持ってきて、中に入れてある財布を取り出す。
財布に残っているお金は銀貨20枚(2000ノル)。あの村に入るときには、100円玉一枚で通してもらったので、相場がわからない。
「前のおじさんに、いくらか聞いてみる?」
「あ、わかるかな」
「ダメなら、前のほう行って聞いてくるよ」
マーコが前に立っている巨大なおじさんの服の裾をツンツンと引っ張る。
【ん? なんだぁ?】
【おじさん、おじさん】
【おんや、ずいぶんとめんこい娘っ子だなぁ】
マーコを見下ろしたおじさんは顎鬚をたくわえてはいるけれど、とっても優しそうな顔をしている。
【うふふ、ありがとう。あのね、この街に入るのに、お金っていくらかかるの?】
【なんだぁ、親はいないのか?】
おじさんは後ろを振り向き、私とニーコに目を向け、驚いた顔をする。
【姉ちゃんときたのか】
【うん】
【んだなぁ、わっしは商業ギルドの会員証があるんで、街に入る金はとられないんだがぁ、そういうのは持ってないんだろうなぁ】
チラリと私に目を向けるおじさんは、なんだか気の毒そうな顔をしている。
「え、なんか、私、変な格好してる?」
「いや、違う。身分証ないんだろうなぁ、って言ってる」
「あ、そういうのあるのね……もしかして、ギルドの会員証みたいな?」
「わかってるじゃん」
――ファンタジー脳のおかげだけど。
ニーコの言葉に苦笑いをする私。
【街によって、金額が変わるから、一概にいくらとか、わっしもわからんのでなぁ】
【わかった! 前の方で聞いてくる。おじさん、ありがとう!】
【おい、気を付けるんだぞ!】
どうも、おじさんからの情報ではわからなかったようで、マーコはトトトッと前のほうへと走っていく。
「え、ちょっと大丈夫かな」
『私も一緒に行ってくる。ニーコ、雅を頼むぞ』
「うん」
ユーコがピューンと勢いよくマーコのほうへと飛んで行った。




