第37話 それぞれに、できることをする
マーコたちの背中に乗って移動していた時よりも、思っている以上に、村での一泊は疲れたようだ。
ユーコに家を出してもらって、すぐにやったのは、お風呂をいれること。
一日入らなかっただけだけど、やっぱり、ゆっくり湯舟につかりたくなるのは、仕方がないと思う。
お風呂から上がった私は、時間は少し早かったけれど昼ごはんを準備することにした。
お茶碗に山盛りのご飯と、焼き鮭とインスタントの味噌汁、キュウリの漬物。日本人には、これが一番だ。
「はー! 綺麗なトイレ、お風呂、馴染の布団、慣れた味~! 最高~!」
思わず叫んでしまう。
そんな私を気にすることなく、マーコとニーコは猫の姿で猫エサをカリカリと音を立てながら食べている。朝もしっかり食べているくせに、猫エサは別腹なのだろうか。
「そういえば、マーコとニーコ、本当は魔物の生肉のほうがいいの?」
「にゃ~」
「みゃ」
『どっちでもいいようだぞ? 移動中に魔物の討伐している時、たまにつまみ食いをしていたようだしの』
「え、そうなの!?」
「みゃ、みゃ~」
『大きな身体を維持するのには、魔物の肉があると違うと言ってる』
二匹に目を向けると、コクコクと頷いてる。
「そうだったんだ……じゃあ、自分たちの『収納』にしまってある魔物のお肉、食べていいのよ?」
「みゃーうー」
『これは、雅のためのだから、いいんだそうだ』
「ううう、マーコ、ニーコ、ありがとうねぇ」
私には、マーコやニーコ、ユーコのような特別な力はない。彼らがいなかったら、転移初日で死んでいただろう。
食事を終えた私は溜まっていた洗濯物を洗濯機にいれると、庭先の畑に向かう。
すでに畑に植えてある小松菜も大根も白菜も、モリモリに育っている。いくつかは収穫して、すでに食べていたりする。
宿屋でいただいたピクルスの印象が強かったので、私も何か作りたくなった。
「……大根の甘酢漬け、かな」
私は庭先に出て、一本だけ大根を引っこ抜く。思った以上に太くて長かった。さすがに一本全部を甘酢漬けにするには量が多い。
三分の一を甘酢漬けにして、残りは煮物にするのもいいかもしれない。
そういえば、マーコたちから貰った魔物の肉の中に、豚肉みたいなのがあったはず。白菜とのミルフィーユ鍋もいいかもしれない。
――この際だから、他にも作り置きを作っちゃおうか。
畑から野菜を収穫し、料理をし始めようとすると、マーコとニーコがちょっと出かけてくると、家から出て行ってしまった。
二匹のことだから大丈夫だと思うけど、少しだけ心配ではある。
『雅、ちょっと敷地をいじってもいい?』
大根を薄切りにして、いちょう切りにしようとしているところに、ユーコが声をかけてきた。
「ん? 敷地をいじる?」
『うん』
ユーコがどうしたいのかは想像がつかないけれど、彼女がやることなら大丈夫だろう。
「まぁ、いいんじゃない?」
『やった』
「危ないことはしないでね」
『わかってる』
ふよふよ~と、ユーコも家の外へと出て行った。




