表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化進行中】うちの猫、めっちゃ強いんですけど~愛猫たちと異世界満喫生活~  作者: 実川えむ
異世界を旅してみる ー最初の村ー

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/105

第35話 生肉を食べるマーコとニーコと、ピクルス

 翌朝、日が昇り始めた頃、部屋のドアがノックされた。


【お客さん、朝ごはんできてるよ】


 何を言ってるかわからなかったけれど、あの女の子だろう。とりあえず「は~い」と声をかけると、パタパタと離れていく。


『雅、朝ごはんだそうよ』

「ん~、ごはんか~」


 のそりと起き上がる私。ここのベッドの硬さに、何度も目が覚めてしまって、ちゃんと寝た気がしない。

 やはり家の布団が一番だ。

 私は貴重品の入ったリュックを持ってマーコとニーコを引き連れて、食堂に向かう。出されたのは昨夜と同じ煮込みと硬いパン。違うのは、これに太いソーセージとピクルスみたいな漬物がついていた。

 私がテーブルについて黙々と食べていると、マーコとニーコが私の椅子のそばでお座りしながら物欲しそうな目で見上げてきている。


「ごめんよぉ。家出したらごはんあげるから」

「みゃぁ~」

「みゃう~」

『雅の煮込みが気になるようだぞ』

「え、でも、これ塩味ついてるから、猫にはダメでしょ」


 そんな話をしていると、女の子が小さな木の器を二つ手にして、マーコたちに近づいた。


【ごはんあげてもいい?】


 木の器の中を見せながら聞いてきた。


「え、まさか煮物とかじゃないよね」


 焦りながら覗き込むと、生肉の欠片が山盛りになっている。


「ちょ、な、生肉は」

『雅、それは魔物の生肉だ。マーコたちも食えるはずだぞ』

「そうなの?!」


 マーコたちに目を向けると、二匹が揃って頷いている。


 ――大丈夫なのかなぁ。


 不安に思いつつ、二匹の『くれくれ』な視線に負けた私。しぶしぶ頷くと、女の子は喜び、マーコとニーコは腰をあげて木の器に頭を突っ込んで必死に食べている。


「ウマーイ、ウマーイ」

「ミャフ、ミャフ」


 声を出しながら食べている様子に、思わず固まる。


 ――家では猫エサしか食べないのに、魔物の生肉は食べるのかいっ!


 女の子は嬉しそうにしゃがみ込んで見つめている。

 私はマーコたちに呆れながら、自分の朝食に向かう。

 煮込み料理にパンをつけながら食べるのは昨夜と変わらない。気になるのは、太いソーセージ。衛生的に大丈夫なのか、フォークが止まる。


『雅、無理して食べるな』

「え、もしかしてダメ?」

『うむ……お前ではお腹を下すかもしれん』

「マジか」


 美味しそうには見えたけれど、お腹を壊す可能性があると言われたら、手も止まる。


「このピクルスは?」

『それは大丈夫だ』

「よかった」


 フォークで刺すとカリッといういい音が聞こえる。そのまま口の中に入れてみると、酸味が強いものの、なかなか美味しい。


 ――これは買っておきたい。


 うちの冷蔵庫にあるのは普通のキュウリの漬物くらい。新しい食材も手に入れておきたい気もするのだ。

 足元にはまだ女の子がマーコたちを見ている。肝心のマーコたちは食事を終えて、顔を洗っているようだ。


「ねぇ、これ、もっとある?」


 私はピクルスをフォークに刺して、女の子に問いかける。彼女は首を傾げたけれど、すぐにピンときたのか、調理場のほうへと行ってしまう。

 ちゃんと通じたのかな、と思ったら、ピクルスを小皿に盛って持ってきた。


「あー、ちょっと違う~」


 私はリュックの中にしまってあるお財布を取り出し、銀貨を1枚取り出して見せる。


「もっとあったら、買いたいの」


 それも通じなかったのか、女の子は困った顔をして再び調理場に戻っていく。


「通じないか~」

『いや、そうでもないぞ』


 昨日受付をしてくれた女将さんが、大きな茶色い壺を抱えてやってきた。


【ピクルスが気に入ったのかい?】

『ピクルスが気に入ったか、と聞いている』


 壺の中身を見せながら聞いてきた女将に、私はコクコクと頷く。


【こいつは、私が漬けてるヤツなんだ。少しだったら、分けてあげるよ】

『少しだったら、分けてくれるらしいぞ』


 たぶん私は期待で目をキラキラさせていたのだろう。女将さんはフフフと笑いながら、調理場へと戻り、少しして小さな壺を持ってきた。

 私はすぐに銀貨1枚を差し出したが、女将さんは首を振る。


【こいつは、美味しそうに食べてくれたお礼だよ】

「え?」

『貰っとけ。食べてくれたお礼だと』


 その言葉に驚く私。

 小さな壺に目を向けた私は、ありがたく受け取り、女将さんに感謝を込めて頭を下げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ