第27話 でっかいマーコとニーコ
私は今、マーコの背中に必死にしがみつきながら、フォロンの森を駆け抜けている。
『もうそろそろ、家が出せるとところを見つけておくれな』
「みゃう!」
「なー!」
「ヒー!」
ユーコの言葉にマーコとニーコが返事をしたかと思えば、ニーコがずいっと先に走り抜けていく。
私はしがみつくので精一杯で、声も出ない状態だ。
時は少しばかり遡る。
大きな猫状態でマーコたちが戻ってきた時には驚いたけれど、デカいモフモフな猫は、それはそれでたまらなく可愛い。
顔を舐められたのは、正直嫌ではあったけれど、そのままマーコのモフモフな胸毛に抱きついて、顔を拭いたのは許して欲しい。両手を広げて抱きついても、手を回しきれない大きさに感動。
スーハ―とマーコの匂いを堪能していると。
「みゃぁ」
「みゃぁ?」
二匹が私に話しかけてきた。
「え、何?」
当然、何を言っているのかは、わからない。
『姿を戻してもいいかって』
「え、戻れるの?」
『当然でしょ? 猫又なんだから』
ユーコの理屈が今一つわからなかったけれど、戻るのを許可すると、ちびっ子の袴姿の二人に戻った。
「凄かった? 凄かった?」
「大きかったでしょ?」
二人は私に抱きつくと、興奮しながら聞いてくる。
「大きかった! どうして、あんなに大きくなったの?」
「ふっふっふ~」
「ふっふっふ~」
ニヤニヤしているマーコとニーコだったけれど。
「じゃじゃーん!」
「レベルが20を超えたから!」
戦隊モノのヒーローのようなポージングをする二人。ちびっ子なのと、二人しかいないから、迫力は半減だ。
……しかし、可愛い。
「へぇ……姿が戻るってことは、また大きくもなれるの?」
「当然!」
「できる! できる!」
そう宣言した二人は同時に、デカい猫の姿に変わる。
「おお~!」
「みゃ~?」
「みゃ!」
「言葉はわかんないけど、凄い、凄い」
再び、ギュッと抱きついてしまう。今度はニーコだ。マーコのほうがぽっちゃりさんなので、抱きごこちはマーコのほうがよさげだ。ニーコの匂いも堪能する。猫吸い最高。
『……いい加減、移動しないのかい?』
「あっ!」
ユーコに言われて我に返る。危ない、危ない。天国に行きそうだった。
「みゃぁ」
「みゃみゃ」
『そうだね』
二匹とユーコの間で会話が成立している模様。
『雅』
「ん?」
『せっかくだ。この子らの背中に乗って移動しないかい?』
「えっ」
『この身体の大きさだったら、雅くらい乗せたって移動できるだろう?』
「みゃー!」
「なー!」
ユーコの言葉に返事をするマーコとニーコ。やる気に溢れた目を私に向けてくる。
「……乗っても大丈夫なの?」
「みゃぁ!」
『大丈夫だとよ』
大きな猫の背中に乗って森の中を駆け抜ける。
それは、ちょっと、いや、凄く、心惹かれる。
私は一瞬考えたけれど、猫の背に乗る魅力に敵うものはなく。
「じゃあ、お願い!」
「みゃっ!」
マーコが嬉しそうに鳴いて、私が跨りやすいように身体を低くしてくれた。
「ん、よいしょっ」
跨ったとたん、ぬっと立ち上がるマーコ。思っていたよりも高さがあって、少し怖い。
『マーコ、まずはゆっくりな』
「なぁ?」
『当たり前であろう。雅を振り落とす気か?』
「みゃみゃみゃ!」
『スピードを上げるのは、雅が慣れてからだ』
ユーコが色々と言ってくれるおかげで、いきなりの猛スピードはなかったのだ。
しかし。
『そろそろスピードをあげてもよかろう』
「え?」
ユーコがGOサインを出したのは、ものの10分も経たない頃。
「ちょ、ちょっと、待ってよ。まだ無理っ!?」
私がストップをかけようとしたが、マーコはユーコの言葉に反応。
「ひゃぁぁぁぁぁぁっ!」
『雅、しっかりつかめ~!』
――言われなくても!
私は目に涙をためながら、マーコの背中の毛を毟る勢いでつかんだのであった。




