第26話 ニーコ、マーコの応援に行く
ニーコを先頭にして歩いて二時間ほど経った。
歩きなれない場所なのと、ニーコの歩くペースについていくので、息が上がっている。マーコが先行していた時よりも、幾分か早めなせいもある。
――こりゃ、今夜は爆睡だな。
そんなことを考えながら、すでに重くなってきた足を引きずり前へと進む。周囲を見る余裕はない。見たところで、ほとんど景色は変わってないと思う。
「そろそろ休憩しようか?」
ニーコの声でハッとする。
そこでようやく周囲へと意識を向けることができた。やっぱり、先ほど休憩した場所とあまり変わりばえしない風景だ。
「あ、うん」
足を止めて、近くにあった大きめの石に腰をかける。つくづく運動不足を痛感する。
『雅、大丈夫か?』
「つ、疲れた」
返事を返したものの、それ以上は続かない。
「マーコが離れてる」
私の息が整った頃、ニーコが不機嫌そうに言いだした。
「ニーコが心配するほど?」
ニーコ自身も後方にいた時は離れていた。それと同じではないのか、と思ったのだが。
「うん……ちょっと囲まれてる。僕、行ってきてもいい?」
「行って! 行って! ユーコがいてくれるから大丈夫よ」
『うむ。任せろ。結界を張っておく』
そう言うとユーコは、私の周りに小さいながらも結界を張ってくれた。
「行ってくる!」
結界が張られると同時に、ニーコは飛ぶように走り出した。
「……大丈夫かな」
『うむ。心配しても、仕方があるまい。雅は茶でも飲みながら待っていろ』
「うん……」
リュックの中から、再び水筒を出してお茶を飲む。疲れているせいか、温くなっても美味しいと思える。
「……そういえば、進行方向からは魔物が襲ってこないけど、なんでかな」
今更ながら、家のあったところから歩き続けて、一度も遭遇していないことに気が付いた。
『こっちはマーコが動き回っていた場所なのであろう? おそらくだが、あの子のことだ。レベル上げのために狩りまくったんじゃないか?』
「……ありうる」
『マーコが今戦っている魔物たちは、おそらく森の奥からわいてる連中であろう。ニーコも狩っておったろうが……戻ってきた数のほうが多いのかもしれんな』
「大丈夫かなぁ」
不安に思いながら、マーコたちが戻ってくるのを待つ。
ユーコの結界のおかげでほどよい気温なのと、朝が早かったのと疲れていたこともあってか、ウトウトし始めた頃。
『雅、そろそろ戻って来るぞ』
ユーコの声でハッとして目が覚めた。瞼を擦りながら、ニーコが走って行ったほうを向く。
「戻ってきた?」
『まだだが……来るぞ』
ニヤリと悪そうに笑ったユーコ。何事かと思ったら。
「みゃーうん」
「みゃー!」
軽自動車くらいある大きな猫が二匹、飛び込んできた。
「えぇぇぇ!?」
どう見ても、キジトラとサバトラのでっかい猫。目をキラキラさせてるけど、顔もデカくて怖い。大きな口でパクリといかれたら、あの世行きだ。
しかし、二匹ともが盛大にゴロゴロいっている。
「……まさか、マーコとニーコ?」
「にゃーん」
「みゃうー」
「ぎゃぁ~!?」
二匹からベロリ、ベロリと顔を舐められた。
『随分とでかくなったもんだねぇ』
ユーコが呆れたように言った。




