第25話 レベルアップ、続々
水筒の中には今朝いれた温かいお茶が入っている。それにおにぎりも。
「ん~、はぁ、お茶が美味しい~」
マーコとニーコにはぬるめの白湯が入っている小さい水筒を持たせてあったので、マーコも座って飲んでいる。
小さな手で抱えるように飲む姿は、猫の時とはまた違った可愛さがあって、少しほっこりした気分になる。
しかし、この場にはまだニーコの姿はない。
「ニーコ遅いね」
「ん、苦戦してるようだね」
「え、大丈夫なの?」
「うん、今、終わった」
マーコは余裕の表情。不安に思いながらも、しっかりおにぎりを食べきった頃に、ニーコが勢いよく戻ってきた。
「遅いぞ~」
「悪い、悪い」
そう言ってるニーコだけど、全然、悪いとは思っていなそう。むしろ、ニヤニヤしている。
「何よ、気味が悪い」
「じゃじゃーん! れべるあっぷ~!」
「はぁ……いくつ?」
マーコがため息をつきながら聞く。
二人が競い合ってるのは知っているけれど、今のレベルのことは聞いたことがなかった。
「むふふ、やっと15になった!」
ヒャッホー! とピョンピョンと飛び跳ねるニーコに、マーコは白い目を向ける。
「なんだ。20にでもなったのかと思ったのに」
「むー! そういうマーコはなんだよ!」
「フッ、私は18よ」
「!? なんで! なんでマーコのほうが上なんだよ!」
「そりゃぁ、たくさん魔物をやっつけてるからに決まってるじゃない」
「ぐぬぬぬぬ」
二人のやりとりを生温い視線で見る私とユーコ。
ぎゃいぎゃい言い合う二人をよそに、私はユーコに問いかける。
「ユーコはレベルはいくつなの?」
『私か? 私は5かな』
「へぇ! 一日に1レベル以上上げてるんだ。凄いね」
『馬鹿な魔物のおかげでな』
家に結界を張っていたせいで、魔物が体当たりして自爆するということがあったおかげで、本来ならもう少し時間がかかるレベルアップが、サクサクッと上がったらしい。
『追加できる部屋の数も増えたぞ?』
「え」
『雅が望まないから、まだ増やしてないが』
「あー、はい」
私一人とちびっ子三人では、今の部屋数で十分過ごせているし、ユーコ自体は家と一心同体みたいで、彼女専用の部屋を必要としていないのだ。
『あとは結界もパワーアップした!』
「へぇ!」
『家がなくても、このくらいの範囲だったら私の力で結界を張れるのだ!』
ムフー、と鼻の穴を膨らませて自慢げに言う。
「じゃあ、今、やってみせてよ」
『任せろ』
そう言うとユーコは両手を上に伸ばして、フンッと気合を入れるとシュワンッという軽い音とともに、水色がかった透明な結界の膜が張られた。
「おお~」
『フフフ、どうだ。凄いだろう』
「うん、凄い、凄い」
私は思わず興奮して、腰かけていた倒木から立ち上がると膜にぺたりと手のひらを当てると、するりと抜ける。
「え?」
『私の結界なのだ。雅とあのチビどもは通り抜けられるようになっておる』
「おお~」
ユーコが自慢するわけだ。
これで雨も防げるのかと思ったら、残念ながらそこまでの性能はなかった。
――まぁ、魔物とかから守ってもらえるだけでも、ありがたいけどね。
この前見せられた、大きな犬の魔物を考えたら、余計に思う。私があんなのに襲われたら、一発であの世行きだ。
「そろそろ移動始めるわよ」
「今度は僕が先頭だ」
「よろしくね。ニーコ」
「任せて~」
私たちは休憩した場所から、再び移動を始めた。




