第22話 雅、森の現実を知る
ユーコに叱られた二匹は、トボトボと家の中に入ったかと思ったら、そのまま猫部屋のそれぞれの猫ベッド(丸型)に入ってしまった。
マーコはアンモニャイト、ニーコは顎だけ枠に乗せて目を閉じている。
ちなみに人型の時には、亡くなった祖母の布団に二人そろって袴姿のまま寝ていた。あれは固定の衣装らしい。ユーコは消えてしまって、どこで寝ているのかわからなかった。
「無事に帰ってきてくれてよかったわ」
マーコの背中を優しく撫でながら声をかけると、マーコの耳がピクピクンと動く。だけど、顔はあげない。かなり凹んでいるのかもしれない。
それにしても、あんな大きな犬を相手にしてきたとは、小さな子供の姿の二人を想像すると、凄く怖くなる。
――それよりも、あんな大きな犬が襲ってくるような森なのね。
大きさはマーコとニーコ二人分くらいあった。あれをやっつけたというのだから、マーコたちは、それなりに強いんだとは思う。
それにしても、ユーコの結界の外で倒れていた猪もそうだけど、ここは、いつ獣に襲われてもおかしくはない場所なんだなと再認識して不安が増す。
それでも、ここにずっといるわけにもいかない。
39歳のままだったら、マーコ達と一緒に隠者のようにここで暮らしてもいいかな、と思ったかもしれない。
でもせっかく若返ったのだし、せっかく異世界に来たんだし、あちこち見に行ってみたい気になっている。
――それにしても、マーコの表示してくれた地図、かなり動き回ってたように見えたけど、村とか町とかはなかったんだよねぇ。
見るからに、森、森、森、という表示。縮尺がわからないけど、猫又の彼らが私と同じような距離感で移動してるとは思えない。
一日、二日で、人の住んでいるところには到着できそうもない、というのは予想がついた。
それでも我が家があれば、なんとか進んでいける気がする。
「さてと、遅くなったけど、お昼にしようっと」
私はスックと立ち上がると台所へと向かった。
* * * * *
『で、どうだった』
雅が台所に行ったところで、ユーコが二匹の元に現れた。
「にゃぁ~?(どうだったって?)」
視線だけをユーコに向けるニーコ。マーコも顔をあげた。
『そりゃ、森の様子よ』
「にゃにゃにゃ(問題ないと思うよ)」
『問題ないって』
「にゃ~にゃ~(レベルあがったし~)」
「にゃにゃ、ふにゃっにゃ(まだ、あがるし)」
『はぁ……、あんたたちがよくても、雅を守って移動しなきゃなんないこと、わかってる?』
「にゃ~。にゃにゃにゃ、にゃ~ふ~(わかってるわよ~、心配なら、もう少し強くなってからでもいいし)」
「にゃぁ~(だな~)」
『まったく。それよりも、狩った獲物はどうしたのよ』
「にゃっ!(そうだった!)」
「みゃう、にゃにゃにゃ~(僕のは、『収納』の中で『解体』しといた~)」
「にゃっ! みゃうみゃ~(なんですって! あんた、天才ね!)」
『……あとで、雅に渡してやりなさいよ』
「みゃ~う~!(当然~)」
後で、と言われたのに、トコトコと台所へと向かうマーコとニーコ。
今日狩った獲物の肉をいきなり床に出して、雅に叫ばれるまで、あと少し。




