第21話 マーコとニーコ、叱られる
「どうしたのっ!?」
慌てて門扉を開けると、マーコとニーコが、見つかっちゃった、というような顔をした。
「た、ただいま~」
「疲れた~」
トトトトトト~、と私の脇を通り抜けて中に入ろうとしたので、二人の襟首をむんずと掴む。
「ど・う・し・た・の?」
「うひょー」
「な、なにもないー」
明らかに何かあった反応なのに、二人は正直にはこたえない。
『どうせ、雅の言うことをきかないで、遠くまでいって強い魔物にでも襲われたんであろう』
「ギクッ」
「ギクギクッ」
「マーーコーー、ニーーコーー」
「うひゃあ、ごめんなニャーン!」
「ニャーン!」
「うわっ」
マーコとニーコが謝罪の言葉を言い切る前に、二人は猫の姿に戻ってしまった。
「え。なんで?」
両手がグッと重くなったので、思わず足元に下ろす。
「にゃぁ……」
「にゃにゃにゃぁ……」
『二匹とも、転移で戻ってきたようだな』
「転移?」
『ああ、いきなり現れただろう? どこから飛んで来たかわからんが、力を使い過ぎて猫の姿に戻ったんだろ』
「え、また、鼻チュー?」
この前と同じくらい鼻チューしたら、私、四歳になってしまう!
『いらんいらん、飯を食って寝れば、また人の姿に戻ってるだろう』
ユーコが呆れたように二匹に目を向ける。
「まったく……マーコ、ニーコ、何やってるんだか」
「みゃう~」
「みゃぁ~」
ちょっと反省しているようなので、しょうがないなぁ、と思いながら二匹の頭を撫でる。
「で、どこまで行ってきたの?」
『地図を出してみろ』
「にゃーん」
ユーコの言葉に返事をしたのはマーコ。同時にうちのテレビの画面くらいの大きさの透明な板が目の前に現れた。
「え?」
『雅、反対だ』
どうも画面はマーコの正面に出ているようで、私とユーコはすぐにマーコの後ろに回って画面を見る。
「……ねぇ、この縮尺ってどれくらいなのかしら」
『……どうだろうな。でも、かなり広範囲を動き回ったってのはわかる』
ユーコがジロリと二匹に目を向ける。
『どうせ、調子にのって遠くまでいって、強い魔物にでも会って、慌てて逃げてきたんじゃないか?』
「ニャ、ニャー!」
「ニャー! ニャー!」
『フン、やっぱり』
どんな会話をしているのかわからないけれど、ユーコの言葉は大筋で間違っていないようだ。
「ニャー!」
マーコが何やら主張していると、何もないところから、ドサリドサリと何かが落ちてきた。
「ギャッ!?」
私の目の前に落とされたのは、真っ二つになった巨大な犬の死体。
「な、なにこれ!」
『あ~、逃げてきたんじゃなくて、倒してきたと言いたいわけか』
マーコがフンッと鼻息を吐く。これは自慢しているということだろうか。
『たわけ! たまたま勝てただけであろう!』
ユーコの叱責が頭に響く。それはマーコとニーコも同じようで、イカ耳になっている。
『お前たちが無事でなければ、雅はずっと、この場所にいなければならんのだぞ! もう少し、雅のことを考えんか! たわけ!』
ゴゴゴーという効果音を背負ったユーコが、二匹を見下ろしている図。
ちょっと怖い。




