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うちの猫、めっちゃ強いんですけど~愛猫たちと異世界満喫生活~  作者: 実川えむ
異世界を旅してみる

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第19話 マーコとニーコの初めての冒険(3)

 マーコがニーコを追いかけ始めた頃、ニーコは北上するスピードを上げていた。


 ――なんか、しつこいのがついてきてるな。


 画面にチカチカ光る赤い点が、ニーコの後を追いかけてきている。それが徐々に距離をつめてきているから、不安になってくる。

 少し前まで討伐してきたウサギやネズミの魔物のようなスピードでもないし、そもそも、ウサギたちとは赤い点の大きさが違うのだ。


 ――強い奴に目をつけられたか。


 目の前に一軒家くらいの高さの大きな岩が見えたのでニーコはそれに駆け上り、追いかけてきている相手を確認する。

 ガサガサと大きな音をたてて現れたのは、黒っぽい毛色の大型の犬だ。


 ――野犬?


 ニーコはすぐさま『鑑定』する。


「へぇ、フォロンドッグっていうのか」


 フォロンの森の固有種らしく、通常の犬型の魔物よりも大型な上に。


 ウォォォン


「くそっ」


 遠吠えに行動不能にさせる能力があった。

 『鑑定』に気をとられてしっかりハマってしまったニーコは、身体が動けない。しかし、フォロンドッグ目の前の岩を飛び乗るほどの跳躍力はないようで、何度も飛び上がっては足先だけガリガリと引っかかって、上手く乗れないでいる。

 そのおかげもあってか、身体が動けるようになってきたニーコ。それでも、飛び降りて戦えるほどではない。


「ハッ、『ウィンドカッター』!」


 キャウンッ


 ニーコは岩の上からフォロンドッグを狙ったが、奴の耳を掠っただけだった。


 グルルルルッ


 また魔法がくるとでも思ったのか、フォロンドッグが唸りながらも岩から少し離れた。


 ――違う! 奴は助走して飛び上がるつもりだ!


 フォロンドッグが歯を剥きだして、岩のほうへ凄いスピードで走ってきた。


 ――飛び上がった時がチャンス!


 スピードにのったフォロンドッグが、後ろ足で飛び上がろうとした時。


「『ウィンド……』」

「『ウィンドカッター!』」


 ニーコが呪文を言い終わる前に、別の声で発したウィンドカッターが飛んでいた。


 ドサリ、ドサリ


 フォロンドッグは叫ぶ間もなく、身体が真っ二つに分かれて落ちた。


「ま、間に合った~」

「マーコ!」


 フォロンドッグのそばでへたり込むマーコ。ニーコは岩の上から飛び降り、マーコのそばへと駆け寄る。


「マーコ、凄いね!」

「はぁ~、『マッピング』のおかげで、追いかけてこられたよぉ~」

「あ、すっかり忘れてた!」

「まぁ、とりあえず、一度、戻ろ?」

「そうだね。でも、だいぶ離れちゃった」


 二人は『マッピング』で表示されている家のアイコンを確認する。戻る道すがらに、先程のフォロンドッグくらいの大きさの赤い点がチラホラ見えるのだ。


「どうしよう」

「……そうだ! 確か便利なのがあったはず! 『ステータス』!」


 へにょりと耳が垂れているニーコをよそに、マーコは自分のステータスを確認した。

 『ステータス』の画面は正面にある『マッピング』画面が横にずれて、目の前に表示される。


「わ、なんかレベルが上がってる! そうか、あのピロロンって、レベルアップの音か!」

「ほんとだ。じゃあ、僕は?」


 ステータスの画面を見るとマーコのほうがレベルが二つほど上だ。


「なんで!?」

「あー、さっきの犬の分かも。切り飛ばした後に、音が聞こえた」

「ズルい~!」

「仕方ないじゃん! それよりも、戻る方法!」


 ムスッとしているニーコをよそに、マーコは自分のステータスを確認していくために、画面をどんどんスクロールしていく。

 神から一通りの知識は詰め込まれているものの、こうしてステータスの画面で探すのは初めてだった。


「あった!」

「どれ?」

「これ、転移」

「あ、転移のレベルは1だから自分だけしか飛べないって」

「でも、ニーコだって同じでしょ」


 マーコに言われて、ニーコも自分のステータスを確認する。


「やっぱり、ニーコも転移あるし、レベルは1じゃん」

「むぅ」

「とりあえず、帰ろう。ほら、また変なの近づいてるっぽいよ」

「うー。じゃあ、転移!」


 ニーコが不機嫌そうな顔でそう叫ぶと、マーコの目の前から光の粒のように消えていく。


「へぇ、こんな風になるんだ」


 マーコが感心していると、ガサガサと草をかきわけてくる音が、段々近づいてくる。


「わ、ヤバい」


 倒したフォロンドッグを慌てて『収納』するマーコ。


「転移」


 マーコの光の粒が消える頃、魔物がニオイを追って現れた。先程のフォロンドッグよりも大きい、フォロンウルフ。赤い目がギラリと光る。

 周囲を見渡すフォロンウルフだったが、その場には、何かがいたニオイしか残っていなかった。

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