第16話 今いる場所は
異世界に飛ばされて三日目。
マーコとニーコとユーコの三人(?)の、それぞれの能力について聞いているうちに、一日なんてあっという間に過ぎてしまった。
マーコとニーコには、ノナから異世界情報が渡されていたのには、びっくりした。
だから、あんなにあっさりしたメッセージになってたのか、とは思うものの、一言くらいあってもいいと思う。
まず、私たちが落ちた場所は、フォロンの森と呼ばれているらしい。
この世界の真ん中よりも少し東側に位置しているフォロンの森。かなり大きな森だそうで、元は一つの国だったのが、木の魔物、トレントが爆発的に増えて森に飲みこまれ滅亡したそうだ。もしかしたら、森の奥に行けば遺跡が残っているかもしれない。
ただし、当然、森の中には魔物が存在するわけで、奥に行けば行くほど、強い魔物がいるそうだ。
そんな森の中でも、私たちがいる場所は奥のほうに近いらしい。
強い魔物がたくさんいそうで、マーコとニーコで大丈夫なのか、凄く不安だ。
そして、フォロンの森の周辺には、いくつかの国が隣接しているらしい。
比較的平和な国もあるけれど、国がたくさんあるからには、安定しているところばかりではなく、戦争をやってる国や、政争で不安定な国もあるようだ。
できるだけ、そんな国には関わらないでいたいので、距離をおきたいところ。
ちなみに、今いる場所で最も近いのは、森の南側に位置するナークス王国らしいのだけれど、ここがまさにナークス王国の西側にある隣国と戦争中。
次に近いのが東側に位置するモブル王国。とても小さい国で、大国の属国のような立ち位置にいるらしい。
そして次に近いのが、モブル王国の北に位置する大国、アルタン帝国。『帝国』という響きだけで、ちょっと腰が引ける。
とりあえず、小さかろうとも、属国であろうとも、まずは人のいる村を探すためにモブル王国に行くのが無難な気がする。
ユーコの力があれば、最低限の生活はできるだろうけれど、楽しい異世界生活をするのなら、やっぱり人の住んでいる村か町で生活するのが一番だと思うのだ。
そのためには、この森から出なくてはいけないわけで、この家を置いて行かないといけないのか、と寂しく思っていたら、なんと、ユーコが持ち運びできると言いだした。
ユーコには、この家だけに特化した、いわゆる収納の能力を持っているのだそうだ。
「え、それなら森の中を移動するときの野営とか、気にしなくてもいいのね」
私とユーコは、私の部屋の窓を開けて、猫の額の庭を前で日向ぼっこ中だ。
私のお願いで小松菜の畑を作ってくれたユーコ。他にも大根や白菜といった野菜の種が植わっている。
季節感は大丈夫なのか、と心配になったけれど、ユーコの結界で守られている我が家、温度調節もバッチリらしい。
確かに今朝、起きた時は、それほど寒さを感じなかった。
『この家を置けるだけの場所があれば、だがな』
「ん~、森の中では難しそうだね」
『マーコとニーコがいれば、場所ぐらい作りそうだがな』
確かに、と内心思う私。
お茶をずずずっと飲みながら、目線をブロック塀の向こう側に向ける。そこは木々が綺麗に伐採されて、空地になっている。
家の周りの木々がブロック塀近くに生えていて、少し薄暗い感じがしていた私。昨日、ぽそっと、木が邪魔ねぇ、なんて言ったら、マーコとニーコが魔法や自分たちの爪(!?)を使って切り倒してくれたのだ。
最初こそ、二人がかりで一本がやっとという感じだったのに、家の周りを綺麗にする頃には、一人で一本を切ることができるようになっていた。
「それにしても、あの子たち、どこまで行ったのかな」
『あいつらなら、大丈夫だろ』
「……そうかなぁ」
今朝方、意気揚々と出て行ったマーコとニーコの姿を思い出して、苦笑いが浮かんでしまった。




