表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
うちの猫、めっちゃ強いんですけど~愛猫たちと異世界満喫生活~  作者: 実川えむ
異世界に飛ばされる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/24

閑話:四神の思い(2)

 西のウヌオプカ聖王国、『秋の神ニギノ』を祀るニギノ神殿では、聖女の代替わりを祝う、盛大な宴が催されていた。

 

「わっはっは、セシリー様、おめでとうございます!」

「おめでとうございます」


 貴族たちが赤ら顔でワインを掲げながら、乾杯を繰り返す。

 彼らは新たに聖女となったセシリーの養父、アークライト公爵家の派閥の者たちだ。元は平民だったセシリーを、聖女にまで押し上げたのは彼らの力が大きかった。


 ――フン、卑しい顔。


 内心、周囲の大人たちを見下しているセシリー。顔には美しい笑みを浮かべている。


 ――ま、こいつらも私の駒でしかないけど。


 セシリーの最終的な目標は、王太子との婚約。婚約者候補はいるものの、まだ決定されていない今こそ、公爵令嬢であり、聖女でもある、セシリーが一歩抜きんでているのだ。

 この祝いの席にも国王の代理として来る予定であったのに、いまだにその姿はない。

 セシリーは王太子が現れるのを今か今かと待ち続けていた。




 時同じくして、ウヌオプカ聖王国の東の外れの修道院。

 薄暗い聖堂の中、一人祈りを捧げている女性がいた。先代の聖女、クロイ・ヘイワード伯爵令嬢。独身のまま、すでに三十路に入り、このまま聖女として神殿に身を捧げると思っていたところで、突然の交代劇。

 聖女として認められるのは、認定式での『秋の神ニギノ』からの神託のみ。

 すでに聖女としてクロイがいる現在、認定式の必要はなかったにも関わらず、アークライト公爵家のゴリ押しで行われ、セシリーが聖女として認められた。

 そうなると先代聖女はニギノ神殿には必要はない。


『まぁ、アレらは我を信じておらんからな』

「ニギノ様」


 悲し気にニギノ神の石像を見上げる聖女クロイに、ニギノは優しく諭す。


『あんなのにノナ様の神託を伝える必要はない』

「しかし、主神様のお気にかけているお方をお助けしないと……」

『イダのところが動いている。下手にアレらが動いた方が、邪魔であろう』

「……ニギノ様、どうぞ、かの方をお守りください」

『フフフ、どうも、主神様だけではなく他の神々も見守っているようだから、きっと大丈夫さ(まぁ、私も気にかけるつもりだけど)』

「そうなのですね」


 ホッとため息をつく聖女クロイを見て、ニギノはクスリと笑う。


 ――我も、こちらに引っ越すか。


 王都のほうに目を向け、口をへの字にするニギノであった。


           *   *   *   *   *


 北のホゴート王国、『冬の神ノスカ』を祀るノスカ神殿。ここも、西のウヌオプカ聖王国のニギノ神殿同様、腐敗していた。

 こちらは神殿長の妹の孫、アビゲイル・ハモンド侯爵令嬢が聖女の称号を持っていた。

 当然、本当の聖女ではないから、神託など聞こえない。


『エルマー、今日のご飯は美味かったか?』

「うん。でも、全然足りない」


 ノスカと並んで話をしているのは、神官見習いのエルマー・シェフィールド、10歳。貧乏男爵家の三男ということで、幼いうちから神殿に入れられてしまった。

 今エルマーは神殿の裏手の庭掃除を一人でさせられているところだ。

 エルマーは隣に立っている男が『冬の神ノスカ』だとは気付いていない。ノスカ自身も名乗っていないからだ。


『そうか。ほら、これをやろう』

「わ、モンモンの実(りんご)だ!」


 ノスカから渡された実を手にして、大喜びのエルマー。


「ねぇ、女の人の声が聞こえたんだけど」

『そうか?』

「保護してって。誰かに言ったほうがいいかな」

『大丈夫だ。私が聞いたからな』

「そっか」

 

 ――エルマーが聖人だとわかったら、消されるか、いいように使われるだけだ。


 幼い聖人が、美味しそうに実を食べている姿を見つめ、微笑むノスカ。


 ――ノナ様のお気にかけているお方よりも、エルマーのほうが心配だ。


 大きくため息をつくノスカであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ