第89話 遅いお昼を食べよう
我が家に無事に帰宅して、今はソファでぐでーっと横になっているところである。
ニーコとマーコも猫の姿になって、私の両サイドにくっついている。
――マジで疲れた~。
はぁ、と思い切りため息をつく。
ちょっと帝都まで、な気軽な気持ちでいたけれど、実際行ったら、神殿やらギルドやらと、面倒な感じになったし、誰だか知らない人に追っかけられたりもした。
全然、気軽なおでかけではなかった。
「帝都に行くたび、毎回、こんななのかなぁ」
思わず、ぼそりと呟いてしまう。
マーコとニーコは、耳をピクピクさせるだけで、何も言わない。
ちなみに、ルーカスさんとランドルフさんは、まだ交代時間ではないのでうちの門の中に立って、周囲を警戒している。
正直、ユーコの結界があるので、外からは気付かれないから、そんなに警戒する必要はないはじなのだが、それが彼らの仕事なので、と言われたら、そうですね、と言うしかない。
くぅ~
私のお腹の虫が鳴った。
時間的に、もうお昼の時間ではない。あちらであれば、ギリギリ、ランチタイムのラストオーダーくらいの時間だろうか。
「あ~、帝都で何か食べてきたかったんだよなぁ」
こちらに来てからは、基本、自炊をしていた私だけれど、たまには外食もしたくなる。
印象に残っているレザマの街で食べた屋台の魔物のお肉を思い出し、口の中に涎が溢れてくる。
同じレベルの物が帝都にもあるかはわからないけれど、『帝都』というくらいだ。美味しい物が集まっていたに違いない。
――まぁ、今更戻りたいとは思わないけどね。
私はマーコたちを残してむくりと起き上がる。
「……なんか食べよう」
台所に行って冷蔵庫を開ける。目についたのは、卵と薄切りベーコン。野菜室には長ネギが入っている。冷凍室には、ご飯を冷凍したものが入ってる。
「……チャーハンでいいか」
自分一人分……と思ったけれど、帝都に付き合わせたルーカスさんたちにも用意してあげたほうがいいかもしれない。
「みゃぁ~」
マーコが足元へとやってきて、何やら物言いたげだ。
「何、ご飯?」
「みゃ」
ジーッと期待の眼差しを向けてきたので、カリカリのエサを皿に入れると、寝てたはずのニーコも起きてきた。
カリカリカリと音をたてて食べている二匹にほっこりしながら、私は自分のお昼の準備にとりかかった。
チャーハンというよりも焼き飯となった私の昼ご飯。
自分で作ったからか、可もなく不可もなく。中華料理店のチャーハンを懐かしく思ってしまった。
一応多めに作ったので、残りはおにぎりにして、ルーカスさんたちに差し入れしておいた。
その時に聞いたのだが、やはり、不審者が家の近くまで来ていたらしい。格好からして、どこかの貴族の使用人だろうとのこと。もっとヤバそうな人たちでなくてよかった。
もう少ししたら交代の時間なのだが、家の場所が移動したのを伝えに神殿に戻らないといけないということで、ルーカスさんが帝都へと戻って行った。
ユーコの結界を張ったままだと、聖騎士たちが外にいないと、新たに来る人には家の場所はわからない。
家の中に戻り、食器を洗いながら、毎回、こういうのって面倒だなぁ、と思った私であった。




