第87話 帝都散策 ー冒険者ギルドー (2)
冒険者ギルドのドアは思ったよりも重くて、私が頑張って開けようとしていたら、中から出てきた人のほうが先に開けてくれた。
「おっと、ごめんよ」
開けたのはルーカスさんたち聖騎士とは違って、髭もさもさで、筋肉ムキムキなおじさん。
私がいたのに少しだけ驚いて声をあげたけれど、そのまま出て行ってしまった。
――今のうち!
ドアが閉まる前に、私とマーコたちはするりとギルドの中へと入る。
「おお~」
さすが帝都のギルドだ。
建物自体もかなり大きかったから、当然、中もかなり広いし、中にいる冒険者の数も多い。
――レザマ(モブル王国の大きな街)では、昼時にこんなに人はいなかった気がする。
私はキョロキョロしながら、依頼が貼りだされている掲示板を探す。
――あった。
掲示板の前に立って、どんな依頼があるのか見てみる。
低ランク向けの依頼の多くは、帝都の中の雑用仕事。ゴミ収集だとか、荷物運び、屋敷の草むしりとか。
薬草採取もあった。これは常時依頼として貼りだされていた。
「モギナもタイムンもあったよね」
「うん。あるよ」
「じゃあ、それ、出してきちゃおうか」
私は受付のカウンターのほうへと歩いて行く。
さすが帝都のギルドだけあって、受付の担当者の数が多い。しかも美人が多い。そして人気ランキングのように、人が並んでいるから面白い。
私は人の並んでいない、女性ではないおじさんが待っているカウンターへと並ぶ。
おじさんは書類を見ているのか、俯いたままだ。
「すみません」
私の声で顔をあげたおじさん。ちょっとお疲れ気味な感じだ。
「おや、依頼かい」
「いえ、あの、常時依頼の薬草を納品したいんですけど、どうしたらいいですか」
「……お前さん、冒険者だったのかい」
おじさんが驚いたような顔で、私をジロジロ見る。
――あ、今日はマーコの作ってくれたチュニックだった。
レースを縫い付けてあるから、こちらでもちょっと上品な格好なのは、街の中を歩いてきたからわかってたのに、ストンと忘れていた。
「はい。Fランクなんですけど」
「私はG!」
「僕もG!」
私たちがギルドカードを見せると、ほおほお、と言いながらカードを受け取り、確認するおじさん。
「で、薬草だったな。ここで出してくれるかい」
「わかりました。マーコ、とりあえずモギナとタイムン、出してくれる」
「あーい」
マーコは自分で作った偽装用のバッグから、モギナを三束(十本)、タイムンも三束(十本)を出す。レザマでも、十本で一束にして出していたからだ。
一人、モギナ一束、タイムン一束換算だ。
「ほお」
チラリと目を向けるおじさんだけど、そのまま本数を数え、モギナとタイムンの状態もチェックしてくれた。
「随分新鮮な状態だね」
私たちはニコニコ笑って誤魔化す。
「よし、依頼完了だ」
「ありがとうございます」
おじさんからカードとお金を受け取る。
「あぶなかったな。あと三日遅れてたら、有効期間が切れていたぞ」
その言葉に冷や汗が出る。
「もう少し頑張って、Eランクになれば、資格消失までが一年になるからな」
「あ、はい。頑張ります」
「お嬢ちゃんたちも頑張れよ」
「うん」
「頑張るよ!」
マーコとニーコにも声をかけてくれたおじさん。
この人、いい人だな、と、思った私は、ペコリと頭を下げてカウンターを離れたのであった。
いつも『うちの猫、めっちゃ強いんですけど~愛猫たちと異世界満喫生活~』を読んでいただき、ありがとうございます。
現在『山、買いました』9巻の原稿作業をしておりまして、少し、そちらに集中したいのと、みちのくコミティアで仙台に行く予定もあり、その準備もあって、約1週間ほど休載させていただきたいと思います。
また、カクヨム掲載に追いついたので、今後の掲載ペースは3日置きになります。ご了承ください。
再開しましたら、また読みに来て下さると嬉しいです。
よろしくお願いします。




