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【書籍化進行中】うちの猫、めっちゃ強いんですけど~愛猫たちと異世界満喫生活~  作者: 実川えむ
アルタン帝国に行ってみよう ー帝都の外れで生活をしてみるー

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第84話 帝都散策 ー神殿ー(4)

 私たちの目の前に、神殿長に並んで座る白髪混じりの焦げ茶色の髪の五十代くらいの男性。真面目そうに見えるのは、黒縁の眼鏡をかけているからだろうか。

 ラガットさんという方で、神殿で鑑定をする仕事をしている人らしい。黒縁の眼鏡は鑑定をするための魔道具らしい。

 魔道具があれば、誰でも鑑定できるのでは、と思ったのだけれど、この魔道具自体が、かなり貴重な物らしく、取り扱いに気を付けなければならないそうだ。


 ――私の眼鏡、もしかして、鑑定用とか思われてたりして。


 残念ながら、私のは普通の眼鏡。中学生時代から眼鏡必須の生活をしていたから、若返っても、視力は戻らなかった。こればかりは、コンタクトレンズでもなければ、外せない。

 そのラガットさん、白い手袋をして、ブレスレットをジッと見ている。

 

「どうだね」


 神殿長の感情を押さえた声に対して、ラガットさんは返事もせずに、ブレスレットを手にしながらプルプルと身体を震わせている。

 彼が手にしているのは、マーコが強い『浄化』の力があると言った、モリオンのブレスレットだ。


「ラガット」

「はっ! す、すみません。こ、こちらがあまりにも……」


 一瞬言葉を飲みこむラガットさん。ここで言っていいのか迷っている感じ。室内を見回し、声を抑え気味に、神殿長に話しかける。


「神殿長、防音の魔道具を」

「……それほどか」

「はい」


 真剣な顔のラガットさんに、神殿長はスッと立ち上がって、自身の執務机に向かった。引き出しから出されたのは、手のひらサイズのスノードームのような置物。

 それを私たちの前のテーブルに置いて、手のひらで押さえ込む。


「あっ」


 思わず声が出たのは、ふわんと何か透明な膜が私の身体をすり抜け、部屋全体に広がったから。


「ほお。それが防音の魔道具か」

「面白い」


 マーコとニーコが興味津々に魔道具に目を向ける。


 ――これは、ニーコが確実に作りそう。


 そんな風に思っていると、ラガットさんがブレスレットを見ながら話し出す。


「こちらの黒い石のブレスレットですが、かなり高度な『浄化』の効果が付加されております」

「高度とは、どの程度だ」


 神殿長の言葉に、ゴクリと喉をならすラガットさん。


「おそらく……聖女アイリス様と同等か、それ以上かと」


 その言葉にギョッとする神殿長。


「まさか」

「そこまで?」


 私の背後にいたルーカスさんたちも声に出して驚いている。

 

「ふーん。ここの聖女ってその程度なのかぁ」

「思ったほどでもないな」

「ちょっと!?」


 マーコとニーコの言い方に、私のほうが違う意味でギョッとしてしまう。

 その言葉に、神殿長もさすがにムッとした表情になる。自国の聖女に対して軽んじたように言われたら、そうなるのも仕方がない。


「だって、そうでしょ?」

「その石、雅が持っているのの中でも小さいヤツじゃん」

『そうだな。一番大きいのはホレ』


 ユーコが自分の手のひらに、一番大きいサイズのモリオンのビーズを取り出した。


「なっ!?」

「ひえっ」


 神殿長とラガットさんが驚きの声をあげる。

 

「あ」


 私は、ユーコが私たち以外に見えないことを思い出した。

 たぶん、他の人にはいきなりモリオンのビーズが現れて、浮かんでいる状態で見えているはずだ。


「も、もしや『ザシキワラシ』様ですか?」


 背後から嬉しそうな声をあげたのはルーカスさん。

 チラリと振り向けば、ルーカスさんだけではなくランドルフさんも目をキラキラさせている。

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