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転生したら病弱少女だったけど、看護師スキルで異世界の医療を改革します!3  作者: 櫻木サヱ
広がりはじめた救い

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20/21

手を洗うだけで

王都医療院は、

朝から騒がしかった。


「急患だ!」


廊下に声が響く。


運び込まれてきたのは、

豪華な服を着た少年。


貴族だとすぐ分かる。


顔は真っ赤。

呼吸が荒い。

額には大量の汗。


「三日前から高熱が続いている」


付き添いが言う。


医師たちが集まる。


薬草。

解熱の魔法。

処置が次々と試される。


だが熱は下がらない。


「なぜだ…」


焦りが出始める。


彼女は少し離れて見ていた。


観察する。


部屋。

空気。

人の出入り。


気づいてしまう。


医師たちが、

患者ごとに手を洗っていない。


前の患者に触れた手で、

次を診ている。


それだけで、

感染は広がる。


「手、洗ってください」


ぽつりと言う。


医師の一人が振り返る。


「今は緊急時だ」


「だからです」


真っ直ぐ言う。


「その手で別の患者を触ると、

悪化します」


空気が止まる。


若い娘が何を言う、

という顔。


でも彼女は続ける。


「布も分けて。

同じもの使わないで」


村でやってきたこと。

基本中の基本。


年配の医師が腕を組む。


「根拠は?」


彼女は少年を見る。


「この子の熱、

部屋移動してから悪化してます」


図星だった。


看護記録が残っている。


部屋を移った日から

症状が強くなっている。


つまり院内で何かをもらった。


「……やれ」


責任者が指示を出す。


手洗い。

布の交換。

人の出入り制限。


できることは全部やる。


魔法は使わない。

薬も増やさない。


環境を整えるだけ。


半日後。


少年の呼吸が

少し落ち着く。


翌朝。

熱が下がり始めた。


医療院がざわつく。


「薬を変えてないぞ」

「魔法も追加してない」


つまり――

環境だけで改善した。


年配の医師が

彼女を見る。


疑いの目じゃない。


評価の目。


「君のやり方、

詳しく教えろ」


それは敗北宣言に近かった。


彼女は思う。


特別なことじゃない。

前世では当たり前。


でもここでは、

命を救う新常識。


看護は地味だ。

目立たない。


でも確実に、

命を繋ぐ。


王都の医療は今、

少しだけ変わった。


その中心に、

彼女がいた。

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