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転生したら病弱少女だったけど、看護師スキルで異世界の医療を改革します!3  作者: 櫻木サヱ
広がりはじめた救い

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王都の使者が帰ったあと、

診療所は妙に静かだった。


誰もその話題に触れない。

でも全員が気にしている。


空気で分かる。


彼女はいつも通り手を洗い、

布を煮沸し、

患者を診る。


いつも通り動くことで、

心を落ち着かせていた。


夕方。

最後の患者が帰った頃。


診療所の前に、

人が集まっていることに気づく。


村人たちだった。


子どもを抱えた母親。

怪我を治してもらった猟師。

腹痛から回復した老人。


みんな、

世話になった人たち。


「……どうしたの?」


代表して、

あの母親が口を開く。


「王都、行くんでしょ」


責める声じゃない。

確認する声。


彼女は困って笑う。


「まだ決めてないよ」


すると猟師が言う。


「行けよ」


あまりにも即答だった。


「え?」


「ここはもう大丈夫だ」


彼は自分の手を見せる。

きれいに治った傷。


「お前に教わったやり方、

俺たちでもできる」


周りも頷く。


「水も煮てる」

「手も洗ってる」

「布も分けてる」


全部、

もう村の習慣になっていた。


「ここで救える命も多いが、

王都ならもっと多いだろ」


老人が静かに言う。


胸が、きゅっとなる。


その時。


背後から声。


「行け」


振り返ると、

薬師が立っていた。


相変わらず無愛想。


「お前の知識は本物だ」


初めての肯定。


「最初は腹が立った」


正直すぎる。


「だが…

助かった奴が多いのも事実だ」


少し間を置く。


「俺は薬を作る。

お前はやり方を広めろ」


それが役割分担だ、

と言わんばかりに。


「この村は俺が見る」


それはつまり、

任せろということ。


彼女は言葉を失う。


気づけば、

目の奥が熱い。


この世界に来た時、

一人だった。


でも今は違う。


支えてくれる人がいる。

引き継いでくれる人がいる。


看護は、

一人でやるものじゃない。


それを思い出す。


彼女は深く息を吸う。


そして言う。


「……行くよ」


迷いは消えていた。


「王都で、

医療を広める」


大きなことを言ってる自覚はある。

でも、言葉にすると決まる。


村人たちは笑う。


誰も引き止めない。


それが、

いちばんの応援だった。


空は夕焼け。

赤く染まる村。


ここが始まりの場所。


でも、終点じゃない。


彼女は診療所を見つめる。


小さな場所から、

確かに何かが始まった。


次は王都。


もっと多くの命を守るために。


病弱な体でも、

できることはある。


看護師だから。

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