あ、1章、9レベルが低くて何が悪い!
ど、どういう事だ?
勇者の奴、煽ってるのか?
そこまで怒ってるのか?
俺にトドメを刺しに来てないか?
こんなの死体蹴りじゃないか?
この勇者、こんなにも性格悪かったか?
それとも俺の素行にマジ怒ってる?
複数異性との浮気……そこ迄、重罪だろうか?
オレはタダちょっと、おいたをして人類を滅亡寸前まで追い込んだだけなのに。
それだけなのに勇者の、この仕打ち酷すぎない?
……勇者に酷い事を言われた。
思えば……
勇者こそが俺にとっての魔王。
ラスボス。
いや、
それ以上の難題だったのかも知れない。
魔王の事は正直言って、名声を得る為の踏み台程度にしか思ってなかった。
俺、魔王を軽視していたな。
魔王を舐め腐ってた。
今思えばだけども……
ゲームで例えるならば
俺にとっては、魔王を倒すのがクリア条件ではなかった。
勇者から追放されないのが、勇者との関係を維持するのがクリア条件ではなかったか?
それさえ維持出来ていれば、他の勇者や魔王など、タダの中ボスに過ぎなかったのに。
今更気がついた。
俺の世界の中心は、この勇者だった。
世界は勇者を中心に回るのに……
勇者との人脈が、レベルや金や名誉よりも大切で……
勇者との人脈があれば他は勝手についてくるのに……
ソレを俺は、わかっちゃいなかった。
俺は他の勇者や魔王や王女への対策に労力を裂きすぎた。
そのせいで全然俺の勇者にかまってあげれなかったのである。
だから……俺の勇者パーティーから追放されるのは当然なのだ。
何が一番大切で、何が大切でないのか、
一番大切な俺の勇者を大切にしなかった。
俺の大切な時間。
それを俺の大切な勇者に、もっと注がなきゃならなかった。
なのに俺の時間を勇者以外の奴に注ぎ込みすぎてしまった。
優先順位を間違えた。
その優先順位を間違ったから、俺が追放されるのは当然で……
俺が大切にしなかった勇者から、俺が大切にされ無いのは当然な事で……
実のところ。レベルが低くても何も悪くは無かったのだ。
何故なら、今までもレベルが低い俺に、わざわざ付き合ってくれてた勇者なのだから。
考えて見れば俺にレベルは、さほど必要無かった。
だって、そもそも俺は策を練り、自分よりも高レベルな他の勇者パーティーを全滅させてるのだから。
魔王軍にも痛撃を与えてるのだから。
そもそも俺の勇者パーティーの異常なレベルアップさえも……元はと言えば『レベルアップ速度10分の1』デバフスキルを抱えてしまった俺が、レベルを上げる為に考案したレベリングの副産物なのだから。
俺の10倍の速さでレベルアップする3人は、結果的に俺が育てた最高傑作達なのだから。
つまりは俺には勇者さえいれば、レベルは必要無かった。
強さは勇者が補ってくれる。
俺の最高傑作にはそれだけの力がある。
魔王戦で俺は……隠れてりゃ良かったと思う。
だから声を大にして言える。
【レベルが低くて何が悪い?】
と
実際の所、この勇者パーティー内で1番低レベルな俺こそが、最も人類と魔族に大きな打撃を与えた自覚がある。
狙ってやった訳じゃないけども。
でもだから……こそ
レベル以外の事で、ここ迄やらかした俺が、勇者からヘイトをかう行動をしまくった俺が、余計に全部悪いのだ!
……あやまったら
……全部許してくれね〜かな勇者。
無理なら……
やけ酒飲んで八つ当たりだ〜!
人生なんて……
そんなもんで良いだろう?
でも、そんな舐めた態度だから……
【あんまなめんな!】
と、
俺が育てた最高傑作、世界の中心にいる【勇者】から、怒られるのである。
俺は、この世の中心から世界の果てに追放されつつある。
追放された原因。
極論すれば、俺と勇者の良い想い出よりも
俺と勇者の悪い想い出の方が多くなってしまった。
だから俺は追放される……俺達は別々の道を歩く事になったのだ。
俺が悪い。
自覚がある。
なので文句も言えね〜のである。
人間関係こそが、レベルよりも大切な事だったのかもしれぬ。
人生ってものが何なのか?
新しくわかった気がした。
ちょっと気が付くのが遅れたが……
コレからは同じ失敗をしない様に注意しようと思う。
俺のレベルは35のまま変化は無いが……
俺は精神的にレベルが上がった。
俺の内面が少し成長した。
俺は人生を少し学んだ。
他人を少しは大切にしようとか思った。
好きな相手と利用価値がある相手は特に大切にしよう。
魔王討伐の名誉は手に入れる事が出来なかったが……
それでも少しだけ……心が成長した。
と思う。
人間的に成長出来た。と思う。
転んでもただでは起きないのが地球人の俺なのだから。
だけども【勇者】とは共に歩める奴と思っていたのに……
クソが!
でも本当はわかってる。
俺が悪い。
オレの性格と才能が悪かった。
勇者や誰が俺を裏切ったという訳でなく、俺が勇者の隣どころか、背中にすらついて行けなくなっただけ……
それだけだ!
俺の実力が足りなかった。
しいて言うならば……
俺の才能と性格が俺の野望を裏切った。
それが……何よりも悔しかった。
本当はわかってる。
いつの間にか俺は皇女、勇者に依存してた
自分の運命を他人にゆだねてた。
他人の野望を自分のものと勘違いしてた。
自分の運命を自分で握っていなかった。
勇者に追放されたのは、勇者が俺を握っていたからで、俺が勇者をしっかりと握りしめていなかったからだ。
でも……
ソレに依存して、乗っかるのが楽しかった。振り回されるのが快感だった。
だから……俺自身の実力が、ソレについていけなくなっただけ。
ただそれだけ。
【勇者】に出会わなければ、普通の地球人として幸せに暮らしていただろう。
人類も俺も魔族さえも、もっと平和でいられただろう。
でも勇者と出会ってしまったからには……
仕方ない!
やるしかなかった。
人類にも魔王軍にも全力で挑むしか無かった。
勇者の、あまりにも眩しい強烈な光に目を焼かれたから。
もう……さぁ
勇者の、あまりの輝きに目も焼かれ脳も焼かれて、ウルトラ上手に心を焼かれた。
自分も特別で何をやっても許されるなんて思いこんで……
ホント馬鹿。
俺、馬鹿。
馬鹿馬鹿、俺の馬鹿。
ましてや一時的にせよ、その太陽のようなきらめく輝きを、この手に掴んでいたのだから……
ある意味で、自分の身に余る奇跡を受け止め切れずに、自滅してしまったのが俺なんだよね。
自分のものでは無いものを自分のものだと……当たり前でないものを、当たり前だと勘違いしてたのだから。
それだけに……失うのは
「……残念だ……無念だ。もう、どうして良いかわからないよ」
強がりでも、おちゃらけた虚飾でもなく、
今日、初めての本音が口から漏れた。
そんな落ち込んだ俺に……
「なぁに〜アンタまだいたの〜〜〜。勇者様ぁ〜、こんな奴サッサと追い出そ〜〜〜」
落ち込む俺。
そんな俺に毒舌をぶつける女が現れた。
嫌な奴だ。
見た目は美人、性格ブス。
俺の天敵
勇者パーティーに一番最後から加わった女。俺から勇者を奪った張本人。
俺のレベリングのおかげで勇者同様、スクスク育ってレベル250を突破したのに俺を嫌う『魔法使い』それが
【青の魔法使い】
おれの勇者パーティの1人『青の魔法使い』
クズ女が……俺に喧嘩を売ってきた。
落ち込んでいた俺。
この目にギラリ生気が戻る。
たとえどれだけ落ち込んでいようが、敵を目の前にして弱った姿など見せるものか!
【レベルが低くて何が悪い?】




