あ、1章、4魔王は俺に賄賂を送って来ない
全員がレベル60を超えたら魔王に挑もうね
4人パーティー内で、そんな約束をした。
俺一人だけレベルアップが大幅に遅れた。
……俺のレベリングに付き合ってるうちに、他のメンバーは限界を突破してた。
『勇者』『聖戦士』『魔法使い』俺を除く勇者パーティ3人は皆レベル250超え。
もはや、それぞれ単騎でも魔王に挑めるレベルだ。
なのに、俺のレベルはなかなか上がらず、今だにレベル35。
他の勇者パーティーが焦って全滅したのも、俺がイロイロやった結果と言うよりも……もしかしたら
『俺の勇者パーティー』3人の異常なレベルアップによる所が大きいと思う。
俺のパーティーはレベルを限界突破した。
【レベル250オーバー勇者】
コイツが動けば【魔王】は死ぬよ。
4人パーティー中、三人がレベル250超え。
『俺だけがレベル35』。
はっきり言って俺達のパーティーは、もう何時でも魔王を楽々と撃破出来る。
つまりは他の勇者パーティーは、魔王討伐の栄光が欲しいなら……
いつ動くかわからない、コイツ等……
今日動くかも知れない、
【俺の勇者と、その仲間達】よりも先に、魔王に挑まなくてはならなかった。
他の勇者達、当然みんな焦った。
にわとりになる直前のヒヨコ状態で、魔王に挑んで殺されたと言うか。
あと少し我慢してレベル60以上になれば、魔王に勝てたかもなのに。
他の勇者パーティーは、焦った。
たった一組の強力なライバル勇者組。
飛び抜けて強力な『俺の勇者パーティー』の存在に『他の勇者達』は精神的に耐えきれなかった。
たぶん、みんな【魔王】を倒した栄光が欲しかったから。
俺も……その気持ちはわかる。
だから他の勇者達。
ぎりぎり、もしかして奇跡がおきれば魔王に勝てるかどうかのレベル帯になると、焦って魔王に挑んで全滅した。
勇者は勇気の塊だからな。
弱いモノイジメが嫌いで、強いモノイジメが大好きだ。
引く事を知らんのだ。
俺も【俺の勇者】の手綱をひくのは大変だったからわかる。
勇者は無茶をする。
無茶苦茶をする。
なので……他の勇者全滅。
その事に、俺の勇者は責任を感じてる。
……まぁそれもこれも、よくよく考えれば俺のせいか。
俺の成長デバフをなんとかしようと、ジタバタ考案した『俺のレベリング方法』
それに付き合ってスクスクと限界突破した【俺の勇者パーティ達】。
ソレに焦った『他の勇者達』
そして、ここまで自分の都合で、魔王に挑むのを引き伸ばした俺のせいで……
『他の勇者が全滅した』……
結局俺のせいでもあるんだよなぁ。
でも、それはそれとして
「焦るな勇者。俺達の勇者パーティーは最後に残った人類の希望」
「君が今までも、そう言うから……散々待った結果。それがこれだよ」
「ううう!」
「ワタシら以外、他の勇者パーティー全滅。人類は劣勢だ。このままだと、人類が滅びてしまうよ」
……そう、人類は追い込まれつつある。
と、言うよりも。
「なぜ、まだ人類滅びてね〜んだろ〜な?」
「他人事みたいに……」
「でもでもだって……不思議じゃないか?」
他の勇者達が全滅したと言う事は、人類の最精鋭がほぼ壊滅したと言う事。
攻撃用の最高戦力が俺等を残して全滅した
という事。
人類は、ほぼ攻め駒が無くなった状態。
なのに人類は、まだまだピンピンしてる。
魔王軍が防御に使ってた戦力を攻撃に回せば、とっくに人類滅びてもおかしくないのに………
魔王軍はまだ攻撃に転じていない。
攻撃自体減少している。
現状、人類の戦力は、育つよりも消耗のほうが著しく激しい。
レベル35の俺ですら、他の勇者パーティーが全滅した今、人類に残された貴重な最精鋭戦力にギリギリ数えられる程だ。
それくらい人類の戦力は疲弊している。
なのに人類は滅びてない。
魔王軍は総攻撃をかけてこない。
人類滅亡が現実的になったあたりから、徐々に魔王軍の攻勢は減ってきた。
他の勇者が全滅した辺りからは特に……
最近は魔王、妙に慎重だった。
「魔王が僕等を恐れてるからだよ」
「ナルホド」
そうか流石は勇者、頭が良い。
4人で約平均レベル60。
トータルレベル約250。
それが魔王を倒せる勇者パーティーの目安と言われている。
こっちのパーティーには、軽くレベル250は超えてる【勇者、魔法使い、聖戦士】の3人がいる。
とレベル35の賢者、オレ。
トータルレベルは800を超えている。
過剰レベルにも程がある。
レベル250超えが3人もいたら、そりゃあ魔王に勝ち目は無い。
勇者一人でも、たぶん魔王よりも強いんだ
本格的にコイツラが戦争を始めたら、魔王は死ぬよ。
だから……魔王軍ビビってる?
のか?
小競り合いしかできないのか。
アレだ。
人類を追い込み過ぎると、『俺の勇者パーティー』という名の核ミサイルが魔王に飛んでくる。
だから……手加減してる。
みたいな。
それと俺もいる。
俺は『レベル35』だが、自滅覚悟なら、たぶん魔王に勝てる召喚がある。
ただし確実に俺も道連れになってしまう。
下手すりゃ仲間も道連れだ。
だから、危険すぎて使うに使えない禁術をいくつか持ってる。
勇者が魔王以上に成長した今、もはや使う必要の無い『禁術召喚』だが。
「魔王も案外勇気が無いね〜」
と【勇者】が言う。
「まぁ、【魔王】は【勇者】じゃないからな。臆病な奴を責めてやるなよ」
「………」
「俺も手持ちの最強召喚で自滅覚悟なら、タイマンでも魔王に勝てると思うけども」
「じゃあすぐ挑もう」
勇者は無茶を言う。
「俺は魔王にタイマン挑む度胸も自滅する勇気もないんだよ。【勇者】以外は皆、臆病なもんさ」
そう言う勇気の無い俺は何様だろう?
俺は一体全体、何故に魔王を奴呼ばわりしてフォローをしなけりゃならん?
何故か臆病な魔王を庇わなきゃならない気になったのは俺も臆病だからか?
そんな俺に向かって勇者は……
「わかってないね。それこそ、勇気だけが人生の全てなのに」
「そんな勇気を持ってるのは勇者くらいのもんさ」
「君も魔王も、何もわかっちゃないね」
「そうかなぁ?」
「勇気こそが人生の全てなのに……心が傷つくのを避けるようになったら、人はオシマイってもんさ」
勇者が繰り返しそう言った。
悲しそうな顔だった。
「俺が避けてるのは、心が傷つく事じゃなくて、俺が自爆召喚する事だけどな」
勇者の考えは、よくわからん。
が……
まぁ俺が自分の都合で、この勇者パーティーの手綱を引き、魔王への挑戦を抑えてた訳だから……
勇者の嘆きも、もっともだ。
そして、魔王は俺に賄賂とかくれてもいいと思う
なのに魔王は俺に賄賂を贈って来ない。
確かに勇者の言うとおり魔王は何もわかっちゃいない。
誰のおかげで生きていられると思っているんだ【魔王】?




