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勇者パーティーから追放された異常な【賢者】のイカれた行動と【勇者】の善行  作者: 金銅才狸


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え、4章姉妹4、【最悪の想像】



 俺とニコ、

 俺達は、つき合う事になった。

 異性とのつき合い始めは楽しい。

 どんな些細な事でも馬鹿な話でも楽しい。

 例えば……


「裸エプロンは男のロマンだなぁ」

「なにぃ〜ソレ?」

「家に帰ると裸エプロンで出迎える。そんなパートナーの姿に萌えるんだ」


(だから……裸エプロンやってくれ。)

 と、暗に期待を込めて言う。


「……男の人って、そういうものなの?」

「そういうもんだ」


(だから……頼む)

 俺は力をこめてそう言った。


「じゃあ、期待しとくね」

「ん、ん? 何を?」

「私が明日帰ってきたら、裸エプロンで出迎えてね」


 ニコは抜群の笑顔。

 俺に向かって無理難題を言う。

 俺が裸エプロン?

 それじゃあ、あべこべだ。


「……なんでだ? どうして男の俺が裸エプロン装備する事になってるんだ?」

「裸エプロンは男のロマンなんでしょ?」


 ニッコリ微笑みながらニコ。


「ニコそれ違う。違わないけど、そうじゃ無い。わかるだろ?」


「私はマフィア一族の女。普通の女よりも遥かに心は広いわ」

「ん??」


「だから……

 猫耳でもバニーでも裸エプロンでも、貴方が好きに装備してくれても良いからね」

「だから……なんで男の俺に装備させようとするんだ……そう言うのは女が装備するものだから」

「クスクス。昔はともかく今は男女平等よ」

 

 とニコが笑う。




 勇者パーティーを抜けてから………

 やりたい事をやって

 死にたくなったら死ねば良い。


 そのくらいの気持ちで生きてた。

 ヤケになって覚悟の決まった俺は強い。


 正直に言えば、勇者パーティーから追放されてからヤケになり死ぬ気の俺は『魔王』相手にでも相討ちに持ち込めるくらい強かった。

 と思う。


 しかし……もう……

 死ねん。

 ニコをおいて死ねん

 俺は弱くなった。


 ニコ

 なんだ、この可愛い生き物は。

 コレを残して死ぬ訳にはイカン。


 俺が死んでしまえば、この可愛い生き物は

 誰か他の男に取られてしまう。

 そのくらいならば、いっそ……


 そんな物騒な事を夢想してしまう。

 そのくらい俺はニコに夢中。

 そのくらいハマってた。




 俺は……

 マフィアのボス事、ニコの爺とも完全に和解が成立した。


 一時は気の迷いで殺してやろうとか考えていたのが嘘の様。


 マフィアボスの依頼や、ニコの要請で敵対するマフィアを【元賢者】の力で蹴散らすくらいには今では仲良し。


 マフィアボスの前で……

 陰日向無くニコを褒める俺。


 マフィアのボスジジイは、そう言う俺の言葉を何故か神妙な顔で聞いてた。

 少し悩む素振りを見せた後にマフィアボス爺さんは言う



「あの孫姉妹。姉のニコの方は、とにかく男グセが悪くてなぁ」

「え? そうなの?」


 まぁニコは美人だしモテるか。


「ワシの、マフィアの孫なのに、ニコは『伝説のビッチ』と呼ばれておる」


(待て待て。ちょっと待て)


 一瞬何を言われたのかわからなかった。

 頭が真っ白。

 ニコがビッチ?


 信じられなかった。

 しかし……思いつめた老人は、嘘をついてる様子は無い。

 ビッチ?

 ニコが?

 状況が理解できると反射的に怒りで脳が沸騰する。


「……そんな女を俺に勧めたのか貴様!」

「お主が自分から妹でなく、姉の方を選んだんじゃろ。ワシは妹のほうを、あれだけ勧めたのに」

「う! でも、それは先に教えとけよ」

「言えるものかよ。孫が『伝説のビッチ』だ。なんて……しかも孫姉本人の前で」

「いや……でも……オマエ……なぁ。やっぱり一度死んどくか?」


 それでも言うべきだろうが!

 俺に!


 てか、マジカ?

 ニコ、ビッチなのか?


「まぁ、聞け。素行の悪すぎる孫が、お主とくっついた途端に男遊びををやめた」

「やめた? ホントか? ってか。う〜ん」


(それは良い事なのか? てか……)


 どっちかと言うと自暴自棄になってた俺が、ぶっ飛んだニコの行動をイロイロやって、おさえこんだのだが……


 てかそもそも……

 ニコの人間関係を破壊した。

 俺がニコを手に入れる為に。


 元賢者の頭脳をフル回転させた。

 ニコに気が付かれないよう、ニコが孤立するように仕向けた。


 ここしばらく俺はニコに夢中。

 特に念入りに全力で、ニコの交友関係、片っ端から男関係を潰していった。


 かつて人類や魔族に嫌われた、俺の策謀。

 魔王に被害を与える事をかんがえてた頭脳を、ニコを手に入れる為だけに使ってみた。


 その結果が、かえって良かったのか?

 ニコは素行が良くなった?


「素行の悪い孫。アレが年相応に幸せそうに、まともになったのがワシは嬉しくて……嬉しくて」

「おい、その幸せは、俺の犠牲の上になりたってないか?」

「あの子と、つきあった男は、ひとり残らず『デッキブラシ』と呼ばれる始末でなぁ」


 ジジイは俺を無視した。

 そして俺の胸をナイフで刺すような、ビックリする言葉を口にした。


(デッキブラシ? ってなんだ?)


「何でだ〜〜〜! なんでデッキブラシ?」

「あの子とつきあう男は、公衆便所に突っ込む『デッキブラシ』扱いだ」


 その言葉でピンときた。

(そうですか。

 つまりニコは『公衆便所』の2つ名を持ったビッチと言う事ですか?


 そうですか?


 そして『公衆便所』に突っ込む俺は『デッキブラシ』と呼ばれると……)


 【ってなんでだ?】


(いつの間にか俺の名誉だの尊厳だのが崩壊して無いか?)


 ちょっと何言われてるかわからないんだが


「……オマエの孫はどうなってんだ? オマエは孫娘に、どんな教育してやがる?」


 俺がマフィアボスの胸倉を掴んで食って掛かると……


「ワシはマフィアだぞ。やりたい事をやりたいほうだい。それがマフィアだ。マフィアが子供や孫に、マトモな教育できるわけあるか! 常識で考えろ」


 キレられ叫ばれた。

 マフィアの爺さん。

 凄い事を言い切りやがった。

 正論かも知れない。

 知れないが……


「オマエは最低だ!」

「強さこそパワー。何でも出来るだけ強くなれ、がマフィアの、もっとうだ」

「オマエ……」

「マフィアなんてそんなもんだ。マフィアの家族に何を期待しておる? ニコが聖人君子の孫娘とでも思ったか? 残念じゃがニコは汚れたマフィアの孫娘じゃぞ。汚れてるに決まっとるわ」


 ジジイは何かを達観してやがる。

 が……

 いつの間にか『デッキブラシ』の2つ名を頂いてた俺は……

 俺は、どうしても言ってやりたくなった。


「でも、その結果がコレか? それで満足か? テメェ」

「……」

「孫もやりたい放題やって『伝説のビッチ』とか『公衆便所』やってるってのはどうなんだ? 『公衆便所のジジイ』としては?」


 俺の言葉にジジイは天を仰いだ。

 


 老マフィアは天を仰いで……

 何かを思う様な様で……


「姉、ニコの方は……なにせあの子は……」


 マフィアの老人が言いづらそうに……


「なんだ? まだなんかあるのか? 今更隠すな。全部言え」

「孫の妹の方には仲の良い幼馴染がいた」

「なんで孫妹の話になる?」


 ニコの妹の話???

 俺は訝しむ。

 姉の、ニコの話じゃ無いのか?


 ニコの妹は、おとなしそうな美人さんだったが、あんまりよく知らない。

 俺とはあまり接点が無かった。

 喋った事も無い。

 ニコの妹には話しかけても、無言で返された。

 全く会話が成立しなかった。

 

 俺を無視して言葉を続けるマフィアボスジジイ。


「妹孫と、その幼馴染の男の子は小さい頃から、そりゃあ見ているだけで幸せそうな、お似合いのカップルじゃった」


 いきなりなんの話だ?

 ニコの妹? それと、その幼馴染?

 ニコの妹のカップル?


 しかも俺が姉のニコの話をしてるのに、妹の話?

 なんでだ?

 

 それに………

 あの大人しく無口な妹のほうに彼氏がいた?

 しかも過去形。


 ………って

 姉はビッチ。

 嫌な予感がする。


「……おい。まさか……」

「そのまさかじゃ。最悪の想像をしろ」

「マジか……」


 最悪の想像。

 ニコ……

 お前まさか……


「妹孫の幼馴染彼氏を略奪したのは、孫姉ニコじゃった」

「ニコかよっ! マジか! マジでか! 妹の彼氏とったのか?」

「思春期に入った姉孫が、妹孫の幼馴染彼氏を面白半分で掠奪した」

「姉。ニコ、アイツ酷えな。オイ!」


 あんな可愛い顔して……

 やる事鬼畜かニコ!


「姉より幸せな妹なんて許せない。存在して良いはずがない。

 そもそも自分よりも幸せそうな人間が許せなかった。ニコは当時そう言ってたな」

「マ〜ジ〜で! 俺に言ってた事と真逆じゃんニコ」


(俺には幸せになれって言っていたのに)


 俺は戦慄して頭を抱え込んだ。

 女に騙されるのは慣れてる。

 しかし……キッツいわ。


 いや、まだだ。

 まだ真実と確定している訳じゃない。

 マフィアボス、ニコの爺が勝手に言ってるだけだ。




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