え、4姉妹2、【幸せならそれで良い】
俺はマフィアの拠点、その一つで寝泊まりするようになった。
もちろん目当てはマフィアの孫娘ニコだ。
ニコは、あの一件以来、俺によくつきまとうようになった。
ソレを見てたニコの祖父、老人マフィアが
「お主、アレだけ『元彼女にフラレた死ぬ死ぬ』言っておいてコレか?」
「俺、そんな事言ったっけか?」
「儂を八つ当たりで殺しかけてソレカ?」
「そんな事もあったっけ?」
俺はとぼけておいた。
老人の言いたい事もわかる。
俺は代わり身が速い。
自覚がある。
ニコのおかげでアッサリと失恋から立ち直った。
「それはそれとして、やっぱり孫娘の姉より孫娘妹にしておかんか? くどいようじゃが姉はオススメ出来んぞ」
「姉で良い。既にモーションかけて上手く行きかけてるし」
「……何があっても儂は責任を持たんぞ。良いな?」
「うん」
一体全体、何をそんなに気にかけてるのか?
老マフィアのボスは俺が孫娘姉と付き合うのに反対の様だ。
「ふと思ったのじゃが」
「なんだ?」
「ワシの孫娘、ストーカー化してない?」
最近ニコの俺に対する行動は、確かに度が過ぎてる。
少し前までは俺のほうが、まるでニコに取り憑いていたかの様にベッタリしていたが、最近はニコが俺の背後霊かの様に、俺の後ろに良くついてくる。
振り返るとニコがよくいる。
ちと怖い。
でも……気にしない。
「勘違いだろ」
「いや…でも、あの孫……ヌシに対する執着や行動は度を越してる」
「冷静に考えてみよう」
「何をじゃ」
「オマエの孫娘。可愛いじゃないか」
と俺が言うと。
「否定はしない。あの孫の欠点は外見じゃなくて内面に集中しとるからな。だが、だからなんじゃ?」
老マフィアは心底不思議そうな顔で俺を見てくる。
「あんなに可愛いくてスタイルの良いストーカーが、この世に存在するハズないだろう? 常識で考えろよ」
「……ヌシ、何言うとる?」
「常識の話だ!」
「一体全体、何処の常識じゃ?」
ええい。
ものわかりの悪い老人だ。
と俺は詳しく説明をする事にした。
「いいか。ストーカーとは気持ちの悪い生き物だ」
「じゃろうな」
「オマエの孫娘ルックス良い。あんなにルックスの良いストーカーなど存在するか!」
「え? いや、ヌシが言ってる意味は、わからんぞ説明せい。詳しく」
戸惑う老人。
「ルックスが良ければ、ストーカーはストーカーじゃ無いさ。だって可愛いもの」
「ヌシ。自分でワシの孫娘をストーカー言うとるじゃろ???」
「ストーカーとは、他人につきまとうブサの事を指すのだ。だからオマエの孫娘ストーカーじゃ無いです。可愛いから」
「……そういうものか?」
老マフィアの目は馬鹿を見るような目。
そんな目で俺を見てる。
物分りの悪いマフィアだ。
俺も馬鹿を見る目で老マフィアを見返す
そして説明する。
「サキュバスって女の魔物いるだろ」
「おるな」
「あの魔物はストーカーと同じ事やってる。だけどストーカー扱いされて無い。アレはサキュバスが皆、美人だからだ」
「……」
「美人は大抵の事が許される。異性の行動ってのは、何をしたかは重要じゃない。ブサがしたか? 美人がしたか? それが重要だ」
俺の言葉に老人マフィアは目を白黒させた
「それで良いのかヌシ?」
「良いよ。ルックスの良いストーカーに追いかけられるのは、ソレは、もうご褒美とか神のご加護とか、そういう祝福的な何かだ」
俺の力強い言葉に老人マフィアは頭を抱え込んだ。
「そう言えば、お主は狂人じゃったな」
「オイこらジジイ。待て」
誰が狂人だ。
「……馬鹿と馬鹿が付き合うと二人共、摩訶不思議な馬鹿になる。厄介事が起こる」
「オイ? どういう意味だ?」
「馬鹿は一人だと、ある程度無害じゃ」
「それ。俺の事じゃ無いだろうな?」
「しかし……馬鹿が二人以上揃うと、相乗効果で危険物になる。火薬と炎みたいなもんじゃ。混ぜると危険」
馬鹿を見る様な目で俺を見つつ。
老マフィアはメッチャクチャ失礼な事を言う。
「オイ!」
「ワシは、だから交際に反対したんじゃがな〜。今からでも孫娘の妹のほうに乗り換えんか?」
「断る!」
「妹の方は、問題抱えた姉と違って、かなりまともじゃぞ。喋らんけども」
老マフィアは頭を抱えながら提案してくる。
(喋らんってなんだ? いやそれよりも)
「俺達を馬鹿にするな。まだ何もトラブルは起こってないだろうに」
「まだ? コレからトラブル起こす気満々じゃろ?」
「……」
否定はしなかった。
できなかった。
何せ俺はトラブルをおこしすぎて、勇者パーティーを追放された前科がある。
「孫娘姉ではなく、マトモな孫娘妹のほうを選んでくれれば……馬鹿共の災難にまきこまれる心配などしなくて済んだものを」
「姉可愛いのに……馬鹿とか言ってやるな。てか、俺の女を侮辱するな、ウルトラ上手に弱火でじっくり焼き肉にするぞ」
「アレは確かに美人だが、よ〜くデメリットも考えてみるのじゃ。アレは問題山積みじゃぞ」
くどい。
老マフィアは何を、そんなに心配しているのだろうか?
トラブルなんて起こった後に解決策を考えれば良いだろうに。
「別に良いよ。美人だし」
「問題を抱えてないのに彼氏のいない美人などありえん。問題のある相手と付き合うと、相手の問題をも抱え込む事になるぞ」
「姉の顔可愛い。横顔が可愛い。他の男と話してる時ムカつくけど、それも可愛い。スタイルも良い。他に何か必要か?」
俺の本音。
(美人は3日で飽きるとか嘘だ。
3日で飽きる美人とか美人じゃない。
本当の美人には飽きるという概念すら当てはまらない。
俺はそんな美人を手に入れた気になって幸せだ)
とうのニコの身内、爺さんの忠告も耳には入らない。
「おヌシは……アホか? 恋人にはルックス以外にも他にもイロイロ必要じゃろがい」
「問題抱え込むニコ可愛い。ニコのデメリットも可愛い」
アバタもえくぼ。
ソレに……
全ての言葉の語尾に可愛いとつけると……
頭幸せなアホが出来上がる。
しかしながらもそれでも……幸せな事には違いない。
幸せになれるのならば、俺はアホで良いよ




