砂漠の基地
砂漠から続く荒野と緑地の境界を引くように、基地の滑走路が伸びている。滑走路の分だけ基地は広くできていて、北の端のほうに兵舎は押しやられている。ただ、他の施設に囲まれるように建てられている分、砂をいっぱいに含んだ風を直に浴びずに済んでいた。セント・ルースの整備兵達の腕を上げたのもその砂風の為らしかった。
砂漠から帰ってきた九機は番号の早い方から順々に着陸する。フリッツは八番だったから、他の機がきっちり着陸態勢に入るまで待たねばならない。やっと来た順番も、着陸に集中したかったのに、後ろ――隊長機が気になって仕方がなかった。
車輪が地を捉えると機体が急に加速したような感覚を覚える。地上物が近づいたからそう感じるのだろう。体の芯を通して振動も伝わってくる。しっかりと減速しきってから、地上の兵の合図に従ってハンガーに機体を収めた。
機体から降りると、一度招集されて午後の連絡を受けた。
「フリッツ!」
後ろから呼びかけられて、振り返るとグランツだった。
「昼飯行くなら、一緒に行こう。午後もあるならしっかり食べた方がいいな」
あぁ、と答えかけて、フリッツは首を振った。腹から奇音がしていたが、グランツの肩越しに、7番の姿を見つけたからだった。腹の音はしっかりと聞こえていたようで、苦笑交じりにグランツは言う。
「ま、意地張るのも程々にな。身が持たなくなったら元も子もない」
わかってる、と答えて、フリッツはグランツと別れた。その足でハンガーの奥へ、軽く駆け足で向かう。グランツが言うのもよくわかっている。気に入らなかろうが、上官は上官。逆らったところで良いことなど一つもない。それは軍人である以上当然のことで、むしろ、こんな態度を取っている自分に何も言ってこない『隊長殿』のほうがよほど異端ではなかろうか。向こうが事もなげに澄ましているから、またなんとなく苛々して不遜な態度を取って見るのだが、子供扱いに自分で拍車をかけていることに気付いてまた苛々するのだ。もともと権力を振りかざす人間が好きではないから、実力も何も知らずに、上官と言うだけでそうやすやすと敬服したりしない。




