第五十九章 対決
「⋯⋯困らせてくれるじゃない」ナナが、いかにも困ったという顔で言った。
「おかげで、真剣に考えなきゃいけなくなった。大部分の計算能力を手放してでも、あんたと本気の一戦をやるべきかどうか」彼女がため息をついた。「でも、それはすごく損なのよね⋯⋯」
宇安が笑って首を振り、それから地を蹴って、前へ駆け出した。
「まあいいや」ナナが急に大笑いした。「楽しいのが一番!」
彼女の手に、武器が一つ、何もないところから現れた。
機関銃の形をした、何かだった。
◆
掲示板に、一瞬で疑問符の列が並んだ。
〔野次馬隊長〕:?
〔仕事帰りの人〕:??????
〔合成コーヒー愛好家〕:??????????????????
〔黎水区古参住民〕:魔法の世界で熱兵器を取り出すって、何か間違ってないか。
〔通りすがりのエンジニア〕:理屈の上では、このゲームで熱兵器付きのチートなんて作れないはずだ。運営が昔、この点に特別な制限をかけてる。
〔妖精天地八年プレイヤー〕:上の人、目を開けて管理員の手に持ってるものを見てみたら。
〔通りすがりのエンジニア〕:⋯⋯見えた。あれはたぶん、一種の魔法生成物に分類されてる。銃身の中身は火薬じゃない、弾に似た魔法を撃ち出すんだろう⋯⋯たぶん。
〔合成コーヒー愛好家〕:じゃあ本質的に、普通の機関銃より強いってこと?
〔通りすがりのエンジニア〕:ああ。⋯⋯向かいのあの兄ちゃん、秒殺される気がする。
◆
ナナがこんな大げさなものを出してきたのを見て、宇安の瞳孔がわずかに縮んだ。
彼は正面から来た第一波の攻撃をかわした。
その瞬間、氷、火、風、光、闇、あらゆる属性の魔法が、別々の銃身から撃ち出された。空を覆うような量だった。宇安は手の剣でその一部を斬り砕き、それから身を翻して、遮蔽物の後ろに飛び込んだ。
「⋯⋯お前、悪魔だろう」宇安の声が遮蔽物の後ろから漏れてきた。
「ははははは!」ナナが傲岸に笑った。「味わいなさい、この無敵の魔法機関銃を! 早く出てきなさい!!!」
彼女は狂ったようにその遮蔽物を撃った。遮蔽物が一塊また一塊と砕けていく。
「ちっ⋯⋯」宇安が眉をひそめた。
彼が身から球を一つ取り出した。表面には特殊な紋様があり、魔力が、ゆっくりと流れていた。
◆
〔休日のLinn〕:あれは何だ?
〔通りすがりのエンジニア〕:次元球だ。三万ゲームコインの代物。
〔三班シフト〕:間違いなく金親父からもらったやつだな。
〔休日のLinn〕:じゃあこの人も上級者ってこと?
〔妖精天地八年プレイヤー〕:当たり前だ。さっき剣を持ったまま、機関銃の弾を読み切ってたんだぞ。別の奴が上がってたら、とっくに秒殺されてる。
〔休日のLinn〕:あの球の効果は? このゲームやったことなくて。
〔妖精天地八年プレイヤー〕:簡単に言えば転送だ。転送したい対象を入力しておけば、あとは球が砕けた瞬間、それが転送される。技能の予備動作も、後隙もない。だからこそ、この道具はわざと、ひどく壊れやすい構造に設計されてる。
〔休日のLinn〕:ってことは⋯⋯まだ戦えるのか?
〔通りすがりのエンジニア〕:だが、あいつの手の剣が本当にただの試用品なら、残りはだいたい二分ってところだ。
〔休日のLinn〕:⋯⋯うん。
◆
宇安が走り出した。
走りながら、手の球をナナのほうへ投げる機会をうかがう。
球が手を離れた。
ナナは一目でそれを見た。銃口がぐるりと回り、一連の魔法が飛んでいって、その次元球はその場で撃ち砕かれた。
次の瞬間、宇安の姿が、遮蔽物の後ろから丸ごと消えた。
彼はナナの側面に現れた。自分自身をあの球に入力していたのだ。球が砕け、彼は転送された。
追撃の魔法がまさに彼を撃ち抜こうとした、その一瞬、彼は再び消えた。
〔野次馬隊長〕:え?? 人は?
〔通りすがりのエンジニア〕:⋯⋯あいつ、元の場所に二つ目の球も放っていた。さっき撃たれる寸前、その球で自分を遮蔽物の後ろに戻したんだ。
〔妖精天地八年プレイヤー〕:タイミングの取り方が正確すぎるだろ。
〔三班シフト〕:あと少しで撃たれてた。本当に、あと少しのところで。
ナナの魔法が、宇安が元いた位置をかすめて炸裂した。彼はもう、そこにいない。
「⋯⋯ほう?」ナナが眉を上げた。「なかなか上手く逃げるじゃない」
「⋯⋯」遮蔽物の後ろで、宇安は答えず、自分の呼吸を整えようとしていた。
彼の手の剣は、そのエフェクトが、さっきより少し暗くなっていた。
◆
〔街角ジューススタンド〕:あいつ、こんなんで⋯⋯勝てるのか?
〔義肢七号店店主〕:剣身の光がどんどん暗くなってる⋯⋯試用版の時間が、少しずつ減っていってる。
〔黎水区古参住民〕:逃げることしかできてない。近づけないんだ。近づいたらあの機関銃に掃射される。
〔不眠症の会計士〕:もう無理だろ⋯⋯
〔通りすがりのエンジニア〕:⋯⋯まだ結論を出すな。見ていろ。
◆
宇安がまた動いた。
彼は方向を変えて走り、ナナの反対側へ回り込もうとした。ナナの銃口が彼を追って回り、魔法が一連、また一連と、彼のかかとを追って炸裂する。
彼が急に身をひるがえした、その時。
彼のポケットから、何かが一つ、こぼれ落ちた。
彼のコアだった。
コアは地面に落ち、二回転がって、止まった。
宇安はまだ走っている。彼はコアから、どんどん遠ざかっていく。
〔野次馬隊長〕:あ! あいつのコアが落ちた!
〔三班シフト〕:地面に落ちてる! 気づいてないのか??
〔合成コーヒー愛好家〕:終わった終わった終わった。
ナナの目も、それを捉えていた。
彼女の視線が、コアと宇安の間を一度行き来した。宇安はもう、十分に遠くまで走っていた。あの距離では、機関銃に撃たれる前にコアまで駆け戻って守るのは、不可能だ。
ナナが笑った。
彼女は銃口をそちらへ向け、地面のあのコアに狙いを定めて、撃った。
◆
だが、コアはその一瞬で消えた。
ナナがわずかに固まり、振り返った。
コアは宇安の背後に現れていた。その傍らには、次元球が砕けた後の破片が散っていた。
彼女は理解した。宇安は「うっかり」コアをこぼしたわけではなかった。彼はとっくに次元球を一つ用意し、その中に「コア」という転送対象を入力しておいた。地面のあれは、正真正銘のコアだ。彼が狙っていたのは、ナナがあれをコアだと信じ込み、ためらいなく一発撃ち込むことだった。そしてその一撃が命中する寸前、彼はすでにその球を自分の背後へ投げていた。球が地面に落ちて砕け、コアは撃たれるのと同じ瞬間に、彼のそばへ転送された。
彼女のあの一発が撃ったものは、最初から最後まで、ただの囮だった。
そしてナナが事態を悟った時には、もう間に合わなかった。
もう一つの次元球を、宇安はもっと早くに、彼女の足元へ投げ込んでいた。
球が、砕けた。
宇安が彼女の正面に現れた。
彼の手の剣が振り上げられる。剣身のエフェクトが、消える寸前の一瞬に、最も強く輝いた。
一刀。
【ウィンドウ 0001】ヴァイラ(代役:宇安)勝利。
◆
権限層の中。
あの、配信されていない片隅。
ナナが、自分で適当に生み出したソファに寄りかかり、ため息を一つついた。その表情には、どこか名残惜しそうな色があった。
「⋯⋯ウアンとのあの一戦、負けたわ」彼女が言った。「あんたと打っても、負けるのかしらね」
彼女が目を上げて、空間の隅に浮かぶスコアを見た。
ナナ 51%
ヴァイラ 49%
もう半分まで戻されていた。彼女の権限のパーセントは、まだゆっくりと下がり続けている。ただ、その速度は、どんどん遅くなっていた。
ナナはその数字を見て、ふっと笑った。
「⋯⋯でも」彼女が顔を向け、頬杖をついてヴァイラを見た。「プレイヤーの手元のゲームコインも、そろそろ底をつくころでしょう?」
「どうやら、終わりみたいねぇ〜」彼女が言った。「首席殿も、心残りを抱えて敗れるしか、なさそうですねぇ⋯⋯」
「ええ。終わるわ」
ヴァイラの返事は、平坦だった。
「⋯⋯ん?」ナナが、わずかに眉をひそめた。
その瞬間。
ヴァイラが、自分のすべての分身アカウントを、一斉に引き戻した。




