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12話

いや色々驚いた。


驚くこと続いて、ちょっとやそっとじゃ驚かないつもりだったけど、今まで一番だったわ。

つか、ドワーフって「背の低い人」って意味なのに、どう見ても人類の標準よりも背が高かったらそれ違うじゃん。


「まあ、中にはワシのようなのもいるってこった」


……あ、はい。

例外もいるってことですね。

まてよ、ドワーフいるってことは、この世界エルフ、いや黒エルフ隊長いるのか!?


「エルフ、いるぞ」


マジっすか。


「お前らも会っただろ」


???


「ほら、フェデリコの奴、あいつエルフだぞ」


それを聞いて完全に頭が真っ白になる。


……いや、それこそフェデリコ隊長の方がドワーフっぽいじゃん!

赤銅色に焼けていて、マッチョで髭もじゃで、肉はバリバリ食べるし、そんなエルフいるかよ、むしろおやっさんの方がエルフって言われた方がまだ信じるわ。

この世界どうなってんだよ。


「んーー、構成は何となく分かったでありますね」


悩んでいると、後ろで埋火が呟いて、金剛銀アダマンティンのインゴットを手にする。


「確かこうでありましたね……魔術炉マジックフォージ


ぬわっ、今、何かが物凄い勢いで体から抜けたぞ。

というか、アレだ、さっきティーガーのアクセル全開にした時の感覚を100倍ぐらいにしたような感じで、ちょっと気持ち悪い。

うずくまると、敷嶋が背中をさすってくれる。


「大丈夫ですか?」


ちょっとかがんでいると、徐々に気分が戻ってきたので、敷嶋を安心させるように微笑みかけて、立ち上がる。


「ああ、ちょっとびっくりしただけだ」


「何だ、その子、おめぇさんのヴァーレットなんか」


埋火と自分を交互に見て、おやっさんが納得顔を浮かべる。


「ヴァーレット? 彼女たちはアシスタントですよ」


それを聞いて驚愕するおやっさん。


「たち!?」


「ええ、ここにいるメイドたち全員がそうです。それよりヴァーレットって何ですか?」


「ああ? さっきあの子魔法使っただろ」


「え、あ、マジっすか」


埋火を見ると、手にした金剛銀アダマンティンのインゴットが、謎の踊りのポーズを浮かべた人形になっている。


「何だ、それ」


「いやあ、ロッセリーニおじいちゃんの魔法見ていたら、何となくどうやったらいいか分かったような気がしたので、やってみたでありますよ」


変な人形で頭をかく埋火。


「そうじゃなく、その変な人形は?」


厳しい顔でじろりと埋火を見るおやっさん。


「おめぇさん、魔法使う時何考えた?」


「何も考えてなかったであります」


「それじゃあダメだ。素材を理解して、その素材に魔力を添わせて、望む形になるように願わねぇと……」


おやっさんは変な人形を指差して口ごもる。


「あー……えっと、そんな形に……いや、普通はそうはならねぇな」


「結果はともかく、埋火が魔法を使ったってことですね?」


「ああ、それはまちげぇねえ。んでだ、おめぇさんの魔力をその子は使っただろ?」


さっきの気分悪くなった奴、あれがそうか。


「あっ、はい」


「ヴァーレットってのは、ワシらの手伝いをしてくれる妖精とか精霊たちよ。だがな、妖精界から出て存在を維持するのには魔力が必要だが、人間界じゃあ魔力の回復ができねぇんで、魔術パスで繋がっているマスターから、魔力を供給して貰わねぇとならんのよ」


そういや、パンストのアシスタントたちや、ゲシュペンストもプレイヤーの魔力が必要なんだったな。

ゲシュペンストは単独行動をする必要があるから、車内に魔力タンクがあって、ある程度ならここに蓄えるのが可能だ。

アシスタントも緊急時はここから供給を受けられるようになっている。

それ以前に、基本的にアシスタントたちはプレイヤーと格納庫経由で繋がっているはずだけど……今格納庫使えないから、これどうなっているんだ?


「そんなんだからよ、ヴァーレットと契約できると色々助かるんだが、魔力を馬鹿食いするから、一人の面倒見るのだって大変だっつーに、二人も三人もいたら普通は維持するだけですっからかんになっちまう。それがおめぇ、何人いるんだ?」


敷島と埋火、その後ろの風花と氷柱を順繰りと見るおやっさん。


「えーっと、今ここにいるだけで七人ですね」


「……その口調だともっといるな」


「ええ、まぁ」


分隊どころか、小さな中隊組めるほどおりますわ。

おやっさんがこちらを呆れた目で見ている。

いいじゃん、課金して限界までアシスタント枠を広げて、メイド隊作りたかったんだから。

男のロマンだよ、分かれよ。


「よくまあそれだけ連れていて、干からびねぇな、おめぇさん」


声にちょっと畏敬の念が籠ったように聞こえたのは気のせいか?

それとも諦めか?


まあ、ステータスとスキルをマックスに上げるために、レベルカンストしてから何度もレベル0に戻したから、魔力と回復力はアシスタントとゲシュペンスト全部を動かしても、減るよりも回復の方が速いぐらいだ。

各プレイヤーとも自分の好みのゲシュペンスト中隊を維持するためには、魔力と回復力をマックスにする所からスタートだったし。

レベルは下がっても手に入れたゲシュペンストはそのままで、ステータスも維持できているから、ある意味強くてニューゲーム状態になるので、課金アイテムの経験値上昇薬とかを使えば、あっという間にレベルマックスだった。

その後のアプデで、レベル上限が一〇〇から二五〇になった時は阿鼻叫喚だったけど。

周回プレイしていたら、レベル二四五からの必要経験値が天文学的であの時は本当に心が折れるかと思ったわ。

陸上戦艦クラスを一人で延々周回しないとならなくて、だんだんルーチン作業のデスマーチでマジで辛かった。

それでも、千回倒したプレイヤーとかいたんだよなあ、化け物か。


しかし、それだけある魔力が危険域まで減るなんて、魔法ってどれだけ魔力食うんだよ。


そう思っておやっさんに聞いてみると、普通はそれほど使わないと言われた。


「じゃあさっきのは……」


「あー多分な、ワシはこの町、いやドワーフの中でも腕利きだと思っているが、さっき触って分かったが金剛銀アダマンティンは扱えねぇ。いや、扱うには魔力が足りねぇ。そんな難儀な相手に、魔法を使ったことがない素人が見よう見まねでやれば、どんだけ魔力を食うか」


そう言って化け物でも見るような目でこっちを見る。


「おめぇさんが規格外の魔力持ってたから、それでゴリ押ししたんだろうよ」


「はぁ……じゃあ、今後も魔法を使うとああなるんですか?」


「いや、ちゃんと基礎から学んで理論を理解してちゃんと詠唱すれば大丈夫……だと思うぞ。少なくともワシらの間ではそうだった」


「……魔法ってどこで学べるんですか?」


「それよ」


「はい?」


「少なくとも、この辺りの奴らは魔法があることを知っているし、素質がある奴は小さい時から訓練を受けている。おめぇ、何者で、どこから何しに来た?」


おやっさん、いやロッセリーニ整備長が剣呑な視線を向けてくる。


……さて、何て答えたものか。


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