JKギャル、調査する
ギャル友のみんなと別れてから。
ウチは高校近くのコンビニで、サラダパスタとからあげを買い、イートインスペースに座った。お昼を食べる前にプレジールのバイト仲間たちへ、ささっとグループRAINを送る。
『おつ。11月○日にシフト入ってた人、ちょっと教えてー。お客さん同士で喧嘩あったの知らん?』
悪口投稿があった日ウチは休みを取っていて、プレジールで事件があったことを知らなかった。でもその日バイトしてた子たちなら、何かを見てたかもしれない。
有力な情報が来ることを期待しながら、買ったばかりの温かいからあげにかぶりついた。
んんん! さくさくジューシーで、うまー!
数分後、ウチがお昼を食べ終わってからスマホを確認すると、バイト仲間たちからRAINが届いていた。みんな返事が早くて助かる。さっそく全部のメッセージに目を通した。
『すまん。ずっと厨房いってたから分からんよ』
『喧嘩あったの? 私レジしてたけど、バタついてて気づかなかった』
『その日は接客と調理入ってたよ。喧嘩はたぶん見てないと思う。写真とってるお客さんならたくさん見たけど』
どうやらその日シフトに入ってた子たちは、トラブルがあったことを何も知らないらしい。悪口投稿からだいぶ時間も経ってるし、週末はいつもお客さんが多くて忙しいから、詳しく覚えてないんだろう。
はあ。そう簡単には見つからないかー。直接、現場を見てた子が居たら、速攻で犯人探せると思ったんだけど。
何でもいいから手がかりを見つけなきゃなぁ。とりあえず、あの悪口野郎の呟きでも見返してみるか。気は進まんけど。
ウチはバイト仲間たちに『ありがとー♡』と返事を送り、渋い顔で悪口野郎――アカウント名『冷』の投稿を開いた。炎上を最後に、奴の書き込みは途絶えている。ウチは身元に繋がる情報を探すべく、過去の投稿を読み漁っていった。
『最悪。冬休み補習決定した。まじ学校きえてしまえ』
『今日マラソンなんだけど。こんな寒い日に外走らせんなバカ』
『赤点つきそうでやばい。でも勉強したくない。テストなんてこの世からなくなればいいのに』
『わざわざ服装検査しなくて良くない? 髪はもともと黒だからいいけど、スカート長すぎてダサいんだが』
『雨で巻き髪くずれた。やる気失せるしもう帰りたい』
『お前のアドバイスなんて求めてねーよ。ちょっと男子にモテるからって調子のんな』
『グループ抜けたい。自慢ばっかり聞くの疲れる』
『めっちゃ電車遅延してる! いつまでここで待たなきゃいけないんだ! 早く家に帰らせろ!』
どれだけ投稿をさかのぼっても愚痴しかなくて、だんだん読むのが嫌になってきた。こいつ、こんなに不満だらけで人生楽しいのかなと、少し同情してしまう。フォロワーたちと交流してる様子もないし、ただ一方的に鬱憤をネットへ吐き出してる感じだ。
ていうか、これたぶん本アカじゃなくて裏アカだよね。身バレしないよう具体的なことはあんま書いてないし、写真も載せてないし。
でも投稿から分かったことがいくつかあった。『冷』が女子高生であること、黒髪を巻いていて普段スカートが短いこと。通学に電車を使っていること、テスト期間が終わり補習が決定したことだ。
うーん。このふわっとした情報で絞り込むのは難しいな。プレジール近くの高校は二つあるけど、電車通学の子は多いし、女子もたくさん居る。その中から『冷』を特定するのはかなり無理がある。
調べるのに時間を食ったくせに必要な手がかりが得られず、疲労が溜まる。ウチは調査の行き詰まりを感じた。
こういう時はどうするか。一人で考えてだめなら、誰かに聞いてみるのはどうだろ?
そう思い立ったウチは、別の高校に通う二個下の弟、修へすぐさま電話した。あいつもテスト期間が終わって三時間授業って言ってたし、連絡して大丈夫だろう。
予想が的中し、数回のコール音の後、修は電話に出た。
『もしもし』
『質問。呟きの匿名野郎を特定するならどうする?』
読者のみなさん、お待たせしました。予告よりだいぶ遅れてしまいましたが、何とか更新できました。
次回分のお届けも時間がかかりそうですが、八月以内には仕上げたいと思います。(更新お知らせの活動報告はお休みします)
どうぞ今後とも、応援よろしくお願いしますm(_ _)m




