第55話 マサオ、覚醒す!(二) ①
ぜぇぜぇぜぇ……ふぉーふぉー……
全身で息をするノブオは、今持てる力を全て出し切り、ストハニゲ、カツヒロ、マサオの立っている小高い山を登り切った。
素早くストハニゲの後ろに立ったノブオは、キナキナさんをストハニゲのその首に押し当てる。
「んっ!? ノブオかい?? はぁぁあ……うっ、うっ……」
あっという間に、キナキナさんから強めの電気が流された。
ビビビ……という音とともに、ストハニゲはビクビクと動いている。
時同じくして、サノッチも微動だにしないマサオの左側に立つと、すぐにキナキナさんを押し当てた。
キナキナさんから強めの電流が流されるが、マサオは声一つ発しない。ただ、ビクビクと小さく動いている。
サノッチは無理やりマサオの口をこじ開けると、ミントタブレットを何粒も入れた。
すると途端に、先ほどまで閉じられ線のようになっていた目が、カッと開いた。
ぎょろっとサノッチを見、うん、と力強く頷いた。
口元がほころんだサノッチも、うん、と頷き返す。
サノッチはマサオからキナキナさんを離した。
マサオはくねくねと動き出す。
とんでもなく柔らかな、滑らかな動きであり、まるで骨がないようで、タコのようだった。とても普通の人間の様子ではない。
そのくねくねの動きにより、ストハニゲが緩めてしまった縄を、マサオは上手に抜けた。
そうして、光るストハニゲとマサオの間で、オドオドしながら様子をうかがっていたカツヒロの縄を、マサオはつかんだ。
「と、父さん……」
唖然とするカツヒロはぽかんとマサオの顔を見た。
しっかりとした目つきで、マサオはまっすぐにカツヒロの目を見ると、うん、と力強く頷いた。
思わず、カツヒロも、うん、と頷き返す。
マサオは亀甲縛りのカツヒロを背中に背負うと、一気に丘を下った。
まっすぐに公園の入り口、友愛の女神像を目指し、走る。
「ノブオさん、もう大丈夫ですよ」
サノッチの呼びかけにより、我に返ったノブオはストハニゲからキナキナさんを離した。
気づけば、カツヒロもマサオもそこにはおらず、キナキナさんの電気で伸びているストハニゲが、微笑を浮かべて倒れているばかりだった。




