第54話 マサオ、覚醒す! ①
「はぁ、きよちゃん。さっさと降参したらどうだい? この二人の代わりに、私に縛られてみたらいかがかな? きっと世界が広がるよ!」
カツヒロとマサオをキリキリと締めあげながら、ストハニゲは相変わらず、ジュンジとカノコ、きよちゃんを見下ろしていた。
「何言ってんのよ! このストーカーハゲ!!! きよちゃんにそんな変なことするのが目的だったわけ!? きよちゃんは絶対に渡さないわ!!!」
カノコはもはや、ストハニゲに嫌悪しかなかった。
カノコの中で、父と祖父が恥ずかしい姿で縛られていることよりも、今となっては、きよちゃんが変態に苦しめられていることの方がむしろ、心苦しい。
「ありがとう、カノコちゃん……」
きよちゃんには、カノコの気持ちが嬉しかった。
「カノコ、あんまり挑発しない方がいいんじゃ……それに、あの人、ストーカーハゲじゃなくて、ストハニゲだから……いっ……」
小声で弱々しく注意するジュンジに、カノコときよちゃんは鋭い視線を向ける。
「あっ、いや……その……」
さらに小さな声で、ジュンジは目をキョロキョロさせた。
ジュンジとしては、父と祖父がとても心配であり、なんとか穏便にかつ迅速に、事を荒立てずに解決したい。
「はっはっは……いいねぇ……お嬢ちゃんときよちゃんを二人並べて……ふっふ、ついでにジュンジもかわいいから……」
妖しい光を目に宿しながら、それでいてぼんやりとストハニゲは三人を眺めている。
何を想像しているのだろうか。見当がつく者など誰もない。
「はぁ、うっ……」
カツヒロが小さく、うめく。ストハニゲが縄をキッと絞めるのだ。
先ほどより、カツヒロの反応は小さくなっている。マサオは反応すら示さない。
「父さん……じいちゃん……」
ジュンジは下を向き、泣いていた。
このまま、二人とも助からないのではないか……
ふっと、右手前方にあるトイレが目に入った。
明かりはあるものの薄暗いトイレの前で、ノブオとサノッチはしゃがんでいる。
そして、棒で地面をつんつんしているようだった。
トイレ終わったなら早く帰って来いよ、とジュンジがイラついた、その時だった。
「うおおおー!!!」
立ち上がり、両の手を天に突き上げ、雄たけびを上げるノブオが丘に向かって走って行った。
「ノ、ノブオさん!?」
ジュンジはノブオを目で追った。その後方にサノッチがいることもわかる。
あっという間に、ノブオとサノッチは丘を駆け上がった。
「えっ!? あっ!!!」
間もなく、ストハニゲとマサオは激しく光りだした。




