第29話 ジシャコウを卒業して ①
そんなことがありつつも、ジュンジはノブオと雅親に励まされ、情報を得ながら、第一段階の仮模擬試験、みきわめ、修了検定、仮免学科試験をクリアし、続く第二段階もほぼ同じ要領でこなし、卒業検定の日を迎えた。
試験官となった指導員がジュンジと相性のいい人だったおかげか、なんとか一発合格することができ、最後に卒業後についての説明を受けると、今後の学校のためにというアンケート用紙を渡された。
名前を記入するものではなかったが、今日一緒に卒業する者はジュンジの他にもう一人だけだ。
どちらが何を書いたかなんて、もろバレもいいところだろう。
あげく、この小さな学校中で回し読みされかねない。
そんなことを思うと、ジュンジは恐ろしくなり、何も書かずに白紙で提出するのだった。
そうして、卒業証明書をもらい清々しい気持ちで教室を後にした。
「はぁ、短いようで長かったなぁ。ジュンジ、卒業おめでとう!」
ジュンジのリュックに乗る小さなノブオは、明るい声で言った。
「何か終わっちゃうのも寂しいよなぁ……」
ジュンジの隣で雅親は複雑そうだ。
「そうだね。なんだかんだちょっと楽しかったし。でも最後に試験場で筆記の試験受けないと免許もらえないんだよね」
ふぅ、とジュンジが言った。
今日もいつものように、午前の部のお年寄りたちが講習を終えたようで、ぞろぞろと外から校舎の中へ入ってきた。
外に出ようとしていたジュンジと入れ違いになる。
ジュンジはお年寄りたちがひと通り中に入るのを見届けると、自動ドアから外へ出た。
すると出てすぐ横に、小柄な老婆がまるで待ち構えていたかのように立っている。
今どき珍しく渋い色のもんぺを着、灰色の髪をまとめ上げており、怪しげで怖い雰囲気だ。
「お前さん、あそこへ行っただろ? 臭いがするがら、間違いねぇ。それで酒まんじゅうに憑かれておるだろ。オレには分がんだぁ」
ジュンジをガン見する老婆は言った。




