第28話 ジシャコウにてwith フレンズ(三) ②
「ジュンジ、それはもう一度、次の時間にやり直しってことだ」
長机にちょこんと座るノブオは、険しい顔つきで言った。
「えっ? そんなこと一言も言われなかったし、むしろ褒めてくれてたけど……そんな……」
「ジュンジは全然下手じゃないよ。どちらかと言えば上手な方だった。他の人のも何度も乗ってるからよくわかるけどさ」
雅親はウォーターサーバーの前で、水が入った紙コップを持ちながら、力強く言った。
「始まったな。自らの暇の穴埋めだ。乗る回数が増えればジュンジはさらに料金を払わなきゃならん」
くそっ、とノブオは長机の上に立ち上がり、ゲタを鳴らす。
「そういえばハンコ押すとき、ものすっごくこっそり、手帳を見せないようにやってたな。すっ、とやって……そういう意味だったのか。でもこれからどう対処したものか……」
ジュンジは頭を抱え、はぁ、とため息をついた。
「ジュンジ! とりあえずだけど、その指導員の教習だったら受けませんって、こっそり、カウンターのおねえさんに言えばいいんだよ。特に、他の事務員とか指導員が出払うお昼の休憩時間帯に」
雅親がジュンジの隣に座りながら言った。
「えっ? そんなことできるの?」
「うん、俺この前、見たんだよ。教習車乗ってるとき。可愛い女子大生が乗ってたんだけど、そのときスケベそうなおっさんの指導員がヘラヘラしながら得意げに言ってたぜ。俺の勘だが、あの女子はあのおっさんを外すだろうな」
「俺も見たな。俺でもあいつだったら外すわぁ。真面目な指導員さんもいるのに、本当に残念だよな」
「なるほど……じゃぁ、その手でいこう。やばい奴のときは乗りませんってちょっと強気で言っておいて、断固、乗らないことにしよう」
珍しく、ジュンジは腹を立てている。
何より、こっそりハンコを押さず、その説明をしないなんて、失礼じゃないか。
「おう! たぶん、やばい奴だけ外していけばあとは大丈夫だな」
うんうんと、ノブオは頷いた。
「そうだね、俺もそう思う」
雅親も同意している。
「みんな、ありがとう! 二人がいてくれて本当に、助かったよ……」
ジュンジは心の底から感謝し、また三人の結束は深まるのだった。




