第28話 ジシャコウにてwith フレンズ(三) ①
午後になって、ジュンジは初めて教習車に乗る。
ノブオは再び小さくなると、教習車の後部座席に忍び込んだ。
雅親も座敷ハタチの能力を活かし、しれっと小さいノブオの横に座る。
ミラーの位置やら車の機能の説明をひと通り受け、学校の中のコースを何周か走行し終了。
教習手帳にハンコを二か所もらった。
また10分の休憩時間が入り、同じような感じで次の50分を終えると、本日の予定は終わった。
ただバスの時間があるので、もう一時間、休憩スペースで休む。
「はあぁ、疲れた……本当しんどいわぁ……」
長机に体を預けながら、ジュンジは独り言のように言った。
「いや、あれはたいへんだよ。いや、たいへん……」
その横で雅親も突っ伏す。
「ふうぅう……」
机の上をゴロゴロ転がりながら、フェアリーノブオは息を吐いた。
「ところで僕、この教習手帳の見方がいまいちわからないんだけど、これはこれでいいのかな……」
ジュンジは今日ハンコを押されたページを二人に見せた。
「うーん、俺も見方はよくわからんが……今日の分はおそらく大丈夫じゃないか?」
ノブオはページを見つめ、考えながら言った。
「そうだ、ノブオっち! 俺たち二人で他の人の教習車も乗ってさ、ほら、手帳のぞき見してこようぜ! ついでにみんながどれくらいの上手さなのかもわかるっしょ」
雅親は名案だ、とノリノリではしゃぐ。
「あぁ、それすごく助かるなぁ。これから僕は空いてる時間は学科の勉強もしないといけないから、その間とか。情報も手に入るし、二人の時間もつぶせるだろうし」
「そうだな。ジュンジが不当な扱いを受けていないかもわかりそうだしな。うん、やろうぜ! 雅親!!!」
三人は改めて、ジュンジの運転免許取得のため一致団結したのだった。
「ふう、じゃあ明日からまた頑張りましょう、ということで……」
「はーい……」
ジュンジの疲れた声に他の二人も答えると、とりあえずバスの発車時刻までの間、それぞれに静かに休むのだった。
それから連日、学校が休みの日曜日以外はほぼ毎日、三人は自車校へ通った。
カウンターのおねえさんが作成したスケジュールに従い、毎日は過ぎていく。
そうして毎日のように通っていると、たまにバスに乗ってくる人もいるし、教習車に同じ時間帯で乗っている人が他にもあることがわかってきた。
ついでに、高齢者講習も毎日のようにあり、午前の部と午後の部があることもわかった。
ラミネート加工されたあの問題集の扱い方も、カウンターのおねえさんに聞いてみたり、他に勉強している人の様子を白目の端で盗み見たりして、なんとなくわかってきた。
そんなある日、ジュンジは休憩中にペラペラと何気に見ていた教習手帳で、ハンコの押され方が何か違うことに気が付いた。
今までは二か所に押されていたのに、一か所しか押されていないのだ。
教習が終わったときには何も言われなかったので、そのときには全く気づけなかった。




