第27話 ジシャコウにてwith フレンズ(二) ③
「はぁぁ、自車校って大変なんだなぁ……」
雅親は自販機前の休憩スペースでパイプ椅子に座ると、前の長机に突っ伏した。
ノブオも机の上で寝っ転ぶ。
先ほど一緒に授業を受けていた同志たちは、それぞれ誰か車で迎えに来ていたようで、終わるとさっさと帰って行った。
あんなにたくさんいたはずのお年寄りたちも皆、講習が終わって帰ってしまったようだ。
静かになった休憩スペースには、はたから見ると、ジュンジが一人だけポツンといるようにしか見えない。
机の上で転がる小さなノブオに気づく人もいない。
「なぁ、のど乾いたぁ。ジュンジ、ジュース買ってくれよ」
雅親が駄々をこねだした。
「えー、そしたらおにぎり食べるときのお茶買えないよ。水はタダだから、ほら。そこのウォーターサーバーの、飲んどきなさい」
仕方ないので、ジュンジがそこに設置されていた小さな紙コップに水を入れると、雅親に手渡した。
「えっ? こんだけ? 少ないよー」
一気に飲み干すと、雅親は自らおかわりをし、そこで何度も立ち飲みした。
このとき、ジュンジもノブオもなんとも思わず、また雅親自身も考えていなかったが、これは他人から見ると勝手に紙コップが宙に浮き、水が出たり止まったりしている状態だった。
今後、これは何度も行われるので、たまに見かける人が出てくると、この自車校七不思議として、秋から通い始める高校生たちの語り草となるのだった。
「ジュンジ、そろそろ弁当食べないか? 腹減っちゃってさ」
長机の上を、端から端までゴロゴロ転がるのを楽しんでいたノブオは言った。
「それはいいけど、ノブオさん、小さい状態で食べられるんですか?」
「あぁ、そうだよな。ちょっと待ってて……」
そう言うと、ノブオは羽をパタパタさせて、男子トイレに飛んで入っていった。
ちょっとして、大きくなったノブオがトイレから普通に歩いて出てきた。
「のっ、ノブオさん……大丈夫なの……かな? 大きくなって……」
ジュンジは固まった。
「えっ? 別にいいだろ? たぶんだけど」
羽を背負い、派手なピンクTシャツにゲタ履きのノブオは答えた。
ノブオはしれっとジュンジの横に座ると、水を飲んでいた雅親もジュンジを挟むように座った。
ジュンジは静かに席を立つと、すぐそこの自販機で三本、お茶のペットボトルを購入した。
席に戻ると、おにぎり弁当を広げる。
よほどお腹が空いていたのか、三人は黙々と食べ進めた。
ただ、数人の指導員とカウンターにいる何人かの事務員はその様子に驚愕した。
いつの間にか現れた、ビチビチTシャツに羽を背負ったおじさんが、ジュンジと並んでおにぎりを食べている。
しかも、その横にはお供え物のようにもう一人分、お茶とおにぎりが置かれ、それらがポルターガイスト現象のように宙を舞い、食べたり飲まれたりするように無くなっていくのを……
これもまた、立派な学校の七不思議となって語られていくのだった。




