第27話 ジシャコウにてwith フレンズ(二) ②
「えっ? どうして? 目が合うとか?」
ノブオとジュンジもそのおばあちゃんを探してみる。
確かに、奥の自販機前からこっちを見ているおばあちゃんがいる。
「そうそう、ガッツリこっち見てる。ていうか、ずっと俺と目が合ってる。俺のこと見えるってことは死期が近いのかもな」
「えぇー、もう、そういうことあんまり言わないでよ。なんかそのおばあちゃんの方、見れないじゃん……」
ジュンジは怖くなった。
肩の上でノブオも自身の両肩を抱きしめ、青くなっている。
「はい、では高齢者講習の方はこちらへ来てください」
時間になったのか、指導員が二人出てきてお年寄りたちに取り繕った声をかけると、皆ぞろぞろとジュンジの横を通って、自動ドアから外へ出ていく。
さっきのおばあちゃんが雅親の前にやってきた。
ジュンジとノブオも、このおばあちゃんは雅親のことがちゃんと見えているということを、確認せざるを得ない。二人は息をのんだ。
「お兄ちゃん、イケメンね」
「ありがとう、おばあちゃん!」
雅親はおばあちゃんの二の腕をぽんぽんと軽くタッチした。
そして、耳元で息を吐くように
「おばあちゃんもすごく、綺麗だよ」
優しくささやいた。
「まぁ、お上手ね」
おばあちゃんもまんざらでもないようで、上品にホホホと笑うのだった。
そうして雅親の横を通り過ぎていき、他のお年寄りと同様、自動ドアから外へと出ていった。
ジュンジはなんだか不思議な気持ちでおばあちゃんを見送っていたが、自分もこれから学科の授業が入っていることを思い出した。
「あっ、行かなきゃ。A教室に……」
「おっ、座学か。おい、雅親! 俺たちも授業受けてこようぜ!」
「えっ? 授業だって? わぁ、そんなの久しぶり過ぎる!!!」
はしゃぐ雅親とノブオを見て、先ほどのジュンジの不思議な気持ちはどこかへ旅立ってしまったようになる。一人で本当は授業も受けたくないのだ。
わりと時間ギリギリでA教室のドアを開けたのに、誰もいない。
今日も後方の机には変わらず“ここより前に座ってください”の折られた画用紙が置かれている。
「今日もいないのか、人……」
ジュンジのリュックの上で、ノブオは肩でフフっと笑った。
ところが結局、後から二人、ジュンジと年の近そうな女性と年配の女性がやってきたので、ジュンジも合わせると三人になった。
それでも三人には教室は広すぎる。
それぞれ距離をとって座るので、雅親はジュンジの隣に座った。
教習の始まりを告げるアナウンスが静かな教室に響き渡る。
指導員が黒板横のドアから入ってくると淡々と言う。
「はい、始めますよー。カードくださいねー」
三枚しかないタイムカードを集めると、指導員は慣れ切った様子で授業を進めるのだった。
長い、長い50分は終了した。10分の休憩を挟むと変わらぬ顔ぶれで、続けてもう一つ授業を受ける。
その50分も同じように過ぎ去ると、その次の時間とお昼休憩の時間を続けて休むことができた。




