第24話 大宴会 ①
買い物から帰ってくると、もう外は暗くなっていた。
カゴの荷物やお酒は、いつの間にか親指をしゃぶり大きくなっていたノブオと雅親に任せ、また夕食の準備も美希果に任せると、ジュンジは先にお風呂に入った。
大きな湯船に一番風呂でつかり、ゆっくりと足を伸ばす。
近隣に家がないため、大きく開けられた窓からは、少々ひんやりとしていて乾いた空気が気持ちよく入ってくる。
「はぁぁぁ、いいお湯……」
目をつぶり、あぁ、こんな幸せがあるんだな……
と思っていたそのとき、ジュンジは窓の外で砂利を踏み、誰かがこちらに近づいてくる気配を感じた。
そっと目を開け、そちらの方を見る。
「はっ、あっ……!!!」
思わず、ジュンジは驚きの声を上げた。
なんと窓から中学生くらいの、女子がのぞいているではないか……
びっくりしすぎて動けず、ジュンジはそのまま固まった。
時が止まったようになる。
しばらくして、少女はフンっというように最後にジュンジを一瞥すると、ゆっくりと去っていった。
「えっ? 何、今の……」
自分に話しかけるように、ドキドキしながらジュンジはつぶやいた。
おかしい、おかしいのだ。
のぞいたその顔は幼さの残る、可愛らしいものだった。
だが、その顔の位置がおかしい。
背が高すぎる。
窓はやはり、お風呂用に設置されているので、ただでさえ高い位置にある。
そんな窓を彼女は、わざわざかがむように覗き込んでいたのだ。
おそらく、身長が170センチちょっとくらいのジュンジよりも、彼女の背はだいぶ大きいだろう。
「ま、まさか……妖怪とか……岩手の山じゃありえなくもない……」
ついさっきまで座敷ハタチとフェアリーノブオ、ついでにきよちゃんまで見てきたはずのジュンジだったが、そんなことは全く頭になく、ただただ怖くなる。
「はぁっ、ああっ……!!!」
呼吸なのか、叫ぼうとしているのか、自分でもわからない謎の小声を吐き出しながら、ジュンジは慌ててお風呂から上がる。
せっせ、せっせと昨日と同じ、ノブオとそろいのパジャマを着ていたそのとき、キンコン、キンコン……とあの玄関の呼び鈴が家中に響き渡った。
「はぁーい!!!」
大きな声で返事しながら、美希果がドタドタと走っていくのが聞こえた。
美希果の声を聞き、パジャマに着替え終わったことでジュンジはすっかり冷静を取り戻した。
回覧板とかそんなものだろう。
さっきのはきっと勘違いだろうし、ノブオさんにも早くお風呂入ってもらわないと……
そんなことが頭の中を流れてきたジュンジは、いそいそと居間の方へ向かった。
玄関の前は通らないようして、台所を抜けていく。そして、ガラス戸を引いた。
「ノブオさん、いる? お風呂……えっ?」
はっとした。
みんなそこに座っていた。ごちそうも準備万端といった感じで、テーブルの上は華やいでいる。
それはいい、それはいいんだけども……
「あっ、あの……どちら様で……?」
ジュンジの顔は引きつっている。
そこには、もう一人座っていた。
お風呂場の窓からのぞいていたあの可愛らしい女子だ。
白いノースリーブのワンピース姿が眩しい、ツインテール美少女。
だが、ものすごく座高が高い。恐ろしく顔が小さく、手足も長い。
「あら、ジュンジ。私のこと、忘れちゃったの……」
彼女は大きな黒い瞳を潤ませ、ジュンジをまっすぐに見つめる。
お風呂の時の冷たい視線とは全く違う……
恐怖で動けないジュンジに、大きくなったノブオは教えた。




