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5、清掃活動を開始しました。


 ソーヴル大聖堂と、オルレアン公爵から、無事にお墨付きを貰った私は、まずは街の清掃から始めることにした。


 聖女シルヴィ様とも、できれば早く話をしてみたい気もしたけれども、それよりも先にできることを進めておいた方が、きっと話が上手く進められる気がした。

 

 私はひとまず聖女シルヴィ様に手紙を書くことにした。

 いきなり会うよりも、まずは手紙を通じてやり取りができればと思ったのだ。

 

 そして私は街に出ると、問題点を確認した。


 まず第一に問題なのが、道端に転がっている、動物達の糞尿である。これがなくなるだけでも、かなり街は美化されるはずだった。


 動物の糞は、そのまま堆肥になる。

 私はオルレアン領の農家に協力を仰ぎ、集めた糞を堆肥にして貰えるように頼んだ。


 更に後から気付いたのだけれど、この世界の人々のトイレ事情は、最悪に近かった。

 道端に積まれている動物の糞と思っていたものには、実はかなりの量の人糞でできていたのである。

 想像を絶する不衛生に、私の前世の記憶が目眩を起こして倒れそうだった。


 とにもかくにも、私は全ての糞尿を、お金を出して買い取り、全てを堆肥に変える作戦に出た。


 この街の不衛生、街の人々に蔓延した貧しさから来ている部分も大きかった。


 今までゴミ屑以下の価値もなかった糞尿を、集めて渡すだけでお金が手に入ると分かれば、皆がこぞって、道端や家の糞を集めて届けに来てくれた。

 私はそれ専用に雇った者達を増やし、できる限りの糞尿を集め、全て堆肥に変え、オルレアン領の農家に無償で配った。


 質の良い堆肥を与えられた農家で作る作物は、他に類を見ないほど美味しく瑞々しく、また大量に収穫できるようになり、オルレアン領の収入は目に見えて増加した。


 私は次に、職が欲しい貧民達を集め、お仕着せの服を支給し、オルレアンお掃除部隊として働いて貰うことにした。

 報酬は出来高制で、約1平方メートルの路地を綺麗にすれば1フランカ(約110円相当)10平方メートル相当の区域を綺麗にすれば、15フランカ(約1600円相当)の報酬を与えた。


 日々の生活にも困っている貧民達は、こぞって、この掃除部隊になりたがり、街はまたたくまに、見違えるほと清潔になっていった。


 次の問題はネズミである。

 黒死病の直接の原因であるネズミは、特に念入りに駆除しなくてはならない。

 ここで私は、ネズミにも懸賞金を付けることにした。

 一匹につき、5フランカ。

 捕獲して持ってきて貰えたら、生死に関わらず、それだけの額を気前良く渡した。

 ネズミ捕りは、子供や大人達の、良いお小遣い稼ぎとして、皆がこぞってネズミを捕まえるようになった。

 捕まえたネズミは、かわいそうだけれど、燃やして堆肥の仲間入りである。

 昔ハムスターが大好きだった私には、辛い作業であったけれど、これは人とネズミの生きるか死ぬかの戦争なので、情けは許されない。


 報酬は全て、堆肥から生まれたオルレアン領の良質な作物が産み出してくれていた。


 今の所、作戦は順調だった。


 聖女シルヴィ様とも、何度か手紙のやり取りができていた。


 しばらくは街の美化のために奔走していた私だったけれど、ある程度の美しさを確認した私は、そろそろ作戦を第二段階へと引き上げる頃合いだと把握した。


 作戦の第二段階。

 つまり、街の構造自体の改造である。


 ある程度はオルレアン公の独断でできる部分はあったとしても、街並みをいかにするかの権限は、王にあった。

 ここは、独断で先走らず、まずは王に話を通すのが筋である。


 ついに、今まで避けていた、王と王太子と対決すべき時が近付いてきていた。


 私が街の美化のために、大規模に動いていることは、すでに王の耳にも届いていた。


 そのため、様々なパーティーの席がある度に、それとなく会いたがられている気配は感じていたものの、パーティー参加よりも感染症対策を優先していたため、会う機会がずるずると遅くなっていたのである。


 そもそも街の人々が貧しい理由の一つに、貴族達が厳しい税金を取り立てて、その金を使って、高いドレスやパーティーばかりをして、無駄使いばかりしているせいもある。

 それに気付いてからは、今までのようにドレスを新調しては、パーティーに参加する気分にはならなくなっていた。


 けれど、王室と繋がることが、今後の活動を進めていくに当たって、必要なことだった。

 であれば、パーティーに参加して、王や王太子とコミュニケーションを取らないわけにはいかなった。


 ひとまず、少しでも出費を抑えるために、私はドレスの新調はせず、既存のドレスを少し手直しだけすることにした。

 そして、招待を受けていた、王室主催のパーティーへと足を運んだのだった。


 

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