24、浄化魔法の特訓してもらいました。
置いて行かれた騎士隊長を、今から送り返すわけにもいかず、私は仕方なく、アラン・フレーズ卿に守られながら、シルヴィの元へと行くことになった。
私の背後に張り付いているいかついボディガードに、シルヴィも最初は驚いたものの、事情を話すとすぐに納得してくれた。
「私のところにも、明日近衛騎士の隊員の一人を、警護に付けてくださるとお知らせがありました。本当にありがたいです。」
「明日ですか?」
「はい。ずいぶん早く手配していただけるみたいで、ビックリしています。」
「そうですよね…。」
普通に考えれば、1日で警護の騎士を手配してもらえるなんて、まずあり得ない早さだった。
昨日手紙を書いて、今朝には騎士と一緒に押し掛けてくるなんて、頭がおかしいのではないかというレベルの早さである。
「うーん…。」
もしかして、私はシャルマーニュ王太子にものすごく大切にして貰えているのだろうか、という気持ちになったけれど、違った時に余計に傷付くことになるので、それ以上は考えるのをやめた。
「とりあえず、浄化の力について教えてください。」
「そうですね。」
今日の私の目標は、私も浄化の力を使えるようになることだった。
昨日、私にも魔力があることが分かったので、それなら私も練習すれば浄化の力を使えるようになるのでは、と思ったのである。
「では、頑張りましょう!」
テーブルの上には、このために用意しておいたセイネ川の水を、コップに入れていくつも並べておいた。
「まずは、小さな水の粒子から、大きな別の粒子を取り出すイメージをしてください。」
「はい!」
私はシルヴィの言葉を意識しながら、必死に自分の魔力をイメージしようとした。
「次に、身体の下腹に魔力を溜めて、それを手からコップへと流すイメージをしてください。」
「はい!」
シルヴィの言葉通りのイメージをすると、確かにお腹の中が温かくなり、その温もりが指先へと移るのが分かった。
そして、ほんの少し指先が光る。
「光った!光りましたわ!」
「そうです!その感じです!!」
光はコップに届く前に消えてしまったけれど、自分にも魔力があるのだと、実感できるだけでも嬉しかった。
「では、今の感覚を忘れずに、もう一度!」
「はい!先生!」
私はシルヴィの教えに従い、そのまま半日程、必死で浄化の魔法の特訓を頑張った。
そして半日後、ついにコップ一杯ほどの水を、一度に浄化できるまでに上達できたのだった。
「すごいです!カミーユ様はやはり上達が早いです!」
そんな私を、シルヴィはべた褒めしてくれた。
「すごい…かしら?」
「はい!すごいです!ピエール司祭は、元から魔法が使えましたが、コップ一杯浄化するのに3日かかりました。それなのにカミーユ様は、昨日魔力に目覚められたばかりなのに、もう翌日でこんな浄化ができるんです!」
「まあ…!」
「これは、驚異的なスピードです!さすがカミーユ様です!」
司祭と比べてすごいと言って貰えるなら、確かにすごいのかもしれない。私は素直に嬉しくなった。
「シルヴィの教え方が良いおかげですわ。シルヴィは最高の先生です!」
「いえいえそんな、カミーユ様が素晴らしいのです!」
「ではもう一息…、あら…?」
この勢いに乗ってもう少し…、と思ったところで、腕に力が入らなくなった。どうやらかなり疲れていたらしい。
「魔力の使いすぎですね。ポーションで無理に回復させるのも良くないので、ハーブティーで一休みしましょう。おやつもまだですし。」
「それは素敵ですね。」
マジックポーションは、どうやら栄養ドリンクのような扱いであるらしい。無理したい時には飲むけれど、飲まないで済むならそれに越したことはないようだった。
「それにしても、魔力回復に効くハーブを見つけるなんて、シルヴィは本当に素晴らしいですね!」
環境の美化のついでに、街中でもハーブの育成を推奨すれば、一石三鳥にもなりそうだし、夢が広がった。
シルヴィの用意してくれた、カモミールティーとローズマリーと各種ハーブを調合した、香草カップケーキは本当に美味しくて、食べるだけで力が一気に戻るほどだった。
「シルヴィ、あなた、こんなに料理も上手だなんて!どこまで女子力高いの!本当に最高だわ!お嫁さんにするならシルヴィがいいっ…!」
あまりの美味しさに、私は思わず感動して叫んでいた。
そんな私の言葉に、シルヴィは真っ赤になりながらも、嬉しそうにしてくれていたのだった。




