成長する少年
昨日は日記が書けなかった。
それもそのはず、心が来て何かと忙しかったから。
空は、傍らに置いてあったシャープペンを手にした。
【今日は、朝から心の発言にびっくりした。
心というのは⋯昨日、俺の部屋に送られてきた、
元ロボットの人間で、】
ここまで書いたとたん、空は変に思った。
――なんで⋯わざわざ俺なんだ⋯??
別に、少女を人間に変えた輝樹というやつが
責任もって世話してやってもいいんじゃないか??
ましてや、他の研究員でもいい気もするが⋯。
研究所で世話して、みんなで交代制ってのも
できるのでは? なにかまずいことでもあるのか⋯?
次々に浮かぶおかしな疑問。
――それに⋯心は何のために作られたロボットなんだ?
実験とはいえ、何の実験かもわからない。
なぜそのようなロボットを作ったのか?
しかし、いくら考えても拉致が明かないので、
ここで一旦やめた。
手に持っていた1本のシャープペン
と自分の心情を頼りに、
また1冊のノートに文字をかきいれた。
【マリアに世話してほしいと頼まれた。
心のおかげで俺は何か変わった気がする。
感情の大切さや思いやりの大切さ。
心のおかげで改めて思い知った気がする。】
こう書いたところで、空は本を閉じた。
――心⋯俺、お前のことが⋯
すると、突然、ドアが開いた。
空「うわっ!!」
空はいつも以上にびっくりした様子。
心「そんなにあわててどうした。」
空「いやいやいや、そーじゃなくて⋯
いきなり、ドガッって、ドアを
開けないでくれよ~; 壊れるだろ?」
心「⋯す、すまないな⋯」
と、言いながらも、なんだか
面白そうな顔をしている。
めったに見せない心の笑顔。
それにつられて、空も自然と
笑顔になってしまった。
空「そ、それより⋯なんか、
用があったんじゃないの?」
心「小説を読んで、思ったことを
討論しようではないか」
空「はぁ?!」
まさか、心がそんなことを
言うとは思ってもみなかった。
ましてや恋愛小説などで。
空「俺⋯別に、その本1度も読んでないよ?」
心が読んでいた本は、もともと家にあったもので、
所有者は空なのだが、面白そうで買っただけ
というもので、まだ1度も目を通していなかった。
心「いいのだ。別にそんなに真剣にやるものではない。」
空「そんなこと言っても⋯心が言うと、なんか
真剣にやんなきゃいけないみたいになるだろ⋯?」
そんなことも気にせず、心は勝手に進め出した。




