↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
72/84

第69話『守られている場所』

夜。


星降る宿屋には、

いつも通り暖かな灯りがともっていた。


昼間の騒動も終わり、

店内には穏やかな空気が戻っている。


「今日はちょっと驚きましたね」


リアが食器を片付けながら苦笑する。


「そうですね」


ミリアも頷いた。


あの三人組は結局、

最後には大人しく食事をして帰っていった。


特に問題も起きなかった。


だが。


リアの胸には、

少しだけ不思議な気持ちが残っていた。


「…………」


その時。


「どうした?」


ガルドが気づく。


リアは少し照れたように笑った。


「なんというか……」


そして。


暖炉前を見る。


ガルド。


ユーリ。


ディオ。


いつもの常連席。


「皆さんが助けてくれて嬉しかったなって」


暖炉の火が揺れる。


その言葉に。


ガルドは少しだけ笑った。


「当たり前だろ」


「え?」


「俺たちもこの宿好きだからな」


ユーリも頷く。


「居場所って大事だし」


「……守りたい」


ディオも静かに言う。


リアは少し目を丸くした。


その時。


カラン、と扉が鳴る。


「こんばんはー!」


入ってきたのは、

以前この宿で元気を取り戻した若い冒険者だった。


「おかえりなさい!」


リアが笑顔で迎える。


青年も自然に笑う。


「ただいま」


そのやり取りを見て。


ガルドたちは当たり前のように席を空けた。


「ほら新人、こっち」

「もう新人じゃないだろ」

「……座れ」


店内に笑い声が広がる。


青年は苦笑しながら暖炉前へ座った。


そして。


ぽつりと呟く。


「ここ来ると安心するな」


暖炉の火。


木の香り。


笑い声。


誰かの「おかえり」。


その言葉を聞いた瞬間。


リアはようやく気づいた。


少し前まで。


この宿を守っていたのは自分だった。


でも今は違う。


帰ってきてくれる人たちがいる。


この場所を好きだと言ってくれる人たちがいる。


そして。


守ろうとしてくれる人たちがいる。


「…………」


リアは静かに笑った。


その時。


「リアさん」


ミアが隣へ来る。


「どうしました?」


「……今、すごく嬉しそうです」


「えっ」


顔が少し赤くなる。


すると暖炉前から。


「最近ずっとだな」

「幸せそう」

「……わかる」


常連たちが笑う。


「もうっ!」


リアの抗議に、

店内はさらに賑やかになる。


暖炉の火が揺れる。


星降る宿屋。


そこは今日も、

たくさんの人に守られながら灯りをともしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。