↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
37/84

第34話『小さな変化』

朝。


星降る宿屋には、

今日も焼き立てパンの香りが広がっていた。


「……あれ?」


リアは食堂へ降りた瞬間、

小さく目を丸くした。


「なんか……違う?」


店内はいつも通りだった。


暖炉。

木の椅子。

穏やかな空気。


でも。


どこか少しだけ、

雰囲気が変わっている。


「気づきました?」


レインが静かに紅茶を置く。


「えっ、レインさん何かしました!?」


「少しだけ」


そう言って、

レインは暖炉近くを指差した。


そこには、

小さな木製棚が置かれていた。


「わぁ……!」


リアの目が輝く。


棚には、


* マグカップ

* 小皿

* ランプ


などが綺麗に並べられている。


しかも。


暖炉の光と合わさって、

かなり雰囲気が良かった。


「これレインさんが?」


「空いてた木材があったので」


「空いてた木材で作るレベルじゃないですよこれ!?」


リアが驚く。


すると。


「……落ち着く」


いつの間にか暖炉前へ座っていたディオが、

ぽつりと呟いた。


「それ大事」

「雰囲気めっちゃ良くなってる」


ガルドたちも頷く。


するとミアが、

少し緊張した様子で口を開いた。


「……その、私も少しだけ……」


「え?」


リアが振り返る。


するとミアは、

窓際を指差した。


そこには小さな花瓶。


白い花が、

静かに飾られていた。


「わぁ……!」


リアの顔がぱっと明るくなる。


「かわいい!」


「っ……」


ミアの顔が少し赤くなる。


「昨日、お花屋さんで余ってたのを……」


「すごくいいです!」


リアは本当に嬉しそうだった。


その時。


カラン、と扉が鳴る。


「おっ、なんか変わってる!」


ユーリが入ってくるなり声を上げた。


「ほんとだ。雰囲気さらに良くなってんな」


「だろ?」


ガルドが何故か誇らしげだった。


「お前の宿じゃないだろ」


ミリアが呆れる。


店内に笑い声が広がる。


暖炉の火が揺れる。


小さな棚。


窓際の花。


少しずつ変わっていく宿。


でも。


変わっているのに、

ちゃんと“星降る宿屋”のままだった。


「…………」


リアは静かに店内を見回す。


昔は、

余裕なんてなかった。


飾りを置くことも、

雰囲気を考えることも。


ただ宿を守るだけで精一杯だった。


でも今は違う。


「なんか……いいですね」


リアは小さく笑った。


するとレインが穏やかに頷く。


「帰ってきた時、少しでも落ち着けた方が良いので」


その言葉に。


暖炉前の常連たちが、

自然に笑った。


星降る宿屋。


それは今日も、

少しずつ“帰りたくなる場所”へ変わっていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。