バレンタインと恋人
バレンタインイベント開始です。
全員の話を一話にまとめようとしたけれど、無理でした。
フワリとシロウしか、書けませんでした。
続きます。
今日は2月14日のバレンタイン。
最近のバレンタインでは、友チョコや気になる人へのチョコよりも、自分用チョコの需要が高いそうだ。
ピーニャでも、普段よりちょっと特別な、自分へのご褒美のチョコレートのメニューが用意されている。
店の入り口に置かれた黒板のボードには、バレンタインメニューとそのイラストが可愛く書かれている。
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おすすめバレンタインメニュー
バレンタイン限定のショコラプディング、追加でア・ラモードにも!
限定キングチョコパフェ!
普段はノーマルパフェのキングのみですが、今日だけ、チョコパフェもキングに!
飲めば甘くて幸せに!
あまあまホットチョコレート!
寒い今日におすすめです!
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少し丸みを帯ながらも読みやすい書体の文字、上手で美味しそうに見えるイラスト、文字やイラストの色使い、プロの仕上がりに思えるくらい上手い。
「……ダイチくんが、黒板書いてたの。店長に聞くまで知らなかったから、びっくりした」
「フワリちゃん、知らなかったんっすか!皆に驚かれるっすけど、オレ、美術はいつも5だったんすよ!」
胸を大きく張り、ドヤ顔のダイチ。
金髪にシャツのボタンがいくつか外れた制服。
顔の良さとふにゃっと力の抜けるような笑顔で、お客さんに意外と人気がある。
「イラストとか描くの、好きなの?」
「はいっす!友達から借りた漫画が最高で、オレもこんな風に描けるようになりたいって思ったっす!」
「……ふーん。今日撮る予定の踊ってみた動画だけど、変更して、ダンスを踊りながら絵を描いてみた動画にしよ。」
「良いっすけど、それバズるっすか?」
2人のシフト時間が終わり、店の裏で動画撮影。
動画で難易度の高いダンスを踊らせ、曲が止まる度に少しずつ絵を描いていく。
お題はハートと恋人。
曲が終わるまでに、私とダイチでそれぞれ絵を終らせる。
案の定、ひどい出来ばえの絵が出来上がった。
「あー!ダンス踊ってるのに集中して、絵が上手くかけないっす!オレ、美術5だったのに!本当は、上手いんすよ!」
悔しそうなダイチ。
「そんなに言うなら、ダンス踊らなくていいから、ハートと恋人の絵、時間をかけて描いてみなよ」
私は、ダイチとその手元の絵を写す、カメラに専念する。
「よっしゃあ!やってやるっすよ!」
2時間位かかったが、かわいいイラストが完成した。
まさか、ティアとユリナが、2人でハートのポーズを撮っているイラストだとは思わなかったけれど、特徴を捉えていてよくわかる。
「まあ、今はボールペン1本だから、こんなもんすね!」
ドヤ顔のダイチ。
チャラい見た目のイケメンの手の中には、かわいいティアとユリナのイラスト。
難易度の高いダンスも合わさって、ギャップでバズる動画の出来上がり。
編集で、2時間の部分は、見やすい時間に調節すればいい。
これで、ボーナスはもらった。
「……はっ!動画に時間かけすぎた。今日、用事があるの忘れてた。急いで帰らなきゃ」
「それなら、オレここ片付けておくんで、帰っちゃっていいっすよ!」
「ありがとう!助かる!」
私は大慌てで、帰る支度をする。
今日は、バレンタイン。
シロウさんへ、バレンタインチョコを渡さないと!
「……遅れちゃって、ごめんなさい」
ファンシーショップで、シロウさんと待ち合わせの約束をしていたけれど、時間より30分も遅れてしまった。
大人の男性を、ファンシーショップに、1人で30分以上待たせるなんて、本当にごめんなさい。
「遅れるって、連絡貰ってたから、大丈夫だよ。フワリちゃんが遅刻なんて、珍しい。何か、困ったことでもあった?」
「仕事の動画撮ってたら、遅くなっちゃって……」
手を優しく握られ、恋人繋ぎになる。
私の歩幅に合わせて、シロウさんは、ゆっくり歩き始める。
「仕事の動画?カフェのバイトで、動画とるの?」
あ!
シロウさんに、オーディションの歌へた動画を見てほしくなくて、動画を教えてなかったんだった。
普通のカフェ店員は、動画なんて撮ったりしないから、怪しいよね。
嘘はついてないんだけれど、説明しないと、わかって貰えないよね……。
「これ、Animaltuveのピーニャチャンネル。スタッフが週に何回か投稿してて、バズるとボーナスがでるの」
「え!フワリちゃん、動画に結構でてるし、閲覧者も多いんだね。オレ、あんまり見ないから知らなかったけれど、フワリちゃんがでてるなら見るよ!」
シロウさん、ティアの映画も知らなかったから、動画も知らないんだろうと思っていた。
ダンス動画は見てくれるの嬉しいけれど、オーディション動画だけは、見てほしくないな。
「あのね、シロウさん。ダンス動画は、自信あるかは見てほしいんだけどね。……私、音痴なの。一番最初の採用オーディションの動画は、ちょっと私が歌っている場面があって……。下手だから、その動画だけは見ないでほしいな」
「待って、採用オーディション?面接じゃなくて、オーディションがあったの?」
「面接もあったんだけれど、歌やダンスの審査もあって」
「え、フワリちゃんは、アイドルなの?」
「普通のカフェの店員なんだけど、店長がドルオタで、自分が作るカフェのコンセプトがアイドルに接客して貰えてファンサが貰えるカフェだったから、スタッフの採用もオーディションにしたって言ってた」
「ちょっと待って、難しいや。でも、ピーニャの店員イケメンやかわいい子が多いなとは、思ってたけれど、これはちょっと想定外で。絶対、歌が下手とか言わないから、ピーニャの事を知るためにも、オーディション動画を見ちゃダメかな?」
ピーニャは独自のシステム多すぎるから、普通のカフェを想像すると、理解できないのはよくわかる。
シロウさんは実際に通っているし、ただの予約制のカフェだと思っていたけれど、違ったから混乱してるんだろうな。
でも、私はシロウさんに自分のコンプレックス、歌へたな所、見られたくないな。
「私、音楽の授業の度に、歌へただって馬鹿にされて、本当に嫌なの」
「ごめんね。そんなに嫌なら、フワリちゃんの歌っている所は絶対に見ないよ。むしろ、オーディション動画、一緒にオレの部屋のテレビに繋いで見よ。フワリちゃんは、自分の歌っているところだけ、止めて早送りしてくれれば良いからさ!これで、オレはオーディションの概要わかるし、フワリちゃんは自分の見られたくないところ見られないですむからさ!だから、泣かないで」
「確かに、私の所は早送りしちゃえば、他の所は見てもいいよ」
勝手に涙がにじみでて、私ってめんどくさい女だな。
シロウさんが、目元にハンカチをあててくれる。
「もっと早く、思い付けば良かった。フワリちゃんにとって、歌うのは、そんなに嫌なことだったんだね。人のコンプレックスを笑うようなやつの方が、おかしいんだよ。フワリちゃんは、何も悪くないんだから。よし、じゃあ、オレの家に行こう!」
シロウさんの家に行って、オーディション動画を再生する。
私も見られてなかったけれど、お母さんにフワリの歌う場面は最初の方だって聞いていたから、ちゃんと止められたし、早送りできた。
後半のダンス動画の方は、しっかり見て貰えた。
それにしても、この企画、お金かかってるな。
普段は低予算でできる動画しか撮っていないけれど、このオーディション動画は何人もの技術スタッフが関わっている。
編集も上手いし、歌やダンスの音の音響や照明も素晴らしかった。
面接を受ける人も、衣装凝っている人が多かったから、本当にアイドルのオーディション動画みたい。
「……フワリちゃん、これ、立派なアイドルだと思うよ。ダンス上手すぎ。カフェにいけば、会いに行ける身近なアイドル」
「でも、ユリナちゃんやソウちゃんは、別でアイドルデビューしたよ?」
「契約内容としては、あくまでカフェの店員なのかな……。そこはよくわからないけれど、でも、通っているお客さんは、絶対に君達の事、ピーニャのアイドルだと思ってるよ。これ、オレがフワリちゃんとつきあってるのバレたらやばいんじゃ、バレないようにしないと。でも、街中でも普通に恋人繋ぎしてるし、家にも連れてってるし、今さらか?」
シロウさんは、頭を抱えてしまった。
別にピーニャは恋愛禁止とかないし、実際に付き合っているカップルも何組もいる。
ティアちゃんは、有名な読者モデルだったから、キス写真で、炎上したけれど、私は案件の依頼もない、ただの踊ってみた投稿の人だから、心配しなくていいのにな。
それに、ほら、今日はバレンタイン。
「シロウさん、これ。バレンタインのチョコレート。昨日、一生懸命作ったから、食べてほしいな」
「フワリちゃんの手作りチョコレート!?ありがとう!バレンタインだから、貰えないかなって期待してたけれど、実際に貰えて嬉しいよ。早速だけど、開けていい?」
「もちろん!」
ラッピングをして、リボンをかけた箱。
ガサガサと、シロウさんは、丁寧に箱を開けてくれた。
「生チョコだ!美味しそう。フォーク持ってくる」
シロウさんは、足早にキッチンへ向かうと、フォークを取って、戻ってきた。
「いただきます!うまっ」
良かった。
シロウさん、美味しそうに食べてくれている。
作ったかいがあったな。
「いっぱい作ってくれたから、フワリちゃんも食べな。あーん」
シロウさんが、あーんしてくれた。
うん、味見して美味しいのは確認してたけれど、良くできてる。
やっぱり、失敗作は家で消費して、成功したのだけ、箱に入れたのが良かった。
「ホワイトデーのお返し、楽しみにしててね!」
シロウさんの笑顔が、好きだな。
読んで頂き、ありがとうございます!
前の投稿で、プロット通りにいけば、後8話で終わると言いましたね。
バレンタイン1話でおわらなかったので、あれは嘘です。忘れてください。




