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61世情

「そういえば、メリダは俺の家の場所は分かるのか?」

「「あ。」」


鍛冶作業を終え、三人で汗を流してリビングで寛いでいる時にふと思った。


「ご主人様が産業区画に家を買ったと前に話していたのは覚えていますが……。

あの方はどうやら、人の話を『うかうか』と聞いている性格の様子ですし、一度直接連れてきた方が良いかも知れませんね。」

リザがメリダの性格をバッサリと切り捨てる。


「うふふ。ええ、一度キチンと『躾』なければいけませんわぁ。

あの方は私達を『物』として処分させようとしました。

『物』として扱った者が、私達と同じく

『物』になったのです。

でしたら『物』としての喜びを教えてあげますわぁ。」


どうやら26人の『バカ』と揉めた時、損害の賠償として、『二人を売って』でも賠償金を払わせようとした事を根に持ってるらしい。


「『躾』は大事だが『虐め』はダメだ。

『逆らう気力』は奪っても『生きる気力』は絶対に奪うな。わかったか?」

一応釘は差しといた。


「お任せください、ご主人様ぁ!

私、そのギリギリの!

更にそのギリギリの『際の際』は、大変存じております!

『頭』や『心』をしっかりと『洗い流して』、一月程で『身』も『頭』も『心』も完全な『終身奴隷』に仕立て上げてご覧にいれますぅ!」


両手をギュッと握りしめて、力強くアピールしてくる。

エマの眼には『炎』が見えてる。

……ヤル気満々だ。


ただ、エマ……。


……メリダは『3ヶ月の奴隷』なんだが………。


まぁ良い。


やる気になって教育してくれるなら感謝するべきだろう。


外は今夕暮れ時、ちょうど冒険者が混雑する頃だ。

「ちょうどイシスさんに渡したい物があるんだ。

それを渡したついでにメリダを連れて来よう。」

「わかりましたぁ。」

「お供いたします。」


三人とも裸から服を着て身なりを整える。


そういえば『あの剣』の試し切りをしてない。

二人の着替えを待つ間に鍛冶場から剣を持ち出し、まず確認する。

……うん革はくっついている。


作業用の木の棒を立てて、まずは、前に造った普通の鋼の剣で袈裟斬りしてみる。

しっかりと真っ二つにした。


次は今日完成した『衝撃二倍付与した剣』。

真っ二つにしたが、切った木が『衝撃』でぶっ飛んでしまった。


次は木製の作業台の上に『普通』と『衝撃二倍付与』の剣を剣先から落としてみた。

『普通』は親指位刺さって止まった。

『衝撃二倍付与』は剣の中程まで刺さった。


なるほど。


つまり、剣を『振るう時』も、対象にかかる衝撃二倍だけど、

剣を『落とした時』も、対象にかかる衝撃二倍だと。


どうしよう。


けっこう危ない代物になっちゃったぞ?

お礼の品として適切か?

普通の剣も一応全部持って行くか?


自分の腰に自前の剣を挿し、『衝撃二倍付与』を一本、自前の普通の剣3本をザックに入れ、用意できた二人と共にイシスの商館に向かった。


イシスの商館に着くと商館のメイドが迎えてくれた。

「ご主人様は先程帰られたばかりでして…少々お待ち下さい。」

いつものソファーに座って寛ぐ。


座って、出されたお茶をすすり始めた頃に

「お待たせしました。」とイシスが入ってきた。

「今日は色々とありがとうございました。」

と俺が頭を下げた。


「いえいえ、同じ組合員として当選の事をしてまでです。」

と謙虚に返された。


「それで…武器防具職人の方々とはあの後話の進展はあったのでしょうか?」


「ええ、あの後この街で発言力のある武器防具職人の方数名と話をしまして、『相手の組合長が被害者の職人の【奴隷】になった』と伝えますと、『マジ!?今から冒険者組合行ってくる!!!』と、物凄くはしゃいで出ていかれてしまって……。本当は今後の事を話し合いたかったのですが、それは後日になってしまいました。」

と、イシスが苦笑いしている。


「なんだか申し訳ないです。」

俺が謝る事じゃ無いけど。

とにかく、この世界の職人落ち着け!


「いえ、ヨシアさんが謝る必要はありません。むしろあの様子からすると、『かなりスッキリ』したご様子。

売り手側が心配していた事態は避ける事が出来そうです。」


イシスからは安堵した様子が伺える。

その様子から俺もやっと安心できた。


「それを聞いて安心しました。

他の国に売りに行くとなったら大変ですしね。

売り手の方も生活が大きく変わってしまう。」


「そうですねバルドアに向かうにしても、敵対国であるアルディアの近くを通らないとならないので、武器防具の輸出は中々厳しいのです。

極少数なら可能でしょうが、この街の職人の生産量はかなりのものです。それだけ大量の武器防具が動けばアルディアも黙っていません。

何かしらの規制や報復はあるでしょう。

それにバルドアと公国が結託したと疑われた場合、この街にも戦禍があるやもしれません。

それは絶対に避けねばいけませんので……。

それに武器防具を造ろうにも、素材は森林ダンジョンの魔物達です。

その素材を冒険者から手に入れないと造る事さえ出来ない。

結局、冒険者に頼らないと素材が手に入らないんですよ。」


元々『輸出メインで』ってのが無理があったのか……。


「ちなみに、アルディアに武器防具を輸出するというのは考えていなかったのですか?」

冒険者組合での話し合いの時から気になってた事だ。

普通に考えて二国を相手にした方が商売のリスクを減らせる。


「はい。これは、この公国の商人組合としての総意ですし、この街の武器防具職人達もそう考えています。

今のアルディアに武器防具を売る事はあり得ません。」


せっかくだ。知りたかったこの世界の事、色々聞いておいた方が良さそうだ。



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