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かれん(ギャル副店長)と女子会


 「ごめーん、お待たせー♪」


 ホワイトベージュに染めた髪にキャップを被り褐色の肌、十一月だと言うのに胸元の開いたトップスに黒のフーディーを羽織って、ミニスカートにブーツで現れた。

 

 私も薄手のコート、ベージュのルーズニットにパンツを合わせただけのラフな格好で来たから二人並んでも別におかしくないでしょ?


 「んじゃ、歩夢くーん、羨ましいだろ〜! 後はヨロ〜♪ 」


 かれんに腕を組まれて店を出る。あれ? 本当に羨ましいそうな顔してるわね、お酒好きなのかしら?




 ※




 「それじゃ、かんぱーい!」



 ご飯と言うより二人とも飲みたい気分だったので、飲みがメインのお店に来ちゃった。

 ここはお座敷で靴が脱げるのが良いわよね! それにお魚が新鮮で美味しくて、他にも焼き鳥やピザ、お酒のつまみになる物が揃ってる。

 とりあえず各々好き勝手に頼んだら、テーブルが和洋折衷入り乱れてしまった。こんなに食べれるの?

 


 「歩夢あいつ、マジでいづみんの事気になってんじゃね? ちょっとふっかけたら簡単に堕ちると思うんだけど、どーする?」


 意地悪そうに笑ってるけど、そーなの? 


 「私っ、そんなつもりないからっ!」

 「またまたぁー、気になってるのバレバレだからね?」


 やっぱりバレバレなの? 恥ずかしいっ、成田くんにはバレて無いわよね?


 「もうっ、そーじゃないのよ! あのね、私、……恥ずかしいんだけど、その……、声フェチなの。

 だからその……、初めて成田くんの声を聞いた時、凄くいいなって思って。本当に素人なのって? そしたらこの間かれんから声優さんになったって聞いたから応援したいなって、それだけなの!」

 「本当にそれだけー? でも付き合っちゃえばいつでも声聞けんじゃん? それじゃダメなん?」


 かれんは納得してない顔で焼き鳥をパクついた。


 「駄目じゃないけど……、んー、なんて言うんだろ、私っ、推しを応援したいの! 

 グッズ買ったりイベント行ったり、出演作見たりしてどんどん人気が出るのを陰から見届けたいのよ!」


 私はスマホの待ち受け画面をかれんに見せて、


 「ちなみに今の私の最推しはこの人、三上蓮さま! 今じゃ超人気声優になっちゃったけど初めて声聞いた時はまだそれ程人気があった訳じゃないのよ、それがだんだんと知名度が上がって来て、ついにアーティストデビューもしちゃったの、しかも作詞作曲も自分でやって、もう天は二物も三物も四物も与えたって感じで、それでね……」


 「ちょっ、ちょっと待った! ストーップ!!」


 何よ? これからが本番なのにーっ!


 「ちょっと何? いづみんってそっち系だったの? 普段あんなにすました顔してんのに、急に早口になって超ウケるんですけど?」

 「何が言いたいかって言うと、成田くんには蓮さまみたいに人気声優になる可能性があるって事よ!」



 ……あれ? かれんどーしたの? 



 「なーんだつまんないの! てっきりお互い意識してて私が後押ししたらくっつくんじゃないかって思ってたのに!」


 さっきまでめちゃめちゃ食いついて来たのに、すっかり興味を無くして食べるのに夢中になってしまった。


 「もうっ! ……まぁいいわ。私の事ばっかり喋っちゃったけど、かれんはどーなの? 好きな人とか、彼氏とか居ないの?」


 すると食べていた箸がピタッと止まり、ビールのジョッキをグィッと飲み干した。


 「ちょっと聞いてぇ〜! アイツ、『俺にはかれんが必要なんだ。俺の心の落ち着く場所はお前だけなんだ」とか言って浮気してたんだよ! しかも三股! 許せないんですけど!?」



 あっ、押しちゃ駄目なスイッチ押しちゃった、私?



 そこからのかれんはダムの放水の様な勢いで、今まで貯めていた物を一気に吐き出した。途中でビールから焼酎の梅割りに変え更にピッチが上がった。まるで飲んだ分口から愚痴を吐き出してるみたいで、何故か私も釣られて同じペースでハイボールを飲んでしまった。


 「でもさー、今までの話聞いてるとかれんも尽くし過ぎだよー、ギャルなのにー」

 「ギャルとか関係ないっしょ? てかギャルは割と遊んでる様で一途な子多いんだよ。ウチの周り限定かも知んないけど?」


 「んー、可愛い♡ こんな子に尽くされたら私なら絶対浮気なんてしないんだけどなー」


 私は向かい側に座っていたかれんの隣に腰を下ろし抱きついた。


 「いづみん酔ってるっしょ? もしかして酒弱いの?」

 「んー、自分のペースで飲んでたら割と強い方だと思うんだけど、かれんのペースに合わせて飲んだらちょっと酔っ払っちゃった、へへ♪」


 そう言ってかれんの頬っぺにちゅうをした、……みたい。ここから先は覚えてないけど……。





 ※




 〜芹沢かれん視点〜


 「いづみん酔ってるっしょ? もしかして酒弱いの?」

 「んー、自分のペースで飲んでたら割と強い方だと思うんだけど、かれんのペースに合わせて飲んだらちょっと酔っ払っちゃった、へへ♪」

 

 

 オープンしてからほぼ毎日店に顔を出すこの女、ウチらの間じゃ福引きで特賞を当てた綺麗なお姉さんと言う事で『特賞さん』と呼ばれている。

 従兄弟の歩夢の事ばっかり見てるし、……まぁそれを言ったらウチに来る女の客はだいたいそーなんだけど、買う気もないのに売り場で歩夢の近くをウロウロしている。

 害はないし店を出る時は何かしら買って出るから別に文句もないんだけど、あからさま過ぎてウケるんですけど?


 ある日喫煙所でタバコを吸ってたら特賞さんがやって来て、万引きしてる男が居ると言って来た。

 後で警察から聞いたらかなりの常習者だったみたいで、ウチの商品も結構やられていたから見つけてくれて助かったよ。

 そんな彼女は同い年で話し易くてすぐに仲良くなり、今度一緒にご飯に行く約束をした。まさか店の客と友達になるなんて思わなかったわ。


 ヨシッ、ここは私が間に入っていづみんと歩夢の仲を取り持ってやろうじゃないか!

 先ずは情報収集しなきゃね、……って思ったら頑なに否定して、好きとかじゃなくていづみんは声オタだって! 

 推しを推すとか、付き合っちゃえば全て解決すんじゃないの? 全然理解出来ないわ。でもまぁそれで本人が楽しいならそれもありなのかもねー。




 ※





 「かれんはどーなの? 好きな人とか、彼氏とか居ないの?」



 あーそれ聞いちゃう? せっかく忘れようとしてんのにーっ! 私はお酒も入っていたせいか、知り合って間もないいづみんに全てをぶちまけた。


 「わかるー! 許せないよそんな男ぉ〜!」


 いちいちリアクションが良いのでついついお酒が進む。いづみんも同じペースで飲んでるけど大丈夫?


 全部吐き出したらスッキリしたわ! スッキリしたらお腹空いちゃった。私は頼んだのにまだ半分以上残っているサラダやポテトを食べていると、いづみんが何故か隣に座って来て抱きついて来た。酔うとベタベタするタイプなのかな?


 「いづみん酔ってるっしょ? もしかして酒弱いの?」

 「んー、自分のペースで飲んでたら割と強い方だと思うんだけど、かれんのペースに合わせて飲んだらちょっと酔っ払っちゃった、へへ♪」


 甘えた声で私の頬にちゅうして来た! 普段のすました感じとのギャップが凄いわ!


 「ちょ、ちょっと飲み過ぎだよ! いづみん、男と飲んでもそんななの?」

 「えー、私、彼氏になった人以外男の人と飲みに行ったりしないもーん! ……まぁ若い頃は色々あったけど」



 それは正解だわ! こんな甘えた顔で隣に居たら大抵の男は勘違いするでしょ? てかその言い方は結構若い頃やらかしてるな?

 

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