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手荒い祝福!!


 「マジか! 歩夢っ!! やったなオイッ!!」




 〜成田歩夢視点〜



 久しぶりに現場が一緒になったので、休憩時間にこっそりと蓮さんに近い内に結婚を前提に同棲を始める事を伝えた。

 想像してた以上に喜んで影山さんにまで絡んでいる。


 「萌香っ、聞いたか? あの俺の神聖な生誕祭の影でベロチューしてた二人から遂に結婚の言葉を聞く事になるなんて! 感無量だよ、俺は!」


 ハイテンションな蓮さんに影山さんは、


 「別に蓮が何した訳でも無いじゃない? こっちとしては稼ぎ頭が結婚で人気が落ちないか不安でしょうがないわよ!」

 「本っ当萌香はツンデレだなぁ、そんなんで歩夢の人気はそうそう落ちないの分かってんだろ? 結婚発表する時の劇的な馴れ初めとか考えよーぜ、なっ!」


 あー、そーだった。この人は俺を自分のオモチャだと勘違いしてる所があるんだよなぁ、ほっといたらとんでも無い事考えそうだ。


 「そーゆーのは考え無くていーです。正直に言うからっ!!」



 そう、初めて出会ったのはクジ引きコーナーで、いづみさんが特賞当てたんだよな。少し恥ずかしそうにしてた顔、綺麗だけど可愛い、何とも言えない気持ちになったのを今でも覚えている。


 それが今の俺の彼女でもあり、……奥さんになる人だ。



 「萌香ぁ、今週の歩夢のスケジュールどーなってる? どーせなら俺達で盛大に祝ってやろうぜ! 『御船』貸し切りにしてさ!」

 「そーね、私も歩夢の頑張りをいつも見てると応援したくなるのよね、蓮はこの日の夜空いてる?」

 「おぉ! 丁度この日だけ空いてるよ! こりゃみんなで祝えって事だよな、歩夢、お前の親しい人も呼んで楽しもうぜ!」


 俺達を酒の肴に飲みたいだけなんじゃ……、なんて事は無さそうだ。だって蓮さん、心なしか涙ぐんでるんだもん。そんな顔見たら影山さんもおちょくる気にはなれないみたいだ。






 ※





 「……ねぇ、マジでウチらみたいな一般人も行っていーの? 緊張すんだけど?」


 かれんさん夫婦に声を掛けて、いづみさんはゆみさんとバンドメンバー、それに新人の里菜ちゃんにも声を掛けたみたいだ。その時初めて里菜ちゃんは俺達の関係を知ったらしく腰を抜かす程驚いたそうだ。


 「俺達の為に祝いたいって蓮さんが言ったんだから大丈夫です。それに蓮さんと小石川さん以外は皆一般人ですから!」


 まだ結婚もしてない、同棲記念ってだけだから大袈裟かも知れないけど、蓮さんは嬉しくて仕方がないみたいだ。


 「まっ、本当の結婚発表の時になったら知り合い集めて盛大にやるからな、だから別れるとか無しだぞ!?」


 ……なんてメッセまで入れて来た。俺、結構可愛がられてたんだな、へへっ♪





 ※





 〜鈴森いづみ視点〜


 「店長、こんな高そうなお店に私、こんな軽装で平気ですか? もっとこう、フランクな立食パーティーみたいなの想像してましたよ!」


 里菜ちゃんと仕事終わり『御船』に向かい、その店構えを見て動揺している。私も初めて来た時そーだったもん。


 「大丈夫よ! みんな普段通りの服装でって伝えてあるから! ……あっ、かれん!」

 「知らない土地だから迷ったら嫌だから勿体無いけど最寄り駅からタクシー使ったわ、もぉタクシーなんて乗ったの久しぶりだし!」

 「よう、鈴森、改めておめでとう!」


 タクシーからかれんと梅里くんが降りて来たのを見て里菜ちゃんはホッと胸を撫で下ろした。


 「それじゃもうみんな集まってるみたいだから、行こっか?」


 私が先頭で『御船』に入る。私だってあれから数回しか入って無いから緊張するのよね。



 扉を開けると、支配人さんが優しい笑顔で迎えてくれた。


 「お待ちしておりましたよ、この度はおめでとうございます。二人を見守っていた身からしたらこんなに嬉しい日はございません。まるで蓮様と乙葉様の時を思い出しましたよ」


 柔らかい物腰で深々と頭を下げている。


 「支配人さん、いつも美味しい料理とお酒をありがとうございます。これからも宜しくお願いします!」


 支配人さんはいつもの座敷とは違う、宴会用の広い座敷に案内してくれた。既に賑やかな声が聞こえて来る。


 襖を開けると……、一斉にこちらを向き笑顔を見せてくれた!



 「おっ、『本日の主役』が登場だぞ! みんな拍手〜っ!!」


 蓮さまが私を見て立ち上がり手を叩くとみんなもわざわざ立ち上がって拍手で迎えてくれた。恥ずかしいぃ


 「それじゃみんな席に着いて、ホラッ歩夢っ、ここからはお前が仕切れよ!」


 蓮さんの隣で少し強張った表情の歩夢くんが私の手を取り、上座に二人で並んで座った。


 顔ぶれを見ると、ゆみちゃんとバンドメンバー、影山さんと、知った顔ばかりで少しホッとしたけど、小石川乙葉さんも居た!

 小石川さんはテレビでしか見た事が無かったけど、流石一流声優と言うかオーラが半端ない。


 蓮さまが惚れるだけあるわ!

 透き通る様な白い肌に大きな目で私を興味津々と言った表情で見ている。どーしよ?


 すると小石川さんがいきなり声を掛けて来た!


 「あなたが歩夢くんの事をメロメロにしたいづみさんねぇ! 初めまして、小石川乙葉です。今後付き合いがあるかと思うから仲良くしようねっ♪」

 「はっはいっ、鈴森いづみです。こちらこそ宜しくお願いします!」


 人懐っこい笑顔で話しかけられるともう駄目だわ、それだけで好きになっちゃいそう!


 「乙葉さんっ、そーゆーのは後で! それじゃ皆さん、今日は俺達の為に集まってくれて本当にありがとう! 結婚はまだ先だけど、ここに居るいづみと二人、地に足をつけて頑張っていきたいと思うのでどうか暖かい目で見守って下さい。本日はお忙しい中ありがとうございます! 乾杯っ!!」


 「「「「乾〜杯〜〜っ!!」」」


 歩夢くん、浮き足立ってる私に比べて全然落ち着いてるわ! それに、……初めて呼び捨てされた♡


 「まぁ身内しか居ないから平気だけど、業界関係者の前でコレは無理だぁ〜!!」


 あれ? さっきまでカッコ良かったのに!? でも歩夢くんらしくて私はこっちの方がしっくり来る。


 そこからはもう無礼講と言うか暴露大会みたいなノリで、結局私達二人を肴に盛り上がりたかっただけの席になってしまった。


 「なになに〜、いづみん年末に除夜の鐘聞きながら露天風呂で歩夢に突かれてたんだってぇ〜?」

 「ちょっ、ちょっとかれん、なんでそんな事知ってんのっ? って! あっ、ゆみちゃ〜ん!!」

 「えへへ、だって年明けあまりに嬉しそうに話すんだもん、みんなに共有しないとだよ! しかもその日のうちに六回も!」


 「「「ろっ、六回もぉ〜?」」」


 「もうやめてぇ〜〜っ!!!」





 ※


 


 「それじゃさ、暴露大会もお開きって事で、最後二人の声を聞かせてくれよ!」


 蓮さまの一声で恥ずかしい過ぎるけどみんな温かい、素敵な会が終わろうとしている。

 歩夢くんが私の手を取り立ち上がり、


 「結局こーなるの分かってたよっ!! でも、俺っ、いや俺達の事をこんなに温かい目で見守ってくれる人達が居る事に感謝しかありません! これからも俺達二人と良い付き合いをお願いします! 本当にありがとうございましたぁ!!」



 あれ? 勝手に涙が溢れて来て止まらなくなった。イジられてただけなのにこんなに幸せな気持ちになるなんて!


 それを見て涙目のかれんが私に抱きついて来た!


 「いづみ〜ん、まさかコンビニの客とこんな出会いが待ってるなんて思いもしなかったよ〜! 今までもだけど、これからもずっと友達だからね〜!」


 するとゆみちゃんが、


 「いづみちゃん、私達、二人の為に曲作って来たんだ! 三上さん、貸し切りだから演ってもいーよね?」

 「あぁ、許可取ってるから大丈夫だ!」


 そこからゆみちゃんのバンドが私達の為に、ウエディングソングをアコースティックバージョンで演奏してくれた。実はこの曲が後に大ヒットになり、ゆみちゃん達の代表曲の一つとなったのはもう少し先の話。





 ※





 「それじゃみんなお疲れ〜!!」

 「蓮さん、それにみんな、今日は本当にありがとうございました!」

 「ありがとうございました!」


 店を出ると蓮さま達が、それぞれが帰る方向にタクシーを手配してくれていた。本当至れり尽くせりだわ♡


 「いづみちゃん、今度はウチに遊びに来てよ!」

 「はいっ、是非!!」

 

 乙葉さんは当たり前だが蓮さまと同じタクシーに乗り込んで手を振ってくれた。この二人が夫婦なら誰も文句なんて言えないわ!


 私達は皆を見送り、かれん夫婦と同じタクシーに乗りみマンションに帰る。


 「なんか散々な目にあったけど、すっごい楽しかった! かれん、梅里くん、ありがとう!」

 「今度は妊娠の報告だな、ニシシッ♡」



 ……そっか、今は避難してるけどかれん達みたいなのもアリなのかな?

 

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